5 / 20
5話
しおりを挟む
朝哉は暫く固まったままその場に立ちすくんでいた。一瞬、郭夜がおかしくなったのかとさえ思った。なんとか気を取り直してマジマジと郭夜をだが見ても、ふざけているような表情はしていないし至って真顔だ。
いや、でも好きって照れもなく真顔で言うこと……? つかその前に好きってなによ? これ、どうとったらいいの?
でも普通に考えて告白っつってたし「好きになったみたい」ってんなら最近のことって意味だよね? それってもう、確定じゃね……?
思い至った考えに唖然となっていると「聞いているのか?」と問われる。
「き、聞いてる、けど……そもそもなんで今さら? 高校ん時からずっと居ててなんで?」
「あの日、お前キスしてきただろ」
「え、あ、ハイ……」
覚えてませんが、と思いつつ頷くと「覚えてないみたいだけど」と郭夜も続けてくる。
「それ以来頭に残ってて、好きになったみたい」
「……っ? な、マジで? え、でもだって酔って訳わかってねーままのふざけたチューだろ……?」
「そんなん俺が知るか」
淡々と言ってくる郭夜が男らしい。
ああもう、これじゃあどっちが告白してるのかわかんねぇよ……!
微妙になりつつも朝哉は笑って誤魔化そうとした。
「で、でも俺はお前とは友だちでいたいからその……」
「まあ、そうだろうな……。お前女好きだし。でも、俺は諦めるつもりはない。第一俺も男に興味はない。だけど俺をこんな風にしたきっかけを与えたのはお前なんだから、覚悟しろよ?」
「どういう意味っ?」
郭夜の言葉に青くなり、朝哉は思わず壁にへばりつくように後退った。
「どういう意味もなにも、言葉のままだけど」
動揺する朝哉に対し、告白した側であるはずの郭夜はひたすら堂々としている。
「こ、言葉のままって……! だいたいほんとなんだよ。そ、そりゃいきなりチューした俺が悪いのかもだけど、マジ酔ってて覚えてねーし」
「それ、俺が女でも言えんのか?」
郭夜に言われ、朝哉はグッと詰まる。確かに郭夜がもし女だったら自分が酔って勝手に無理やりキスしたのなら、こんな言い草はないと思う。
「……ごめん。覚えてないからってのはなんか逃げだよ、な」
朝哉が謝ると、だが郭夜はニコリと微笑んでくる。
「まあ実際俺は女じゃないし、それくらいのことで凹むつもりはないし、そもそも今現に不法侵入していたのは俺だし」
不敵に笑われ、朝哉はまた唖然となる。どうにも振り回されている感じしかしない。告白したのは郭夜なのに、とまた思いながら朝哉はムッとした。
「じゃあなんで言うんだよ! くそ。だいたいそうだよ、勝手に人の家入んなよ、ストーカーか。鍵なんで持ってんだよ!」
「鍵は勝手に作ってた」
「待っ、っちょ、お前いつから俺のこと好きなの……?」
微妙になりながら聞けば「ああ」と動じた様子もなく郭夜が答えてくる。
「好きになったのはキスされてからっつったろ。鍵はお前が俺に面倒かけてくる関係で作ったんだよ。現にキスされた日もお前、自分で鍵出すこともできなかったろうが」
「っう」
そう言われると返す言葉もない。黙っていると郭夜が立ち上がった。それに対しとてつもなく警戒していると「そんなに構えるなよ」と笑われる。
「か、構えもするだろ! 好きって言われて……、……つかあの、覚悟とか言っただろが」
「覚悟したのか?」
「し、してない! してねーけどか、構えちゃうだろそんなん! だいたいお前、俺の親友なのに俺、どーしていいか……」
「好きになればいいと思うよ」
「い、いやいやいやいやいや……!」
朝哉が青くなっていると郭夜はそのまま玄関に向かいだした。
「って、郭夜?」
「いや、今日はとりあえず打ち明けにきただけだから。じゃあまた」
淡々とした様子で言い放つと、郭夜はそのまま出ていき、ご丁寧にも鍵をかけていった。
「……あ、あり得ないだろ……」
一気に力が抜けた。動揺して、心臓が正直成人病にでもなったのかというくらい激しくどくどくいっている。
なんで俺なの。
動揺しまくった後に茫然と思う。
あんなにモテててんのに。だいたい俺は女の子がいいんだよ……!
