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2章 学生編 生きる覚悟
54話
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その四国連合だが、大国同士流通や教育、情報交換など互いに協力し合うために同盟を組んでおり、年に四回、季節ごとに各国の代表が集まり四国連合会議が開かれるのだという。その会議では外交や近況、情勢についての報告や魔獣、魔族対策などを話し合っており、双子が召喚された際も開かれていたらしい。その時は召喚の儀もあったため四国代表であるニューラウラ王国で開催されていたが、基本的に開催される場所は平等を期すためと各国の様子を知るために毎回それぞれ順番に開催される。順番が巡ってきた国は自国のいいところを見せ、自慢できる機会として毎回張り切る。またそれにより経済も回りやすい。
開催されるそれぞれの季節だが、流輝たちが元いた世界での基準とは似て非なるもののようだ。この世界には光の神と言われている唯一神、アリータ神が信仰されており、そのアリータ神が使役している精霊たちにより季節は運ばれてくると考えられている。この世界にずいぶん慣れた流輝ではあるが、その辺の感覚はいまだにピンとこない。思わず「さすがファンタジーっぽい世界」などと思ったりする。
眠りについていた自然を目覚めさせ、新しい風と幸せを運ぶのが春の精霊と言われている。各季節に行われる連合会議を除き、この時期に行われるニューラウラ王国での大きな行事は騎士の叙任式だろうか。魔術師も同様らしく、キャスやフラン、ソリアたちもその昔、正式に任命されていた季節なのだろうと思うと何となく感慨深い。
目覚めた自然を青々と芽吹かせ、強さや生命力を高めるのが夏の精霊だと言われている。この時期の主な行事は馬上槍試合などと以前聞いたことがある。ランサーと呼ばれる槍騎兵以外に普段は剣を扱う騎士たちも槍を持ち参加することがあるようだ。流輝や琉生も招待されそれらの試合を観覧席で何度も見ている。格好いいし少々憧れたりしたが、琉生ならまだしも流輝には槍をああも器用に操れそうにない。ある程度ならできるかもしれないが、試合に出るほどとなると到底難しそうだ。
「魔術師の試合とかそういえばないよな」
「そういえばないね。もしかしたらあまり数がいないから、とか?」
流輝の言葉に琉生も首を傾げつつ頷いていた。
芽吹いた自然の実りを人々に授け、心を豊かにしてくれるのが秋の精霊だ。行事も収穫祭など実りにまつわるお祭りが多い。美味しいものが食べられるので流輝としては収穫祭が大好きだが、いずれここでの成人に達したら、ルヴィンと呼ばれているおそらく元の世界で言うワインのような酒を飲み倒したいと密かに憧れている。ニューラウラ王国で普段ルヴィンがどう作られているかは知らないが、収穫祭では皆が見ている中、その年に選ばれた綺麗な何人かの人たちが大きな樽に入り、レヴンというぶどうみたいな果実を清潔にした足で踏みつぶしていく。女性が多いのは体重や足の大きさが関係しているのかもしれない。それらを漉して発酵させたものが収穫祭ルヴィンと呼ばれ一旦奉納され、何年か後に開封されて皆に振舞われることになるらしい。毎年大人たちが楽しそうに飲んでいる姿を見ていると、流輝も早くそれに参加したくて仕方がなかった。
大いなる実りを授けてくれた自然を眠りにつかせ、安らぎをもたらすのが冬の精霊のようだ。流輝たちの誕生日でもあるクリスマスはこの世界にはないが、代わりに聖アリータ祭というものがある。クリスマスとは時期が多少ずれてはいるものの、年末であることに違いはない。何日もの間人々はアリータ神に感謝しつつそれにちなんだ日々の行事や祭りを行い、年の暮れ最終日に酒やご馳走で大いに盛り上がる。
元の世界、特に日本では新年を厳かに迎えるものだったが、この世界での新年は「兵どもが夢の跡」といった風だ。特に大人たちは二日酔いでぐったりとしている者も多い。規律正しいモリスですら、新年は昼過ぎまで部屋から出てこない。少々だらしなくも見える新年の様子ではあるが、これはこれで何だかおかしくて流輝は嫌いじゃなかった。
ただしその年に成人する者がいる家庭では少々違う。毎年、年が明けた日の夜に王都にある教会でアリータ神の元、成人の儀が行われるからだ。新年早々のだらけ具合とは一転し、その儀はとても厳かに行われると聞いた。
モリスとカルナもいつかやってくるその日がとても楽しみなのらしい。
「何で?」
「だって私たちの子が成人するのよ? それの儀式に私たちが出られることがとても幸せだと思って」
聞かれたカルナは想像でもしたのか嬉しそうに微笑んでいた。
「そういうもの? でもさ、俺も成人の儀はある意味楽しみなんだ、お母さん」
「リキも?」
「だって成人したら収穫祭や聖アリータ祭で他の大人たちと同じように酒が飲めるだろ。あれ、見てるとすごく楽しそうだからさ、俺も今からやりたいくらい」
にやりと笑って言うとカルナも微笑んできた。
「確かに楽しいわよ。でも……」
「何?」
「何となくだけど、リキはお酒、あまり強くなさそうに思えて」
ふふふとかわいらしく微笑む義母に流輝は微妙な顔を向けた。
