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4章 帰還編 双神の輪
117話
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琉生は流輝の目をしっかりと見つめながら言ってきた。
ローザリアを姉のように慕っていた、と。大好きだと伝えて欲しい、と。
モリスとカルナに、今後も二人を愛している、と。大切な両親だと伝えて欲しい、と。
伝えて欲しいと言いながら、琉生は頬に涙の跡を残したまま微笑んでくる。
「ああ……うん……伝える。伝える」
「あとね、これ……」
流輝から少し離れ、琉生は腰にある剣から飾り紐を外すと、剣を流輝に渡してきた。
「元の世界では使えないしね。兄さんが代わりに持ってて。でもお守りとして親がつけてくれた飾り紐だけは持っていくね」
これだけは貰う、と琉生はぎゅっと飾り紐を手に握った。
流輝は剣を預かると、また琉生を抱きしめた。
「俺も……伝えて。母さんに帰ってあげられなくてごめんって。ずっと思ってるからって。父さんに一緒にキャンプ行けなくてごめんって。忘れないからって」
絶対に、忘れないからと流輝は繰り返す。
「うん。伝える。戻った俺がどうなってるかわからないけど、それだけは絶対伝えるよ」
『そろそろ時間です』
アスルガルタが促す声が聞こえてきた。相変わらず感情の伴わない声だが、それでも二人が別れを惜しむ間そっとしていてくれたようにも思える。
「わかりました。俺が……俺、琉生だけが元の世界に戻ります」
『承知しました。では私からあなた方に聖神の加護を贈らせてください』
淡々とした声が続けてくる。
『我、愛しき創造神に、再び出会える祝福を』
アスルガルタの声の後、二人の体の中がほんのり温かくなった。
『では送ります』
「ルイ……ルイ……」
「一緒に同じ時を過ごせたこと、宝物のようだったよ」
琉生は最後に笑って告げてきた。だがその後すぐ、アスルガルタの力に包まれて光に飲み込まれるようにして消えていった。
流輝はしばらくそのまま固まっていた。まだ琉生のぬくもりが自分の中に残っている。
ルイ……ルイ……。もう、会えない。ルイ、もう会えない……。
せめてぬくもりを忘れないよう、流輝はそのまま留まっていた。
アリータ神もこんな風に、心にぽっかり穴が空いたみたいになったのかな。こんなに寂しくて悲しかったのかな。
まだぽたりぽたりと涙が出てくる。だが、創造神だった時と間違いなく異なることがある。流輝はぎゅっと自分の手首をもう片方の手で握った。
絆の輪。
今も確かに存在を感じる。一人じゃないと思える。もう会えないはずなのに、絆を間違いなく感じていた。
それでも寂しい。最後に琉生が言ったように、流輝からしても琉生と過ごした時間はすべて宝物だ。元の世界でもこの世界でも全部が宝物だ。
アリータ神と別れ、人間として過ごした時間も、罪をあがなうため「光の救世主」として繰り返した五回の人生も、どれもひとりぼっちだった。もちろん大切な人はできた。でも欠けたような寂しさはなくならなかった。人間になりたかったはずなのに、ずっとつらく、寂しかった。
でも今回の人生は寂しくなかった。大切な人と別れることになっても立ち直ってこれた。それは共に過ごすため欠片としておりてきてくれたアリータ神……琉生がいてくれたからだ。
『では、外へ出ましょう。私ともそれでお別れです』
感情の伴わない声ながらにアスルガルタはまた待ってくれていて、その後流輝を光の神殿の外へと転移させてくれた。
「アスルガルタ……ありがとう」
『……』
アリータ神、琉生との思い出の場所でもある光の神殿だが、これでもう二度と流輝は入られない。
「リ、キ……」
俯き、気持ちの整理を改めてしてから辺りを見回す流輝の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。見ればローザリアやモリス、カルナだけでなく、キャスやフランたち、そしてノアや他国の王子たちもずっと待っていてくれたのかそこにいた。
「リキ……!」
ローザリアが泣きながら駆け寄ってきた。そしてモリスとカルナも同じように駆け寄ってくる。
「よく、よく帰ってきた」
モリスは泣いていないが涙声だ。そして三人は流輝のそばに琉生がいないことに気づいた。
「ルイは元の世界へ帰還した。ローザリア、お前のこと姉のように思っていたって。大好きだって伝えてって」
流輝はローザリアを見ながら言うと、ローザリアは言葉にできないといった様子で手で口元を覆っている。
「お父さん、お母さん。これからもあなたたちをずっと愛してると。戻ってもお父さん、お母さんは大切な両親だと伝えて欲しい、と」
流輝は次にモリスとカルナを見ながら微笑み、伝えた。だが上手く笑えているか自信はない。
「おお……」
そう呟いて涙を流してきた後に、カルナは流輝をぎゅっと抱きしめてきた。モリスがそんな二人をさらに抱きしめてくる。
ルイ……伝えたからな。ルイ。お前もできたら伝えてくれ。
刺された琉生がよぎる。だがきっと琉生は大丈夫だとそこだけは妙に確信があった。
そんで俺、お前の分まで幸せな人生をここで送る。神の話は全て言えないにしても、伝えられることはちゃんと残していく。今度こそ寂しさや悲しさにやられないよ。だってずっとお前がいてくれたから。それにこうして絆の輪で感じられるから。だからどうかお前も、元の世界で幸せな人生を送って……。
