黎明の錬金技工術師《アルケミスター》と終焉の魔導機操者《アーティファクター》

かなちょろ

文字の大きさ
92 / 195
第四章 砂漠の遺跡

第九十二話 新たな地へ

しおりを挟む
 巨岩の大地にあるヴァルスケルハイトの基地からなんとか魔導飛空船まどうひくうせんを盗み出して逃げ出したが、破壊しきれなかった敵の魔導飛空船まどうひくうせんに追われている。

「皆んなもうすぐヘイトルーガとの国境だ! 頑張ってくれ!」
「もうボロボロだよ~」

 敵の攻撃により、俺達が乗っている魔導飛空船まどうひくうせんはかなりボロボロになり、飛んでいるのがやっとだ。

「こうなったら、ご主人様、操縦代わりますから魔導発動機へ行って下さいにゃ!」
「行ってどうするんだ?」
「ご主人様の魔力を全力で魔導発動機に注いで下さいにゃ!」
「レア~、そんな事したら魔導発動機壊れちゃうんじゃない?」
「一か八かですにゃ。 このままではヘイトルーガにたどり着く前に落ちますにゃ」
「わかった、やってみる!」

 操縦をレアと変わり、魔導発動機に魔力を注ぐ。
 魔力を力一杯注ぐと、魔導発動機が煙りを噴いて勢い良く動き出す。
 魔導飛空船まどうひくうせんの速度が上がるが、魔導発動機から火が噴き出した。

「レア! あまりもたないぞ!」

 ヴァルスケン帝国とヘイトルーガ王国の国境である山脈をギリギリの高さで通過するが、操縦が不慣れな為にあちこちを擦り、船体は壊れ穴も開き、もう飛ぶ事が出来ない状態だ。

「ヘイトルーガに入ったよ! リュビナイトは何処にいるの!?」
「それは……、わからない……」

 ーーザーーザザーー。

『聞こえますか?』
「この声は……、リュビナイト!」

 魔導飛空船まどうひくうせんの通信機器の様な物からリューの声が聞こえてきた。

『今そちらに繋げています。 後ろから来ている魔導飛空船まどうひくうせんは敵で間違い無いですか?』
「ああそうだ! だがこっちの魔導飛空船まどうひくうせんがもうもたない!」
『ヘイトルーガ王国より南に向かって下さい。 私はそこにいます』
「わかった!」

 なんとかもってくれよ……。

 ヘイトルーガ王国を越え言われたように南に向かうが、魔導発動機は爆発し、高度がどんどん下がる。

「おち、落ちるーー!!」
「皆んな捕まれ!」

 砂海の上に落ちた。

「み、皆んな無事か?」
「う、うん……」
「大丈夫ですにゃ……」
「……死ぬかと思った.…」

 砂がクッションになってくれたようだが、もうこの魔導飛空船まどうひくうせんはダメだ。

「ご主人様、来ますにゃ!」
「くそっ!」

 追いかけて来た魔導飛空船まどうひくうせんは六機、流石に強い皆んなでも空の相手には手出しが出来ない。
 リュビナイトまでもう少しだと言うのに……。

 その時、突然砂が隆起し、墜落した魔導飛空船まどうひくうせんの下からリュビナイトが現れた。
 リュビナイトから主砲が発射され、敵の魔導飛空船まどうひくうせんを撃墜して行く。
 完全では無くてもあの程度の魔導飛空船まどうひくうせんなら楽に撃墜出来る。

『皆さん大丈夫ですか?』
「大丈夫だ、助かったよ」
『ではこちらに早く乗り込んで下さい』
「怪我人がいるんだ。 救護室の準備を頼む」
『どなたか怪我をされましたか?』
「説明は後でする。 早く頼む」
『わかりました』

 逃げようとする敵の魔導飛空船まどうひくうせんも撃墜し、全て倒し切った時、リュビナイトは砂海の中に潜った。

『この方は?』

 救護室のカプセルにムーンを入れ治療をお願いして事情の説明を皆んなにする。

「それじゃそれじゃ、この人も人造人間?」
「いや、ムーンは獣人だよ」

 ルルアに説明をする。

「あの研究者も人造人間だったなんて……」
「俺も驚いたよ」

 フランも自分を調べていた人が人造人間とは思っていなかったらしい。

「レリックを取り込んだ子か……」
「どうじゃ? 治りそうかの?」
『まだわかりません。 油断出来ない状態です』

 モンドさんマブルさんもムーンの事を気にしている。
 いくらエイルのポーションでもここまで酷いと治せない。
 ムーンの事はリューに任せるしか無い。

「ご主人様、これからどうしますか?」
「そうだな……」

 談話室サロンに集まりこれからの事を話す。

「俺とレアは新たな塔を探しに行こうと思ってる。 皆んなはどうする?」
「私もケンジに着いていくつもりよ」
「……次は何処に行く?」

 アンからの質問に「船で海を渡る」 と言った所でアンは「……私はパス……」 と言ってきた。
 理由を聞くと、船酔いするらしい……。

「僕も行きたいけどリューがなぁ……」
『申し訳ございません。 せめてもう少し調子が良くなれば本体から離れても問題無くなるのですが……」
「それはわしらの力不足じゃな」
「もうしわけない」
『いえ、お二人は良くやって頂いております。 先程砂海に沈んだ魔導飛空船まどうひくうせんを回収しますので、その部品を使えばもう少し良くなると思います』
「おお、そうか。 それは頼むぞい」

 そう言う訳でフランはリュビナイトと一緒。

「私もムーンちゃんが気になるからここにいるよ」
「そうか、ならムーンの事は頼む」
「うん!」

 これで大体の事は決まった。
 俺が次に向かうのはエルメリオン王国から西の大陸。
 森の都【エレメントスハーレス】だ。
 大森林があり、耳長族エルフの住む都らしい。
 そこに塔もあるが、耳長族エルフに色々な事を聞けるかも知れない。
 予定が決まった俺は、エイル、レアと共にエルメリオン王国に向かうのだった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた

黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。 そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。 「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」 前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。 二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。 辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界複利! 【単行本1巻発売中】 ~日利1%で始める追放生活~

蒼き流星ボトムズ
ファンタジー
クラス転移で異世界に飛ばされた遠市厘(といち りん)が入手したスキルは【複利(日利1%)】だった。 中世レベルの文明度しかない異世界ナーロッパ人からはこのスキルの価値が理解されず、また県内屈指の低偏差値校からの転移であることも幸いして級友にもスキルの正体がバレずに済んでしまう。 役立たずとして追放された厘は、この最強スキルを駆使して異世界無双を開始する。

処理中です...