「何で。どっからそんなイメージ?」
「あら、本当になんとなくですから、わかりませんよ。もしかしたらモリスもびっくりするくらい強いかもしれないし」
「きっとそうだって。……俺が弱そうに思えるってことはルイもそう思えるってこと?」
酒が弱そうな顔ということだろうか、だとしたらどんな顔だよと思いながら聞けば、カルナはまた笑ってきた。
「ルイは案外強そうね」
「何でっ?」
開催されるそれぞれの季節だが、流輝たちが元いた世界での基準とは似て非なるもののようだ。この世界には光の神と言われている唯一神、アリータ神が信仰されており、そのアリータ神が使役している精霊たちにより季節は運ばれてくると考えられている。この世界にずいぶん慣れた流輝ではあるが、その辺の感覚はいまだにピンとこない。思わず「さすがファンタジーっぽい世界」などと思ったりする。
眠りについていた自然を目覚めさせ、新しい風と幸せを運ぶのが春の精霊と言われている。各季節に行われる連合会議を除き、この時期に行われるニューラウラ王国での大きな行事は騎士の叙任式だろうか。魔術師も同様らしく、キャスやフラン、ソリアたちもその昔、正式に任命されていた季節なのだろうと思うと何となく感慨深い。
目覚めた自然を青々と芽吹かせ、強さや生命力を高めるのが夏の精霊だと言われている。この時期の主な行事は馬上槍試合などと以前聞いたことがある。ランサーと呼ばれる槍騎兵以外に普段は剣を扱う騎士たちも槍を持ち参加することがあるようだ。流輝や琉生も招待されそれらの試合を観覧席で何度も見ている。格好いいし少々憧れたりしたが、琉生ならまだしも流輝には槍をああも器用に操れそうにない。ある程度ならできるかもしれないが、試合に出るほどとなると到底難しそうだ。
「魔術師の試合とかそういえばないよな」
「そういえばないね。もしかしたらあまり数がいないから、とか?」
流輝の言葉に琉生も首を傾げつつ頷いていた。
芽吹いた自然の実りを人々に授け、心を豊かにしてくれるのが秋の精霊だ。行事も収穫祭など実りにまつわるお祭りが多い。美味しいものが食べられるので流輝としては収穫祭が大好きだが、いずれここでの成人に達したら、ルヴィンと呼ばれているおそらく元の世界で言うワインのような酒を飲み倒したいと密かに憧れている。ニューラウラ王国で普段ルヴィンがどう作られているかは知らないが、収穫祭では皆が見ている中、その年に選ばれた綺麗な何人かの人たちが大きな樽に入り、レヴンというぶどうみたいな果実を清潔にした足で踏みつぶしていく。女性が多いのは体重や足の大きさが関係しているのかもしれない。それらを漉して発酵させたものが収穫祭ルヴィンと呼ばれ一旦奉納され、何年か後に開封されて皆に振舞われることになるらしい。毎年大人たちが楽しそうに飲んでいる姿を見ていると、流輝も早くそれに参加したくて仕方がなかった。
大いなる実りを授けてくれた自然を眠りにつかせ、安らぎをもたらすのが冬の精霊のようだ。流輝たちの誕生日でもあるクリスマスはこの世界にはないが、代わりに聖アリータ祭というものがある。クリスマスとは時期が多少ずれてはいるものの、年末であることに違いはない。何日もの間人々はアリータ神に感謝しつつそれにちなんだ日々の行事や祭りを行い、年の暮れ最終日に酒やご馳走で大いに盛り上がる。
元の世界、特に日本では新年を厳かに迎えるものだったが、この世界での新年は「兵どもが夢の跡」といった風だ。特に大人たちは二日酔いでぐったりとしている者も多い。規律正しいモリスですら、新年は昼過ぎまで部屋から出てこない。少々だらしなくも見える新年の様子ではあるが、これはこれで何だかおかしくて流輝は嫌いじゃなかった。
ただしその年に成人する者がいる家庭では少々違う。毎年、年が明けた日の夜に王都にある教会でアリータ神の元、成人の儀が行われるからだ。新年早々のだらけ具合とは一転し、その儀はとても厳かに行われると聞いた。
モリスとカルナもいつかやってくるその日がとても楽しみなのらしい。
「何で?」
「だって私たちの子が成人するのよ? それの儀式に私たちが出られることがとても幸せだと思って」
聞かれたカルナは想像でもしたのか嬉しそうに微笑んでいた。
「そういうもの? でもさ、俺も成人の儀はある意味楽しみなんだ、お母さん」
「リキも?」
「だって成人したら収穫祭や聖アリータ祭で他の大人たちと同じように酒が飲めるだろ。あれ、見てるとすごく楽しそうだからさ、俺も今からやりたいくらい」
にやりと笑って言うとカルナも微笑んできた。
「確かに楽しいわよ。でも……」
「何?」
「何となくだけど、リキはお酒、あまり強くなさそうに思えて」
ふふふとかわいらしく微笑む義母に流輝は微妙な顔を向けた。
「何で。どっからそんなイメージ?」
「あら、本当になんとなくですから、わかりませんよ。もしかしたらモリスもびっくりするくらい強いかもしれないし」
「きっとそうだって。……俺が弱そうに思えるってことはルイもそう思えるってこと?」
酒が弱そうな顔ということだろうか、だとしたらどんな顔だよと思いながら聞けば、カルナはまた笑ってきた。
「ルイは案外強そうね」
「何でっ?」
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