双神の輪~紡がれる絆の物語~

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2章 学生編  生きる覚悟

69話

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「どう思う?」
「何か裏でもありそうだけど、ただルバスってそういうことしなさそうだよね」
「……まぁ……。非常に不本意だけど、気に食わないけど、言いたくないけど、ほんとマジ気に食わないけど、……でもまぁ、うん。あいつは言いがかり王だし身分による差別主義者ではあるけど曲がったことは嫌いだと思う」
「どんだけ気に食わないの」

 琉生が苦笑している。
 実際ルバスは流輝に対しても意外なほど正々堂々としか勝負を挑んでこない。最初の頃はディルアン兄弟について聞いていたこともあるし実際身分で人を見るような発言もしていたしで、勝負に関しても卑怯な手を使ってくるのではと思っていた。だが今まで言いがかりをつけてはきてもルバスは一度も卑怯な手を使ったことがない。
 しかもルバスが流輝と何度か模擬戦闘を行って以来魔法を使わなくなったのは、どうやら流輝が魔法をあまり使えないものと思い、公平を期すため自分も使わないようにしたと選択科目を取るようになってルバスの、例によって言いがかりでようやく知った。

「貴様、どういうことだ……!」
「は? 相変わらずいきなり突っかかってくるよな。何だよ」
「何故貴様が魔術科などを選択しているのだ。騎士科ではないのか」
「何故って……魔術師を目指してるからに決まってんだろが。……ああいや、魔術師以外を希望してる人もいるんだっけか。俺は魔術師を目指してるからだけど?」
「どういうことだ!」
「いやだから何だよ!」
「貴様は魔法があまり使えないのではないのか?」
「あ? なん……」

 何でだよ、と言いかけて今まで模擬戦闘などで戦闘系や防御系の魔法をあからさまに使っていなかった自分を流輝は思い出す。

「いや、別に他の魔法系の合同授業で使ってただろが」
「しかし模擬戦闘では一度も使ってこなかったではないか! 貴様がほぼ使えないものだとばかり思ったから俺も魔法を使わないようにして剣でのみ貴様に挑んだというのに」
「ええ……」

 それを聞いた時は一瞬「こいついいやつだな」と思ってしまった。だが基本的に憎たらしいことを思い出し、流輝は忌々しげに首を振る。

「何故首を振る。やはり魔法を実は使えるというのに、この俺に対し手加減などしたのではないだろうな!」
「ち、ちげーわ!」

 とはいえ実は相当使えるとも言い難い。魔術師となってからはそれなりに使ってやろうと思ってはいるが、この時点ではまだ魔術科を選択したところで従魔術師にさえなっていなかった。

「魔力はあると言われた。だけど俺は養子になる前は全然学んでなかった。だから上手く使える気がしなくて使ってなかったしその後もついそのまま使ってなかっただけだ」
「……なるほど。そうならば仕方がない。では戦闘として使い物になれば俺との戦闘時にもしっかりと使ってこい。そうしたら俺も思う存分貴様に業火のような火魔法を放って間違いなく倒してやる」
「……わかった」

 何というか、実際忌々しい相手ではあるのだが、妙に律儀で生真面目だったりしてたまに調子が狂ったりもする。
 流輝や琉生はむしろ貴族の身分だから気にならないのか避けるどころか突っかかってくるが、ローザリアのことに関しては王の娘という尊い立場にありながら王と全く血が繋がっていない、などというつまらない理由でどうやら避けているような男だ。身分によって人を見るタイプに間違いはないのだが、ルバスと同じ騎士科を選択している琉生が言うには平民と同じクラスであっても別に相手を見下すとかそれこそ身分差別をあからさまにしたり言いがかりをつけたりすることはないらしい。

「親しくする様子もないけどね」

 ある意味貴族らしい人なんじゃないと琉生は言っていた。流輝のようにやたら言いがかりをつけられたり突っかかれたりしないからか、琉生はルバスに対して特に嫌っていたり忌々しく思っていたりはしていないようだ。ローザリアに対しても侮蔑的な言葉を吐くなどといった態度に出ていれば違っていたかもしれないが、単に避けているだけのため「害はない」と琉生なりに見なしているのかもしれない。というか多分興味がないのだろう。普段も流輝が聞いたりしなければ特になにも言わない。
 とにかくそういうルバスだけに、何らかの策略を練ったり裏があったりするとは流輝ですらどうしても思えなかった。

「ただルバスが言っていた理由はどう考えても嘘なんだよねえ」
「それな」

 どうやら真っ直ぐ過ぎて嘘が苦手なのかもしれない。琉生が「明らかに君は俺らを茶会に招待したそうじゃないんだけど、だったら何故?」と聞いて答えてきた「アリアンのため」というのはあからさまに嘘だと双子は速攻で気づいていた。話している様子からもそう感じれたが、何より普段は「俺の妹に近寄るな」とこれまた言いがかりをつけてくるルバスがアリアンのために、アリアンと親しいとはいえ双子を茶会に招待するなどと到底思えるはずもなかった。

「長男のラントが関わってるとかねえかな」
「ドルフではなく?」
「ああ。ドルフってさ、王宮で何度か顔を合わせることあったけど何だろな、俺らのこと絶対忌々しく思っているだろうに基本丁寧に接してくるだろ。まあ裏がないとは言わねえけど、一応王族の一員として俺らの正体知ってるだろしで我慢してそうだろ、何か」
「だね。あの人って自分の理にかなってないことにはそつなくこなしてきそう。ラントねぇ。今のところ全然接触ないしどんな人かわからないよね」
「ああ。噂では頭のいい誠実な人で次期当主としての実力も十分あるとか聞いてるけど、実際会ってみないとなあ」
「……もしかしたらラントのほうでもそんな風に考えた、とか?」
「そんなって?」
「実際会ってみて俺らの様子を知ろうと」
「あー。まあ、用心するにこしたことはないな」
「だね」
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