変身HERO異世界へ征く!

加賀林檎

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一時の平和な日常

サイクォーダーの決断と提案

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そして夜となり、約束の時間にサイの書斎にやって来た。

最初は、盃を交わしながら、他愛無い話をしていたが、ふと、サイの目が真剣になって俺を見る。
そして、

「シン。余は……。いや、俺はお前に帝位を譲りたいと考えている。」

はっ?
多分、今の俺の顔は世界一マヌケな表情をしているだろう。

「良く考えた末の決断だ。お前はアーシュライト神と結婚するであろう。ならば、俺の友人だけでは無く、臣下としても主を抜いてしまう。……この意味、解るな?」

俺は状況を今一度、振り返り飲み込む。

「……なるほど……国が二つに分かれるな。」

俺の言葉にサイは深く頷く。

「そうだ。だが、そうなってはならない。そんな事になれば、近隣諸国……特に亡国が笑い転げて大喜びするだろうな。」

成る程。
と、俺は頷く。

「わかった。帝位は謹んで受け継ぐ。が、条件が幾つかある。」

サイは黙って、俺の提示する条件を待つ。

「まず、戦乱は未だに続くだろう。亡国が倒れるまでは。だから、内政を引き続きお願いしたい。俺は常に前線で戦うからな。それと、俺が討たれた場合、帝位は返上する。そして、これが最も大切であり、大事な条件だ。」

「なんだ?」

「これからも変わらない友人である、と言う事だよ。」

サイは目を丸くした。
そして、大笑いを始める。

「ハッハッハッ!……ったく、お前も変わらんな。」

「あったりまえだ、大切な事を早々に変えられるかってんだ。頼むぜ?親友殿?」

「わかったよ、陛下」

そう言い合うと、朝方まで酒を呑み空かした。
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