もしかして冗談だったということはないだろうかと考えてみる。だが今まで付き合ってきて、郭夜がそういう冗談を言っているのを聞いたことがない。
どうしたらいいんだと朝哉は頭を抱えた。郭夜のことは好きなのだ。もちろん、そういう意味ではなく親友としてだが。
これからもずっと大事な友だちとしてやっていけると思っていた。だというのに、本当にどうしていいのかわからない。
とりあえずわかるのは、「好き」に応じられないけれども、友だちは止めたくないということだった。
一方自分の部屋に戻った郭夜はとりあえずシャワーを浴びた。出るとまだ早い時間だが布団を敷いて夕食もとらずに横になる。じっと天井を見た後にふと目を逸らした。
梓と話した後、意を決して勢いのまま朝哉の部屋に押しかけた。帰ってきた朝哉にそしてその勢いのまま告白した。ずっと顔色も変わっていなかったのは自分でもわかるし態度も普通だったと思う。
だが実際は結構いっぱいいっぱいだった。ただでさえ男に興味ない相手に、むしろ女々しいところなんて逆に見せたくない。それもずっと友だちだったのだ。多分「嫌われたくない」という気持ちが無意識に働いたのだと思う。
「……好きだと言った時点で嫌われても仕方ないのにな」
そもそも友だちという関係も、自分が好きになってしまった以上続けられる訳がない。友だちのままでも仲良くできるのなら嬉しいという気持ちは郭夜にもある。だがそれだけではどのみち自分が抑えられないのはわかっている。
だったら言うしかないし、それを言われて朝哉が困るとしか思えないとわかっていても堪えることはできなかった。
ため息をつくと、郭夜はそのまま目を閉じた。
いや、でも好きって照れもなく真顔で言うこと……? つかその前に好きってなによ? これ、どうとったらいいの?
でも普通に考えて告白っつってたし「好きになったみたい」ってんなら最近のことって意味だよね? それってもう、確定じゃね……?
思い至った考えに唖然となっていると「聞いているのか?」と問われる。
「き、聞いてる、けど……そもそもなんで今さら? 高校ん時からずっと居ててなんで?」
「あの日、お前キスしてきただろ」
「え、あ、ハイ……」
覚えてませんが、と思いつつ頷くと「覚えてないみたいだけど」と郭夜も続けてくる。
「それ以来頭に残ってて、好きになったみたい」
「……っ? な、マジで? え、でもだって酔って訳わかってねーままのふざけたチューだろ……?」
「そんなん俺が知るか」
淡々と言ってくる郭夜が男らしい。
ああもう、これじゃあどっちが告白してるのかわかんねぇよ……!
微妙になりつつも朝哉は笑って誤魔化そうとした。
「で、でも俺はお前とは友だちでいたいからその……」
「まあ、そうだろうな……。お前女好きだし。でも、俺は諦めるつもりはない。第一俺も男に興味はない。だけど俺をこんな風にしたきっかけを与えたのはお前なんだから、覚悟しろよ?」
「どういう意味っ?」
郭夜の言葉に青くなり、朝哉は思わず壁にへばりつくように後退った。
「どういう意味もなにも、言葉のままだけど」
動揺する朝哉に対し、告白した側であるはずの郭夜はひたすら堂々としている。
「こ、言葉のままって……! だいたいほんとなんだよ。そ、そりゃいきなりチューした俺が悪いのかもだけど、マジ酔ってて覚えてねーし」
「それ、俺が女でも言えんのか?」
郭夜に言われ、朝哉はグッと詰まる。確かに郭夜がもし女だったら自分が酔って勝手に無理やりキスしたのなら、こんな言い草はないと思う。
「……ごめん。覚えてないからってのはなんか逃げだよ、な」
朝哉が謝ると、だが郭夜はニコリと微笑んでくる。
「まあ実際俺は女じゃないし、それくらいのことで凹むつもりはないし、そもそも今現に不法侵入していたのは俺だし」
不敵に笑われ、朝哉はまた唖然となる。どうにも振り回されている感じしかしない。告白したのは郭夜なのに、とまた思いながら朝哉はムッとした。
「じゃあなんで言うんだよ! くそ。だいたいそうだよ、勝手に人の家入んなよ、ストーカーか。鍵なんで持ってんだよ!」
「鍵は勝手に作ってた」
「待っ、っちょ、お前いつから俺のこと好きなの……?」
微妙になりながら聞けば「ああ」と動じた様子もなく郭夜が答えてくる。
「好きになったのはキスされてからっつったろ。鍵はお前が俺に面倒かけてくる関係で作ったんだよ。現にキスされた日もお前、自分で鍵出すこともできなかったろうが」
「っう」
そう言われると返す言葉もない。黙っていると郭夜が立ち上がった。それに対しとてつもなく警戒していると「そんなに構えるなよ」と笑われる。
「か、構えもするだろ! 好きって言われて……、……つかあの、覚悟とか言っただろが」
「覚悟したのか?」
「し、してない! してねーけどか、構えちゃうだろそんなん! だいたいお前、俺の親友なのに俺、どーしていいか……」
「好きになればいいと思うよ」
「い、いやいやいやいやいや……!」
朝哉が青くなっていると郭夜はそのまま玄関に向かいだした。
「って、郭夜?」
「いや、今日はとりあえず打ち明けにきただけだから。じゃあまた」
淡々とした様子で言い放つと、郭夜はそのまま出ていき、ご丁寧にも鍵をかけていった。
「……あ、あり得ないだろ……」
一気に力が抜けた。動揺して、心臓が正直成人病にでもなったのかというくらい激しくどくどくいっている。
なんで俺なの。
動揺しまくった後に茫然と思う。
あんなにモテててんのに。だいたい俺は女の子がいいんだよ……!
