双神の輪~紡がれる絆の物語~

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3章 騎士編 光の救世主

104話

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 とりあえずこれからモールザ王国の王族たちをどうするかについて話をしようとしていた時、神殿から進軍するための増援要請が入った。
 流輝たちはそのまま精鋭メンバーとともにあらかじめ準備していた軍を率いて神殿へ向かう。そろそろノアも流輝に対して反対すること自体諦めているようだ。
 モールザ王国第二王子であるロニーも共に向かうことになった。第一王子のセオはモールザ王国のごたごたを対応するため、まだ正式に継承していないので王代理として残る。
 すでに到着し待機していた各国からの援軍はレイクオーツ王国第一王子のルーベンとフェザリア王国第一王子のテディが率いていた。
 ルーベンとテディもモールザ王国についての話を聞いていたため、ロニーにむしろ話しかけていた。

「改めて大変でしたね。我々はモールザ王国復興の協力を惜しみません」
「ルーベン王子の言う通りです。それに元々我が国とそちらの国は取引関係もあり親しく付き合ってきました。もちろんこれからもお願いしたいと思っています」
「……ありがとうございます。本当に感謝します。……母が言っていたように、俺……私も国民の安全と安泰のために尽力したいので、とてもありがたいです。ですが私を含めた王族の者は大罪を償わなければなりません。残った兄上がおそらくはそういった今後の話を皆さまの国代表である陛下たちとしていると思いますが……」
「何をおっしゃる。ローガン王やおそらく大勢の貴族たちには確かに罪を償っていただくことになるでしょう……それはやはり免れないか、と……ですがロニー王子たちに対してはおそらく陛下たちも罪を問うつもりはないと思います。少なくとも私はそんなつもり一切ありません」
「私もそうです。強いて考えるなら、モールザ王国の立て直しに尽力されることこそ、償いになるのではないでしょうか」

 うんうん、今テディ王子とルーベン王子はいいこと言った。いいことを言ったよ。

 通常は竜馬に直接乗ることが多いが、人数が多いのもあり王子たちは竜馬が引く馬車に乗っていた。流輝は遠慮した、というか気楽に自分で竜馬に乗ろうと思っていたが気づけば同席させられていた。
 いくら光の救世主が王族と同等だと言われていても、初めて直接会う他国の王子たちにまで気さくに話しかけるほど流輝もさすがに子どもではない。そのためずっと黙って聞いていたし今も心の中で、そうだそうだと何度も頷いていた。
 テディもルーベンもかなり真面目そうな印象だ。セオやロニーも真面目そうではあるが、緊急の場でやり取りしたのもあり、少々見解は違っている。それに思っていたより話しやすかった。

 話しやすいと言えば、クラスメイトだった生徒会長のフィンはルーベン王子の弟なんだよなあ。フィン王子は話しやすいいいやつながらに結構癖のある性格だったけど……ルーベン王子はひたすら真面目そうだな。

 それにフィンを初めて見た時も「これぞ王子様」と思ったものだったが、フィンが言っていた通りルーベンはさらに輪をかけて「王子様」だった。絶対に童話に出ているはずだ。そしてテディも同じように「王子様」に見える。セオとロニーも正統派王子様といった風なのだが、やはりなにぶん極限の中出会ったため印象が異なっているのだろう。

 そういやテディ王子の妹のエリン王女はローザリアと同級生だったよな。結局一度もまともに見たことなかった。テディ王子がこうなら、エリン王女もすげー「王女様」って感じなのかもな。

 ローザリアも王女だが、昔からずっと接しているからか元々の性格なのか、あまりに気さくな言動を流輝たちにとってくるため「王女様」といった印象は全くない。

 まあ、そこがいいんだけどさ。つかせっかく無事帰ってきたのに結局ローザリアとゆっくり話す暇なかったよなあ。……キスすらまだしてねぇ。

 少し残念に思った後で流輝はそういえば、とルーベンを見た。

 エリン王女にひたすら婚約申し込みをしてたんだっけか、この人。

 長年その気になってもらえず、ようやく最近正式に婚約者になったとフィンからは聞いている。そんな折に今回のごたごたが発生し、心を痛めたルーベンは危険を顧みず自ら諜報員となってフェザリア王国で調査を行った。

 やわそう、って言ったら失礼だけど、優男風でキラキラして眩しい勢いのこの人が、なぁ。

「……どうかされましたか、リキ殿」
「え? あ、い、いや。どうもしません。失礼しました」
「何か言いたそうな感じがあったのですが。今は神殿へ向かう途中ですしゆっくり話をしている場合ではないと承知してはいますが、せっかくこうしてお会いできたのです。よかったら何でも遠慮なく言ってください」

 そう言われても、と苦笑するが、ルーベンはニコニコと眩しいばかりの笑みを向けてくる。あまりに眩しいのでつい流輝は口を滑らせた。

「ほんと深刻な状況でしょうに、全然関係ないこと思ってたんで……こんなキラキラした王子様然とした人が愛する婚約者のために諜報員みたいなことをなあ、と、つい」
「え」

 ニコニコとしていたルーベンの白い頬が赤くなる。と同時に今まで真面目そうな表情を浮かべていたテディが笑みを浮かべながら頷いてきた。

「それ、俺も思ってたんですよね! じゃなく私も……いやもう皆さんお互い気軽に話しましょうよ。それこそせっかくお会いできたんだし。いやほんとね、我が妹をそこまで思ってくれて俺としてもとても嬉しいんですよね。エリンが嫁に行くのは寂しいですが、ルーベン王子になら任せられるなと」
「お、お兄様」
「お兄様はやめてくださいよ。年、一歳しか変わんないでしょ? まあエリンがあなたの妻になれば確かに義兄になるわけですが。そういえばロニー王子がこの中では一番年上なんですよね」
「え? あ、ああ、そう、でしたね。なんか変な感じです。俺も弟妹がいるけど尊兄の存在がとてつもなく大きいので自分でもすごく弟の感覚が強くて」

 セオ王子のこと、尊兄とまで言ってる。俺らよりブラコンなんじゃね?

 相変わらず心の中で思っていると「リキ殿もほら、もっと打ち解けましょうよ」とテディにニコニコ言われた。
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