ローザリアを姉のように慕っていた、と。大好きだと伝えて欲しい、と。
モリスとカルナに、今後も二人を愛している、と。大切な両親だと伝えて欲しい、と。
伝えて欲しいと言いながら、琉生は頬に涙の跡を残したまま微笑んでくる。
「ああ……うん……伝える。伝える」
「あとね、これ……」
流輝から少し離れ、琉生は腰にある剣から飾り紐を外すと、剣を流輝に渡してきた。
「元の世界では使えないしね。兄さんが代わりに持ってて。でもお守りとして親がつけてくれた飾り紐だけは持っていくね」
これだけは貰う、と琉生はぎゅっと飾り紐を手に握った。
流輝は剣を預かると、また琉生を抱きしめた。
「俺も……伝えて。母さんに帰ってあげられなくてごめんって。ずっと思ってるからって。父さんに一緒にキャンプ行けなくてごめんって。忘れないからって」
絶対に、忘れないからと流輝は繰り返す。
「うん。伝える。戻った俺がどうなってるかわからないけど、それだけは絶対伝えるよ」
『そろそろ時間です』
アスルガルタが促す声が聞こえてきた。相変わらず感情の伴わない声だが、それでも二人が別れを惜しむ間そっとしていてくれたようにも思える。
「わかりました。俺が……俺、琉生だけが元の世界に戻ります」
『承知しました。では私からあなた方に聖神の加護を贈らせてください』
淡々とした声が続けてくる。
『我、愛しき創造神に、再び出会える祝福を』
アスルガルタの声の後、二人の体の中がほんのり温かくなった。
『では送ります』
「ルイ……ルイ……」
「一緒に同じ時を過ごせたこと、宝物のようだったよ」
琉生は最後に笑って告げてきた。だがその後すぐ、アスルガルタの力に包まれて光に飲み込まれるようにして消えていった。
流輝はしばらくそのまま固まっていた。まだ琉生のぬくもりが自分の中に残っている。
ルイ……ルイ……。もう、会えない。ルイ、もう会えない……。
せめてぬくもりを忘れないよう、流輝はそのまま留まっていた。
アリータ神もこんな風に、心にぽっかり穴が空いたみたいになったのかな。こんなに寂しくて悲しかったのかな。
まだぽたりぽたりと涙が出てくる。だが、創造神だった時と間違いなく異なることがある。流輝はぎゅっと自分の手首をもう片方の手で握った。
絆の輪。
今も確かに存在を感じる。一人じゃないと思える。もう会えないはずなのに、絆を間違いなく感じていた。
それでも寂しい。最後に琉生が言ったように、流輝からしても琉生と過ごした時間はすべて宝物だ。元の世界でもこの世界でも全部が宝物だ。
アリータ神と別れ、人間として過ごした時間も、罪をあがなうため「光の救世主」として繰り返した五回の人生も、どれもひとりぼっちだった。もちろん大切な人はできた。でも欠けたような寂しさはなくならなかった。人間になりたかったはずなのに、ずっとつらく、寂しかった。
でも今回の人生は寂しくなかった。大切な人と別れることになっても立ち直ってこれた。それは共に過ごすため欠片としておりてきてくれたアリータ神……琉生がいてくれたからだ。
『では、外へ出ましょう。私ともそれでお別れです』
感情の伴わない声ながらにアスルガルタはまた待ってくれていて、その後流輝を光の神殿の外へと転移させてくれた。
「アスルガルタ……ありがとう」
『……』
アリータ神、琉生との思い出の場所でもある光の神殿だが、これでもう二度と流輝は入られない。
「リ、キ……」
俯き、気持ちの整理を改めてしてから辺りを見回す流輝の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。見ればローザリアやモリス、カルナだけでなく、キャスやフランたち、そしてノアや他国の王子たちもずっと待っていてくれたのかそこにいた。
「リキ……!」
ローザリアが泣きながら駆け寄ってきた。そしてモリスとカルナも同じように駆け寄ってくる。
「よく、よく帰ってきた」
モリスは泣いていないが涙声だ。そして三人は流輝のそばに琉生がいないことに気づいた。
「ルイは元の世界へ帰還した。ローザリア、お前のこと姉のように思っていたって。大好きだって伝えてって」
流輝はローザリアを見ながら言うと、ローザリアは言葉にできないといった様子で手で口元を覆っている。
「お父さん、お母さん。これからもあなたたちをずっと愛してると。戻ってもお父さん、お母さんは大切な両親だと伝えて欲しい、と」
流輝は次にモリスとカルナを見ながら微笑み、伝えた。だが上手く笑えているか自信はない。
「おお……」
そう呟いて涙を流してきた後に、カルナは流輝をぎゅっと抱きしめてきた。モリスがそんな二人をさらに抱きしめてくる。
ルイ……伝えたからな。ルイ。お前もできたら伝えてくれ。
刺された琉生がよぎる。だがきっと琉生は大丈夫だとそこだけは妙に確信があった。
そんで俺、お前の分まで幸せな人生をここで送る。神の話は全て言えないにしても、伝えられることはちゃんと残していく。今度こそ寂しさや悲しさにやられないよ。だってずっとお前がいてくれたから。それにこうして絆の輪で感じられるから。だからどうかお前も、元の世界で幸せな人生を送って……。
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