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第四章 砂漠の遺跡
第八十八話 巨岩の大地
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巨木が並ぶ森で夜営をしてしばらくした頃、レアがテントから出て来た。
「エイル達は寝たかい?」
「エイルさんはぐっすりと眠っていますにゃ」
「レアは寝ないのか?」
「私はご主人様といますにゃ」
レアは人型へと変身し、服を着替えて俺の隣りに座る。
特に何も話さず、肩を寄せてくる。
しばしそのまま時間が過ぎると、レアの耳がピクッと反応した。
「ご主人様、何かがいます」
耳元で囁くように小声で話す。
レアが気が付いたと同時にアンもテントから出て来た。
「……沢山いる……」
「まじか! 何がいるんだ?」
「……わからない……、でも囲まれてる……」
木々の上を見ると無数の赤い目が暗闇を照らす。
そして勢い良く何かを投げつけて来た!
「石か!」
石が俺達三人に向けて雨のように降り注ぐ。
「くそっ!」
俺は野球ボール位あるサイズの石を両手で防御しているとレアとアンは既に木の上に移動している。
木の上から落ちて来たのは魔生獣のスローブーンだ。
見た目少し大きい猿で色々な物を上から投げて攻撃してくる魔生獣でかなり厄介な魔生獣だ。
落ちてくる数匹のスローブーンはレアとアンが倒した奴だろう。
俺も枝に飛び乗りたいが、二人のように上手く態勢を維持出来ない。
地上で戦うしかないな。
投げる物が無くなったスローブーンは幸いにも下りて攻撃してくるが、動きは俊敏で力も強い。
なにより仲間で連携してくるのが厄介だ。
それでもアンやレア、ライアの動きに比べたら……。
「遅い!!」
獅堂剣に魔力を送り、刀身を作るとスローブーンを斬り裂く。
だが相手の数が多い。 どんどんやってくる。
アンもレアも負ける事は無いのでスローブーンがどんどん落ちてくる。
俺も負けてはいられない!
地上のスローブーンは俺が倒す!
……襲って来たスローブーンを全て倒した時には夜が明けていた……。
「ふあぁぁ……、良く寝た……、……え!? 何があったの!?」
エイルがテントから起きて来た時にはスローブーンがあちこちに倒れ、俺達三人も疲れ木に寄りかかって眠っていた……。
「まったく、信じられないにゃ。 良く寝てられましたにゃ!」
「だって疲れてたんだもん~」
エイルに何が合ったか事の説明をし山道を進む。
歩きながらスローブーンとの戦いの中、テントでぐっすり寝ていたエイルにレアは文句を言う。
エイルらしいと言えばらしいよな。
「……ケンジ、あれを見て……」
山の頂上に着いた頃、アンに袖を引っ張られ言われた方を見る。
「あれは……!」
「あれ……が……、巨岩の……大地で……す……」
ここまで登ってくるのにクタクタとなったエイルがレアの上で話す。
「一旦休憩しよう」
「ほらエイルさん、降りて下さいにゃ」
「ふあ~い……」
四人で眺める巨岩の大地。
それはとんでも無く大きな一枚岩のように見えた。
「あそこにヴァルスケルハイトの基地があるのか……」
「気を引き締めて行きましょうね~……」
「エイルさんが一番気を引き締めるにゃ」
「は~い……」
グッタリと座りながら軽く手を上げるエイル。
確かに俺も気を引き締め無いとな……。
山を下り森の中を進めば巨岩の大地。
基地の入り口はどこだ?
アンに先行してもらい、探してもらうか?
