黎明の錬金技工術師《アルケミスター》と終焉の魔導機操者《アーティファクター》

かなちょろ

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第六章 西の大陸と魔導学園

第百三十一話 花の都 オルディーコムン

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 ついに到着花の都オルディーコムン。
 城下町に入ると町中花で埋め尽くされている。

「きれ~!」
「凄いですね」
「花の匂いが強すぎだ」

 確かに街中にいるだけで花の匂いが漂ってくる。

「ほら、あそこの高い場所にある建物が【魔導学園】だ」

 下からでもよく見える程に大きな建物だ。
 城と見間違えそうなサイズ。
 そう言えば城はどこだ?

「ここオルディーコムンの城って何処にあるんですか?」
「オルディーコムンの城は魔導学園のすぐ近くだ」
「ここからだと学園で見えませんね」
「学園が大きいからな」
「なるほど」
「それじゃ行くか」

 魔導学園へ向かっていると、リルチさんは少し寂しそうに歩いている。

「あ~あ、もう皆んなとお別れかぁ……」
「リルチさんは学園には入学しないの?」
「俺達はお前達を学園まで送り、入学の手続きをするまでが仕事だ」
「そうかぁ……、残念だね……。 またエレメントスハーレスに行くよ」
「絶対だよー」

 リルチさんとエイルはお互い手を握って約束する。
 また会いに行く事を約束して、学園の正門までやって来た。

「これは……、城じゃないか?」
「私もそう見える……」
「大き過ぎますにゃ」
「そりゃ城より大きいからな」
「え!? 城より大きいんですか!?」
「さっき言ったろ?」

 本当だったとは……、城より大きいなんてどれだけなんだよ……。
 早速入って行くと、古いけど何処か威厳のある校舎が並び、沢山の生徒達が行き交っている。
 そして皆んな同じ制服を着ているな。
 胸のバッジが違うくらいか……。

 メルチさん、リルチさん、エイルは早速校舎の中に入って行く。
 俺も続けて入るが、物珍しさでキョロキョロとしていたら……はぐれた……。
 やばい……、ここはどこだ!?
 レアは!?
 いなーい!!
 完全に迷子だ……。
 来た道を戻ろうとするが、何故か見覚えの無い場所に出てしまう。
 俺ってこんなに方向オンチだったか?
 しばらく進むと、何か怒鳴り声と言うか、大きな声が聞こえてくる。

「道でも聞くか」

 早速その声のする方へと向かってみた。
 
「……だから! なんであ・な・たなのよ!!」
「…………」
「なんとか言いなさいよ!」
「…………」

 なんだか女生徒が言い争っているようだ。
 怒鳴っているのは一人だけど。

「どうしました?」

 あんまり面倒事には関わりたく無いのだが、金髪カールの女生徒が目隠れの女生徒に何か文句を言っているようだ。

「貴方どなたですの!?」
「俺は今日この学園に来た者だけど、何かあったのかと思いまして」
「そう……ですが貴方には関係ございませんわ!」

 そう言って金髪カールの子は行ってしまった。

「えーと……、邪魔しちゃったかな?」
「いえ……」
「それならいいけど。 そうだ、学園長室に行きたいんだけど迷っちゃって、どうやって行けば良いか教えてもらえないかな?」
「いいですよ……」

 目隠れの子の案内で学園長室を目指す。
 無言で進む目隠れの後を着いて行くがなんだか気まずい……。

「この学園は初めてですか……?」
「え? あ、そ、そう。 今日着いたばっかりなんだけど、一緒に来た人とはぐれちゃって……」
「そうですか……」

 それだけ話して、あとは無言が続く。
 案内してもらうと、行き止まりに出てしまう。

「えと、行き止まりみたいだけど?」
「少し待ってて下さい……」

 言われた通り待っていると、行き止まりだった壁に突然通路が現れた。

「なんだ? どうなってるんだ?」
「この学園は時間によって通路が変わるんです。 知らない人が迷い込むと、下手したら一生出られません……」

 マジか……、この子がいて助かったかもしれん。

「ここが学園長室です……」
「案内してくれてありがとう」
「いえ……、それでは失礼します……」

 目隠れの子は行ってしまった。
 部屋に入ると、皆んなが待っていた。

「ご主人様! 何処に行っていたんですかにゃ!?」
「そうだよ、心配したよ」
「レアさんなんて飛び出して行く所だったんですよ!」
「ごめん、迷ってた」

 皆んなに謝り、学園長と初顔合わせをする。

「初めましてケンジさん。 私がこの魔導学園の学園長をしている【プルギス】と申します」
「よろしくお願いします」

 少し白髪混じりのお年をめしたこの女性がこの学園の学長なのか。
 なんだか威厳とオーラを感じる。

「それで、ケンジさん達はこの学園で学びたいと言う事でよろしいですか?」
「え? 学ぶ?」
「はい。 手紙にはそう書かれていますけど?」
「そんなはずは……。 確か娘さんの様子を見て来て欲しいと言われて来たのですが?」
「なるほど……、ではこう言うのは如何ですか?」

 学園長と話し、メルチさん、リルチさんは村へ帰る事になる。
 エイルとリルチさんは抱き合って泣いていた。
 そして、明日から俺達の学園生活が始まる。
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