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スチームパンクなリュウグウパレス
第四章:宴と崩壊
しおりを挟むスチーム・リュウグウの広間は、真鍮の装飾で彩られ、蒸気管が天井を這い、歯車のシャンデリアがゆっくりと軋みながら回っていた。オト姫 Mk.Ⅲが誇らしげに言う。「わたくしの竜宮城は、永遠の美しさと技術の粋を集めた場所なのよ……(ゴホッ)」と、湯気を吐きながら。
ウラシマタロウは、技師としての直感で「これは、何かが爆発するな」と感じていた。だが、招かれた以上、断るわけにもいかない。彼は油まみれの作業着を少しだけ整え、片方割れたゴーグルを拭いて、宴の席へと向かった。
宴の開始を告げるのは、蒸気式オルガンの演奏だった。だが、その音色はどこかおかしい。歯車が空回りし、音階が狂い、最終的に流れ出したのは『およげ!た〇やきくん』。しかも、テンポが異常に速く、広間に不穏なリズムが響き渡る。
続いて登場したのは、自動人形によるダンス隊。彼らは蒸気で駆動する関節を使い、華麗なステップを踏む……はずだった。だが、開始三秒で一体の首が「ポンッ!」と飛び、続いて腕が外れ、最後には全員が「ガシャーン!」と転倒。床に散らばった部品が、まるで花びらのように広がった。
オト姫は、それでも笑顔を崩さない。「わたくしは時間を止めているのよ!」と誇らしげに言う。浦島が「どういう意味だ?」と尋ねると、彼女は指をさす。そこには、竜宮城の中心にそびえる巨大な時計塔があった。
その時計塔は、歯車で構成され、蒸気で駆動している。だが、針は逆回転を始め、蒸気管が「プスプス…」と音を立て、ついには「ドカーン!」と爆発。塔の上部が吹き飛び、歯車が空を舞った。
ウラシマタロウは思わず叫んだ。「すごい……でも怖い!」
宴は続く。料理は蒸気式の調理機で作られるが、火力が不安定で、冷たいスープが出てきたり、皿が爆発したり。玉座に座ろうとした浦島は、椅子の下から飛び出したバネに吹き飛ばされ、壁に激突。オト姫は「それも演出よ」と微笑むが、口からはまた湯気が漏れていた。
ウラシマタロウは、ぽんこつの美学を再確認していた。完璧ではない。むしろ、壊れかけているからこそ、愛おしい。歯車が軋み、蒸気が漏れ、爆発が日常になるこの世界は、彼にとって居心地が良かった。
だが、宴の終わりは近づいていた。オト姫は、浦島に向かって言う。「あなたが帰るなら、これを持っていって。蒸気玉手箱よ。ぽんこつVer.だけどね」
浦島は受け取った。錆びた箱、読めない文字、そして不穏な蒸気の匂い。彼はそれを胸に抱え、帰還の準備を始める。
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