でも、敵の基地周辺だ。 トラップでもあったら大変だからな……。
俺が探しに行った方が良いかも知れない……。
森の中の魔生獣も出来るだけ合わないように巨岩の大地まで向かう。
「さて、これから入り口を探さないといけない。 丁度日も暮れたし、俺が探しに行くから皆んなはここで待っててくれないか?」
「……私が探しに行った方が見つかる心配が無いよ……」
「確かにそうだが危険だぞ」
「……大丈夫……」
「あ! おい!」
アンはさっさと入り口を探しに行ってしまった。
しばらく待つ……。
アンは大丈夫だろうか? 特に騒がしくなっていないから大丈夫だとは思うが……。
俺の心配もよそに、アンが戻って来た。
「アン! 無事だったか!」
「……見つけた……」
流石アン。 しっかりと入り口を見つけて来たようだ。
「……ここから西の方角に小さな集落があった……。 その奥に洞窟から竜車が出て来ていたから……多分そこだと思う……」
「そうか、そこから入るのは厳しそうだけど、他に入り口も無さそうだ。 俺、レア、アンで行ってくるからエイルはここにいてくれ」
「なんでよ!? 私も行くわ」
「何かあった時、俺達ならなんとかなるかも知れないし、俺達が捕まったりした時はエイルに助けを呼びに行って欲しい」
「確かに私じゃ足手まといかも知れないけど、飛空船や基地の爆破は誰がやるの? 私なら出来るよ」
エイルは鞄を叩く。
「もしかして爆弾でも持ってるのか?」
「もっちろん! リュビナイトで作った爆弾以外にもあるから基地の爆破は任せてよ」
「その爆弾を俺達に渡してもらえれば良いんだけど?」
「それじゃダメよ。 私にしか動かせないし」
「……わかった。 だけど危険だからな。 必ず誰かと一緒にいてくれよ」
「わかったわ」
エイルはレアに抱きついた。
「仕方ありませんにゃ。 エイルさんは私が面倒みるにゃ」
「頼む。 それじゃ、夜のうちに忍び込もう。 アン、案内を頼む」
「……任せて……」
アンに案内を頼み集落へ。
集落には黒いローブを着た奴らがいる。
どうやら間違い無さそうだ。
「……こっち……」
集落のテントの影を進みながら、洞窟の入り口まで辿り着く。
「見張りがいるな」
「私に任せて」
エイルは小型爆弾よりも小さい玉を取り出し、俺達の反対側に投げる。
投げた玉はパスンと軽い音を立てて破裂した。
その音を確認しに見張りが移動する。
「よし、今だ!」
俺達は洞窟に潜入成功。 かなり広そうな基地だが、魔導飛空船が置いている場所は広いはずだ。 そこを爆破出来れば……。
俺達は通路を進む。
その後ろを付いてくる一つの影には気がついていなかった。
「エイル達は寝たかい?」
「エイルさんはぐっすりと眠っていますにゃ」
「レアは寝ないのか?」
「私はご主人様といますにゃ」
レアは人型へと変身し、服を着替えて俺の隣りに座る。
特に何も話さず、肩を寄せてくる。
しばしそのまま時間が過ぎると、レアの耳がピクッと反応した。
「ご主人様、何かがいます」
耳元で囁くように小声で話す。
レアが気が付いたと同時にアンもテントから出て来た。
「……沢山いる……」
「まじか! 何がいるんだ?」
「……わからない……、でも囲まれてる……」
木々の上を見ると無数の赤い目が暗闇を照らす。
そして勢い良く何かを投げつけて来た!
「石か!」
石が俺達三人に向けて雨のように降り注ぐ。
「くそっ!」
俺は野球ボール位あるサイズの石を両手で防御しているとレアとアンは既に木の上に移動している。
木の上から落ちて来たのは魔生獣のスローブーンだ。
見た目少し大きい猿で色々な物を上から投げて攻撃してくる魔生獣でかなり厄介な魔生獣だ。
落ちてくる数匹のスローブーンはレアとアンが倒した奴だろう。
俺も枝に飛び乗りたいが、二人のように上手く態勢を維持出来ない。
地上で戦うしかないな。
投げる物が無くなったスローブーンは幸いにも下りて攻撃してくるが、動きは俊敏で力も強い。
なにより仲間で連携してくるのが厄介だ。
それでもアンやレア、ライアの動きに比べたら……。
「遅い!!」
獅堂剣に魔力を送り、刀身を作るとスローブーンを斬り裂く。
だが相手の数が多い。 どんどんやってくる。
アンもレアも負ける事は無いのでスローブーンがどんどん落ちてくる。
俺も負けてはいられない!
地上のスローブーンは俺が倒す!
……襲って来たスローブーンを全て倒した時には夜が明けていた……。
「ふあぁぁ……、良く寝た……、……え!? 何があったの!?」
エイルがテントから起きて来た時にはスローブーンがあちこちに倒れ、俺達三人も疲れ木に寄りかかって眠っていた……。
「まったく、信じられないにゃ。 良く寝てられましたにゃ!」
「だって疲れてたんだもん~」
エイルに何が合ったか事の説明をし山道を進む。
歩きながらスローブーンとの戦いの中、テントでぐっすり寝ていたエイルにレアは文句を言う。
エイルらしいと言えばらしいよな。
「……ケンジ、あれを見て……」
山の頂上に着いた頃、アンに袖を引っ張られ言われた方を見る。
「あれは……!」
「あれ……が……、巨岩の……大地で……す……」
ここまで登ってくるのにクタクタとなったエイルがレアの上で話す。
「一旦休憩しよう」
「ほらエイルさん、降りて下さいにゃ」
「ふあ~い……」
四人で眺める巨岩の大地。
それはとんでも無く大きな一枚岩のように見えた。
「あそこにヴァルスケルハイトの基地があるのか……」
「気を引き締めて行きましょうね~……」
「エイルさんが一番気を引き締めるにゃ」
「は~い……」
グッタリと座りながら軽く手を上げるエイル。
確かに俺も気を引き締め無いとな……。
山を下り森の中を進めば巨岩の大地。
基地の入り口はどこだ?
アンに先行してもらい、探してもらうか?
でも、敵の基地周辺だ。 トラップでもあったら大変だからな……。
俺が探しに行った方が良いかも知れない……。
森の中の魔生獣も出来るだけ合わないように巨岩の大地まで向かう。
「さて、これから入り口を探さないといけない。 丁度日も暮れたし、俺が探しに行くから皆んなはここで待っててくれないか?」
「……私が探しに行った方が見つかる心配が無いよ……」
「確かにそうだが危険だぞ」
「……大丈夫……」
「あ! おい!」
アンはさっさと入り口を探しに行ってしまった。
しばらく待つ……。
アンは大丈夫だろうか? 特に騒がしくなっていないから大丈夫だとは思うが……。
俺の心配もよそに、アンが戻って来た。
「アン! 無事だったか!」
「……見つけた……」
流石アン。 しっかりと入り口を見つけて来たようだ。
「……ここから西の方角に小さな集落があった……。 その奥に洞窟から竜車が出て来ていたから……多分そこだと思う……」
「そうか、そこから入るのは厳しそうだけど、他に入り口も無さそうだ。 俺、レア、アンで行ってくるからエイルはここにいてくれ」
「なんでよ!? 私も行くわ」
「何かあった時、俺達ならなんとかなるかも知れないし、俺達が捕まったりした時はエイルに助けを呼びに行って欲しい」
「確かに私じゃ足手まといかも知れないけど、飛空船や基地の爆破は誰がやるの? 私なら出来るよ」
エイルは鞄を叩く。
「もしかして爆弾でも持ってるのか?」
「もっちろん! リュビナイトで作った爆弾以外にもあるから基地の爆破は任せてよ」
「その爆弾を俺達に渡してもらえれば良いんだけど?」
「それじゃダメよ。 私にしか動かせないし」
「……わかった。 だけど危険だからな。 必ず誰かと一緒にいてくれよ」
「わかったわ」
エイルはレアに抱きついた。
「仕方ありませんにゃ。 エイルさんは私が面倒みるにゃ」
「頼む。 それじゃ、夜のうちに忍び込もう。 アン、案内を頼む」
「……任せて……」
アンに案内を頼み集落へ。
集落には黒いローブを着た奴らがいる。
どうやら間違い無さそうだ。
「……こっち……」
集落のテントの影を進みながら、洞窟の入り口まで辿り着く。
「見張りがいるな」
「私に任せて」
エイルは小型爆弾よりも小さい玉を取り出し、俺達の反対側に投げる。
投げた玉はパスンと軽い音を立てて破裂した。
その音を確認しに見張りが移動する。
「よし、今だ!」
俺達は洞窟に潜入成功。 かなり広そうな基地だが、魔導飛空船が置いている場所は広いはずだ。 そこを爆破出来れば……。
俺達は通路を進む。
その後ろを付いてくる一つの影には気がついていなかった。
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