蒸気軌道昔話:常軌を逸した英雄譚(なおポンコツ)

深井零子

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スチームパンクなリュウグウパレス

第一章:未熟なる蒸気の時代

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 Steam Revolution(蒸気維新)、、、
 それは、かつての大和の国が夢見た技術の夜明けだった。
 真鍮と歯車が街を彩り、煙突から立ち昇る白煙が未来への希望を描いていた。
 だが、その輝きの裏側は、画餅と混沌に満ちていた。

 飛行船は空に舞い上がるも、三分と持たずに墜落。
 自動人形は「おはよう」と言う前に爆発し、蒸気機関車は坂道で逆走する。
 街の時計塔は時間を刻むどころか、逆回転したまま止まり、蒸気式の郵便配達機は手紙を届ける前に煙を噴いて倒れる。
 技術はある、だが完成していない。そんな世界が、Steam Revolution後の日本だった。

 この世界に生きるウラシマタロウは、「無用村」の技師。
 村の片隅にある工房には、錆びた工具が散乱し、壁には爆発の跡が残る。
 彼の作業着は油にまみれ、ゴーグルは片方のレンズが割れたまま。修理する機械は毎日爆発し、直したはずの蒸気ボート「うらし丸」は、毎朝沈むのが日課だった。

 「今日こそ浮かせてみせるぞ……!」とウラシマタロウは意気込む。が、うらし丸は出航五秒で「ブシュー!」と蒸気を噴き、沈没。村人たちはそれを見て、「またか」と笑いながら通り過ぎる。ウラシマタロウは悔しそうに頭をかきながら、錆びたスパナを手に再び工房へ戻る。

 村の風景もまた、とんちきさに満ちていた。歯車で動く風車は風が吹くと逆回転し、蒸気式の街灯は夜になると消える。子どもたちは蒸気式の竹馬に乗って遊ぶが、時折爆発して転がる。
 それでも誰も驚かない。ここでは、爆発は日常であり、失敗は風景の一部なのだ。

 ウラシマタロウはそんな村で、技師として生きていた。技術者としての腕は悪くない。むしろ、壊れた機械を直す速度は村一番だ。だが、直した機械がまたすぐ壊れる。それがこの世界の宿命だった。

 「完璧なんて、蒸気機関には似合わないさ」とウラシマタロウは嘯く。彼の目には、爆発の跡すら美しく映る。真鍮の輝き、歯車の軋み、蒸気の匂い——それらすべてが、彼にとっては生きる証だった。

 そんなある日、浦島太郎は海へと向かう。うらし丸の修理を終え、再び挑戦するためだ。だがその海で、彼は奇妙な声を聞くことになる。「助けてくれニャー!」——それは、ぽんこつ技師の運命を大きく変える出会いの始まりだった。
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