もしかして冗談だったということはないだろうかと考えてみる。だが今まで付き合ってきて、郭夜がそういう冗談を言っているのを聞いたことがない。
どうしたらいいんだと朝哉は頭を抱えた。郭夜のことは好きなのだ。もちろん、そういう意味ではなく親友としてだが。
これからもずっと大事な友だちとしてやっていけると思っていた。だというのに、本当にどうしていいのかわからない。
とりあえずわかるのは、「好き」に応じられないけれども、友だちは止めたくないということだった。
一方自分の部屋に戻った郭夜はとりあえずシャワーを浴びた。出るとまだ早い時間だが布団を敷いて夕食もとらずに横になる。じっと天井を見た後にふと目を逸らした。
梓と話した後、意を決して勢いのまま朝哉の部屋に押しかけた。帰ってきた朝哉にそしてその勢いのまま告白した。ずっと顔色も変わっていなかったのは自分でもわかるし態度も普通だったと思う。
だが実際は結構いっぱいいっぱいだった。ただでさえ男に興味ない相手に、むしろ女々しいところなんて逆に見せたくない。それもずっと友だちだったのだ。多分「嫌われたくない」という気持ちが無意識に働いたのだと思う。
「……好きだと言った時点で嫌われても仕方ないのにな」
そもそも友だちという関係も、自分が好きになってしまった以上続けられる訳がない。友だちのままでも仲良くできるのなら嬉しいという気持ちは郭夜にもある。だがそれだけではどのみち自分が抑えられないのはわかっている。
だったら言うしかないし、それを言われて朝哉が困るとしか思えないとわかっていても堪えることはできなかった。
ため息をつくと、郭夜はそのまま目を閉じた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
僕の恋人は、超イケメン!!
八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(2024.10.21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
【完結】ずっと一緒にいたいから
隅枝 輝羽
BL
榛名はあまり目立ったところはないものの、真面目な縁の下の力持ちとして仕事に貢献していた。そんな榛名の人に言えないお楽しみは、お気に入りのおもちゃで後ろをいじること。社員旅行の前日もア○ニーですっきりさせて、気の進まないまま旅行に出発したのだが……。
J庭57のために書き下ろしたお話。
同人誌は両視点両A面だったのだけど、どこまで載せようか。全部載せることにしましたー!
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
最強βの俺が偽装Ωになったら、フェロモン無効なのに狂犬王子に求愛されました~前世武道家なので物理で分からせます~
水凪しおん
BL
前世は日本の武道家、今世は平民β(ベータ)のルッツ。
「Ωだって強い」ことを証明するため、性別を偽り「Ω」として騎士団へ入団した彼は、その卓越した身体能力と前世の武術で周囲を圧倒する。
しかし、その強さと堂々とした態度が仇となり、最強のα(アルファ)である第一王子・イグニスの目に止まってしまった!
「お前こそ俺の運命の番だ」
βだからフェロモンなんて効かないのに、なぜかイグニスの熱烈な求愛(物理)攻撃を受ける日々に突入!?
勘違いから始まる、武闘派β×最強王子のドタバタ王宮BLファンタジー!
自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話
あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」
トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。
お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。
攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。
兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。
攻め:水瀬真広
受け:神崎彼方
⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。
途中でモブおじが出てきます。
義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。
初投稿です。
初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる