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9話 ※
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濡れたシャツを脱ぎながら、七瀬は携帯電話を弄っている。それを七瀬はまだ唖然とシャワーを浴びたままであった瑠衣の耳元へやってきた。
『もしもし? るい? あ? 何だこの音』
携帯電話の向こうで大胡の声がしていることで、弄っていたのは通話にしたのだと瑠衣は気づいた。
「あ、え……」
『るい? 何? 水の音これ? シャワー? わり、風呂ってたんか? にしてもだったら出てからでよかったのに。スマホ壊れんぞ、防水侮んな』
「あ、ああ……」
思わずそのまま受け答えしているが、シャツを脱いだ七瀬がそばにいることと、何より自分が無防備な状態なのがとてつもなく落ち着かない。だいたい七瀬は本当に何を考えているのだと思いチラリと窺うと、それに気づいた七瀬はどこか満足そうな表情をしてきた。しかもあろうことか瑠衣の体に手を伸ばし、背中にすっと指を這わせてくる。
「っぁ?」
『おい、るい? どうしたんだよ』
「な、何でも……」
ないと言いかけたところでその手が体の前へやってきた。そしてまた手のひらや指を這わせてくる。
こいつ、本気で何考えてんだ……!
文句を言いたいが通話中のままで、切りたくとも電話は七瀬が持ったままだ。瑠衣にできることは変な声が出ないよう片手で口を押え、もう片方の手で七瀬をぶん殴ろうとすることだった。しかし背後にいる七瀬を殴ろうにも無駄に手を振り回しているだけで上手くいかない。せめてシャワーを止めようかと思ったがそうするとむしろ変な声が出てしまった時ひたすら自分の声だけが響くことになる。
『なあ、るい、マジで大丈夫なんか?』
「あ、ああ……」
『お前、でも変だぞ』
心配してくれるのは嬉しいが、そう思うなら掛け直すと今すぐ言ってくれと瑠衣は心の底から願う。自分で言えばいいのだが、下手に喋ろうとしても七瀬の手のひらや指の動きが気になって普通に話す自信がない。こんな状況だというのにまだ萎えていない自分のものが七瀬に対してほどではないが理解できないと思いつつ、そこに触れてこないことにとりあえず安心していた。
……いや、普通男のもんなんて触りたくないよな。俺は嫌だ。こいつだってあれ程俺を避けてたってことは嫌になっているだろうし……にしてもいくら邪魔したからって何の嫌がらせだよ……!
きっ、と後ろを向いて睨みつけるも、七瀬は気にもしない。むしろ顔を近づけてきた。携帯電話を耳に当てられていないほうを向くのではなかったと思う暇もなく、七瀬の唇が瑠衣の唇に触れてくる。それは一瞬触れたかと思うと今度は何度もついばみ、そしてまるで瑠衣の唇を食べようとするかのように貪ってきた。
は?
唖然となり思わずぽかんと顎の力を抜くと口の中に舌まで入ってきた。
「は、む……っ」
『おい、まさかシャワー浴びながら電話出つつ何か食ってんのか? 器用かよ、何考えてんだストレスでも溜まってんじゃねーだろなお前……』
確かに舌食わされてるよ! くそ、ああもう何に集中して何をどう排除すればいいのか考えまとまらないんだけど……!
「ん、ぅ」
何とか顔を退けさせるも、今度は耳を咥えられた。つっと耳たぶや耳輪、耳介をなぞるように舌が動くと、瑠衣の中でぞくぞくとした何かが蠢いた。
おかげで下も萎えるどころかますます張りつめだす。思わず止めろと言おうとしたが上手く言葉にならず「や」くらいしか発音できていない。これではまるで可愛く抵抗しているかのようで自分に腹が立った。
その上その舌が耳の穴を舐めてくると力の抜けたようなため息と声が入り混じったような音が瑠衣の口から洩れた。幸いシャワーの音もあってかこれでも大胡はわかっていないようでかろうじてホッとするが、とりあえず今すぐ消えてしまいたいほどには恥ずかしいし七瀬をぶん殴りたい。だが思い切り七瀬の腹に渾身の一発をぶちまけたいというのに、拘束されているわけでもない瑠衣は全然ままならない。あろうことかまるで尻を押し付けるような体勢になり、嫌でも七瀬のそこが硬くなっていることに気づいた。
何なんだよ、ほんと何なんだよ……!
混乱と羞恥心のせいで涙まで滲んできた。それに気づいた七瀬はまた満足そうな表情で瑠衣の目元を舐めてくる。いっそ後ろなど睨まずにずっとシャワーをひたすら顔に浴びせておけばよかったと瑠衣は思った。そうしたら目や唇やそして耳を舐められることもなかったのかもしれない。わからないが、そう思いたいだけかもしれないし、そう思ったところで意味がないことだけはわかる。
「ぁ……」
七瀬がまた耳を舌で甚振り出し、空いているほうの手で瑠衣の乳首をまさぐってくる。先ほどから自分でさえ下に触れていないというのに、今や高ぶったそれは情けないほど張りつめていた。幸いシャワーのおかげで濡れているであろうことはわからないだろうが、ここまで反り立っていれば瑠衣の心を軽く裂いてくる程度には居たたまれない。
『何かよく聞こえなくなってきたけど。やっぱスマホ、ご臨終なんじゃねえか? とりあえずどのみち風呂の中じゃ資料見れねーだろ。後で風呂出てからお前がかけて来いよ。一旦切るわ』
「あ、あ……っ」
ああ、と同意しかけたところで七瀬がそのそそり立った先を指でぐりっと触れてきた。おかげさまで同意と喘ぎ声が入り混じりつつ思い切り射精した。とその前に七瀬がそこから手を離し、携帯電話の通話を終了させていた。
『もしもし? るい? あ? 何だこの音』
携帯電話の向こうで大胡の声がしていることで、弄っていたのは通話にしたのだと瑠衣は気づいた。
「あ、え……」
『るい? 何? 水の音これ? シャワー? わり、風呂ってたんか? にしてもだったら出てからでよかったのに。スマホ壊れんぞ、防水侮んな』
「あ、ああ……」
思わずそのまま受け答えしているが、シャツを脱いだ七瀬がそばにいることと、何より自分が無防備な状態なのがとてつもなく落ち着かない。だいたい七瀬は本当に何を考えているのだと思いチラリと窺うと、それに気づいた七瀬はどこか満足そうな表情をしてきた。しかもあろうことか瑠衣の体に手を伸ばし、背中にすっと指を這わせてくる。
「っぁ?」
『おい、るい? どうしたんだよ』
「な、何でも……」
ないと言いかけたところでその手が体の前へやってきた。そしてまた手のひらや指を這わせてくる。
こいつ、本気で何考えてんだ……!
