双神の輪~紡がれる絆の物語~

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1章 幼少編 異世界召喚

12話

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 ローザリアとのやり取り以来、少しずつ流輝も琉生も周りに心を開くようにはなっていた。
 ところでこの国にも四季だけでなくどうやら暦もあるようで、一年を通して言葉は違うが一月から十二月まで元の世界と同じように存在する。同じようにとはいえ、多分元の世界とは時間などもずれているとは思うし、双子の誕生日も元の世界と同じだけ日数が経ったかどうか定かではない。コンビニエンスストアで何かがあってから一年はまだ経っていない気もするし、経った気もする。
 それでも十二月二十五日が双子の十歳になる誕生日だと知ると、周りは大騒ぎになった。何をそんなに大騒ぎすることがあるのかと不思議で仕方なかったが、どうやらわざわざ二人の誕生日を盛大に祝うパーティーを開くらしい。そこまでする必要などないのではと思ったが、むしろ使用人の一人に「もっと早く教えてくだされば」とまで言われてしまった。

「なんで」
「そうしたらもっと早くから入念な準備ができましたのに」
『いやいらねーよ……』

 思わず元の世界の言葉で即呟いてしまった後、流輝は「別にそこまでしなくても」と言い直した。だが他の使用人にまで大いに憤慨されながら「とんでもない」と言い返される羽目になった。
 何故そこまで、と疑問しかない双子だったが、どうやらこの世界では大公爵家の養子とはいえ子息の誕生日を祝わないなどあり得ない勢いらしい。

「もちろんそれだけではありませんよ。大公様や奥様がどれほどリキ様、ルイ様を大事に、大切に思われているか。そんなご夫妻が我が子の誕生日を祝わないはずがないではありませんか」

 それを言われると、どうしてもまだ複雑な気持ちになる。流輝たちの親は元の世界の父母だと思ってしまうため、モヤモヤしてしまうというのだろうか。ただ今はそれをさておいても「そんじゃ、こーしゃくさまたちだけで祝ってくれたらいいのでは」としか思えないのだが、先ほども言われたように盛大に祝わないすべはないのだろう。

「あなたたちのお披露目も兼ねてだと思います」

 フランはそう言っていた。ただでさえよくわからない皆にまで引くほど大げさに祝われる上に見世物になるのか、と流輝はげっそりしたが琉生に『でもほら、美味しいもの色々食べられるよ。そう思うことにしよ』と苦笑された。

『でもさー。だいたいルイは知らない人に祝われて、ちゃんと対応できんの?』
『それは無理……リキやって』
『ほらー、結局俺じゃんー俺がきっと大勢の前に立ってなんか言わなきゃじゃんー』
『だって怖いし……お願い、リキ』

 あまり泣かなくなってきて、ずいぶんしっかりしてきた琉生に取り残されそうな気持ちにさえなっていたはずの流輝は、久しぶりに頼られてむしろ何だか嬉しくなった。

『仕方ねーなぁ。お兄ちゃんがじゃあやってやるよ』
『うん、お願い。ありがとう、リキ』

 琉生はニッコリと笑ってきた。
 誕生パーティーは実際想像していたものの百倍は豪華で派手で大きなものだった。元の世界での家族だけのお祝いが少し懐かしくなる。
 二人は大層な服、というより衣装を着せさせられたしカルナとモリスによって皆の前で紹介もされた。案の定挨拶することにもなり、流輝は琉生の分まで、と言っても簡単な自己紹介みたいな挨拶をまだ少しカタコトのまま何とかこなした。
 また、想像を絶する勢いで贈り物ももらったようだ。そんなにもらったらお返しをどうしたらいいのかと流輝は困惑したが、キャスに「大公爵子息がお返しの心配なんてする必要ねえですよ」と笑われた。相変わらずキャスは何となくだが流輝たちのことをあまりよく思っていないように感じるのだが、他の人に比べて少しくだけた気さくな話し方が流輝にとっては好ましく思える。
 何とか無事その日を終えて一番肯定的に思えたことは「クリスマスと一緒に祝われない」だろうか。この国にも宗教や神は存在するのかもしれないが、少なくともキリスト関連は存在しないようだ。ひたすら純粋に誕生日のみを祝われた。それだけは流輝としてもほんのちょっぴり嬉しいかもしれない。ほんのちょっぴり、だが。
 ローザリアもお祝いに駆けつけてくれていた。二人に満面の笑みでお祝いを告げてくれたしプレゼントもくれた。ちなみにそれぞれ少しだけ難しくなった本だったので嬉しいのかいらないのかよくわからない代物だ。
 ただ、流輝だけでなく琉生も気づいていたようだが、確かに周りの目はローザリアにあまり優しくないかもしれないと少し感じられた。あからさまに何か言ったり行動したりはないのだが、陰でこそこそ何やら言ったりしている感じというのだろうか。
 おそらくローザリアも気づいているのだろうが、やはりいつもと変わらない穏やかそうなニコニコとした笑顔を始終浮かべていた。

『俺らだけでもローザリアを守ってやろうな』
『うん。あんないい人なのに身分どうこうだけで差別するやつらなんかに、彼女を傷つけさせたくなんてないもんね』

 流輝と琉生は改めてそう言い合った。琉生は流輝からローザリアの話を聞いた時、とても憤慨していた。そして自分たちはローザリアを悲しませないようにしようと誓っていた。

『まあ、俺、泣かせたけどな……』
『リキのせいじゃないって言ってくれたんだよね? それにこれからがんばればいいじゃない』
『うん。そうだな。差し当たっては、俺らはローザリアにもっとここの言葉、たくさん教えてもらおうぜ。ちゃんと守れるようにさ』
『そうだね』

 そんな話をしていたものの、いざ大人の嫌な雰囲気を感じ取っても今の二人にはどうすることもできず、歯がゆかった。ここで声に出して文句を言えば、笑顔でいるローザリアに恥をかかせてしまうだけだろう。

 もっと世間を知って、もっと自由に話せるようにならなきゃな。

 流輝はそっと思った。
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