文句を言いたいが通話中のままで、切りたくとも電話は七瀬が持ったままだ。瑠衣にできることは変な声が出ないよう片手で口を押え、もう片方の手で七瀬をぶん殴ろうとすることだった。しかし背後にいる七瀬を殴ろうにも無駄に手を振り回しているだけで上手くいかない。せめてシャワーを止めようかと思ったがそうするとむしろ変な声が出てしまった時ひたすら自分の声だけが響くことになる。
『なあ、るい、マジで大丈夫なんか?』
「あ、ああ……」
『お前、でも変だぞ』
心配してくれるのは嬉しいが、そう思うなら掛け直すと今すぐ言ってくれと瑠衣は心の底から願う。自分で言えばいいのだが、下手に喋ろうとしても七瀬の手のひらや指の動きが気になって普通に話す自信がない。こんな状況だというのにまだ萎えていない自分のものが七瀬に対してほどではないが理解できないと思いつつ、そこに触れてこないことにとりあえず安心していた。
……いや、普通男のもんなんて触りたくないよな。俺は嫌だ。こいつだってあれ程俺を避けてたってことは嫌になっているだろうし……にしてもいくら邪魔したからって何の嫌がらせだよ……!
きっ、と後ろを向いて睨みつけるも、七瀬は気にもしない。むしろ顔を近づけてきた。携帯電話を耳に当てられていないほうを向くのではなかったと思う暇もなく、七瀬の唇が瑠衣の唇に触れてくる。それは一瞬触れたかと思うと今度は何度もついばみ、そしてまるで瑠衣の唇を食べようとするかのように貪ってきた。
は?
唖然となり思わずぽかんと顎の力を抜くと口の中に舌まで入ってきた。
「は、む……っ」
『おい、まさかシャワー浴びながら電話出つつ何か食ってんのか? 器用かよ、何考えてんだストレスでも溜まってんじゃねーだろなお前……』
確かに舌食わされてるよ! くそ、ああもう何に集中して何をどう排除すればいいのか考えまとまらないんだけど……!
「ん、ぅ」
何とか顔を退けさせるも、今度は耳を咥えられた。つっと耳たぶや耳輪、耳介をなぞるように舌が動くと、瑠衣の中でぞくぞくとした何かが蠢いた。
おかげで下も萎えるどころかますます張りつめだす。思わず止めろと言おうとしたが上手く言葉にならず「や」くらいしか発音できていない。これではまるで可愛く抵抗しているかのようで自分に腹が立った。
その上その舌が耳の穴を舐めてくると力の抜けたようなため息と声が入り混じったような音が瑠衣の口から洩れた。幸いシャワーの音もあってかこれでも大胡はわかっていないようでかろうじてホッとするが、とりあえず今すぐ消えてしまいたいほどには恥ずかしいし七瀬をぶん殴りたい。だが思い切り七瀬の腹に渾身の一発をぶちまけたいというのに、拘束されているわけでもない瑠衣は全然ままならない。あろうことかまるで尻を押し付けるような体勢になり、嫌でも七瀬のそこが硬くなっていることに気づいた。
何なんだよ、ほんと何なんだよ……!
混乱と羞恥心のせいで涙まで滲んできた。それに気づいた七瀬はまた満足そうな表情で瑠衣の目元を舐めてくる。いっそ後ろなど睨まずにずっとシャワーをひたすら顔に浴びせておけばよかったと瑠衣は思った。そうしたら目や唇やそして耳を舐められることもなかったのかもしれない。わからないが、そう思いたいだけかもしれないし、そう思ったところで意味がないことだけはわかる。
「ぁ……」
七瀬がまた耳を舌で甚振り出し、空いているほうの手で瑠衣の乳首をまさぐってくる。先ほどから自分でさえ下に触れていないというのに、今や高ぶったそれは情けないほど張りつめていた。幸いシャワーのおかげで濡れているであろうことはわからないだろうが、ここまで反り立っていれば瑠衣の心を軽く裂いてくる程度には居たたまれない。
『何かよく聞こえなくなってきたけど。やっぱスマホ、ご臨終なんじゃねえか? とりあえずどのみち風呂の中じゃ資料見れねーだろ。後で風呂出てからお前がかけて来いよ。一旦切るわ』
「あ、あ……っ」
ああ、と同意しかけたところで七瀬がそのそそり立った先を指でぐりっと触れてきた。おかげさまで同意と喘ぎ声が入り混じりつつ思い切り射精した。とその前に七瀬がそこから手を離し、携帯電話の通話を終了させていた。
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