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3Wednesday
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青葉はとりあえずひたすら自分の枕下に頭を押しつけ、一人悶えていた。
俺、恥ずかしい……!
ひたすら、耐えがたいほど恥ずかしい。
嫌わないでって、何……! 馬鹿なの? ガキなの? 童貞なの……っ?
放課後に睦が出て行った後、慶一の後処理をしているとだんだん気持ちが昂っていった。それはわかる。性少年だし性格悪いから仕方ない。
だが普通に昂ればいいものを、変なスイッチが入った。ただ達せさせたいだけじゃなく、キスしたくて堪らなくなった。最初は突っ込みたいと思っていただけだったはずが、結局突っ込むこともなくひたすら愛撫し、キスしていた。むしろあの場では突っ込みたくなくなった。
いや違う。本当は思いきり自分のものを埋め込みたかった。睦に犯された中をまるで書き換えるかのように思いきり抉りたかった。だが疲れ何もかもどうでもいいといった様子の慶一を見ていると、してはいけないような気になった。
それでも青葉の指で少しずつ体を震わせる慶一が愛おしく感じ、貪りたいとは思うものの、ただひたすら気持ちよくなって欲しいと思った。
夢中になって唇を貪り、慶一の秘部を愛撫した。多分完全に変なスイッチが入っていた。達した慶一があまりに愛おしくて、そうなると今まで自分が慶一にしてきたことがどうにも居たたまれなくて、楽しい気分どころではなくなった。
とはいえそれも結局のところ自分の欲望の押しつけだということくらい青葉もわかっている。
だからこそなおさら自分が痛かった。情けない。感情くらいコントロールして、あそこは黙っているべきだった。
押しつけるならせめて男として、あそこはごめん、二度としないって謝った上に「好きだ」じゃねぇの?
枕の下に頭を突っ込んでひたすらマットレスをばんばんと叩きつつそう思ったところで、青葉は固まった。
は? え? 俺今何考えた? 「好き」?
だがそう思ったところでその前からどうにも慶一に対しての捉え方はおかしくなかったかと微妙になり振り返る。
好きだ、と言葉で思う前に先ほども慶一が愛おしくてと普通に考えていなかったか。
え? 待って? いやほんと、待って? あれ? ちょ、え?
青葉は固まったまま頭の中だけが目まぐるしく動いていく。とはいえある意味こちらも働いていない。馬鹿の一つ覚えのようにひたすらぐるぐる「好き」という言葉が意味をなさずに回っているだけだ。もはや「スキ」がゲシュタルト崩壊しだし、青葉は冷静になろうと一旦起きあがり深呼吸をする。
コーヒー……好き。
スポーツ……好き。
ゲーム……好き。
うん、ちゃんと意味をなしている、ともう少し細かく考える。
宏さんと千鶴さんの二人をネタにして同人誌をむつと作る……楽しいから好き。
三里ちゃんをからかって遊ぶ……やっぱり楽しいから好き。
兄弟とわかっていてむつとセックスする……しちゃいけないことしてる感じが堪らなくて好き。
むつと一緒に慶一くんで遊ぶ……普段見られない表情がこれまた堪らなくて楽しいから好き。
しかし睦とのセックスや慶一で遊ぶことは間違いなく好きだったはずなのに、今改めて考えると胸がチリチリした。
おかしい。
やっぱり好きという感覚がおかしくなっているのかと青葉は首を傾げる。もう一度簡単なことを考える。
漫画……好き
おしゃれ……好き
セックス……好き
普通だ。ちゃんと、普通に好きだと判断できている。
むつ……好き
慶一くん……好、き……。
慶一はもちろんそりゃ好きだ。いたぶってあんなに楽しい。間違っていない。だからおかしくない。
だというのになぜ慶一を好きだと思う自分の気持ちがこうもざわつくのか。
……マジかよ……。
青葉は自分の口を押さえた。顔が熱い。
待って? いやでもうん、待って。いや、違う、誰が何を待つってんだ。いい加減理解しろよ俺。
自分の中で延々と自問自答を繰り返すが、ふと慶一の顔を思い浮かべ、思いきりぶわっと音すら聞こえそうなほど顔の熱とテンションが上がった気がした。
ああ……やっぱりきっと、多分、間違いない。俺、慶一くんが、好きだ。
好きで、そしてキスしたくて抱きしめたくてセックスじゃなくてもいいから触れあいたくて堪らない。
先ほどまでひたすら枕の下で恥ずかしいと悶えていた青葉は、違う意味で今度は悶えそうになりその枕をつかんでぎゅっと抱きしめた。
やべぇ……すげぇテンションあがる。マジやべぇ。どうしよう。
青葉はさらに枕をぎゅっと抱きしめると、赤くなった顔を枕に押しつけた。本気の相手が男というのは全然気にならなかった。
明日……慶一くんに会って……そんでもっかい、ちゃんと今までごめんねって謝ろう。許してもらえるまでいっぱい謝って、そんで好きだって言おう。勝手で性格悪いけど……でももうしないから、ちゃんとつき合ってください、って……。
ドキドキしながら考えていると「あおー?」と呼びかけながら睦が部屋に入ってきた。
「むつ」
「……具合でも悪いの?」
「え? いや悪くねーよ?」
むしろ凄くテンションは上がっている。
「そう? だったらいーけど。今日あの後慶一くんとした?」
「してねぇよっ? そうだよ、ったく! 中に出すなよなーむつ。慶一くんかわいそうだろ。それに……何つーの、もうああいうこと、慶一くんにするの、俺やめたい」
好きな相手にあんなことしていたら駄目だし、いくら睦でも好きな相手は共有できない。
これまた勝手だろうが、好きになったら仕方ないと青葉は睦を見た。睦にもはっきり「慶一くんが好きなんだ」と先に言うべきかなと思ったが、何となく気恥ずかしくて言いづらい。
「……あー。…………んー……、じゃあ……あおはやめれば……? 俺はするけど」
「え、いや、そーじゃな……」
「だって……ああうん、だってさー俺、慶一くんのこと、好きなんだよねー」
「……え?」
ポカンと青葉は睦を見た。睦は優しげな笑みを浮かべている。
「俺ね、慶一くんのこと好きなんだよね。だから俺はする、けどお前はやめればいーんじゃね?」
「え、むつ、慶一くんのこと、好き、なの……?」
慶一が好きで、だからもうあんなことはやめよう、そして好きだと伝えようと上がっていたテンションが急激に落ちた。
こういう場合どうしたらいいのだろうか。そういえば誰かを好きになったことが、もしかしなくてもなかった。そして睦と何か取り合ったこともなかった。玩具はそれぞれ好きなものが違ったし服だって微妙に好みが違っていた。だが確かに興味を持つ人は、前から似ていた。
どうしたら、いいんだろう。むつは……ずっと慶一くんが好きだったのだろうか……そういえば俺が高等部上がる前から気にしてなかったか。だいたいむつが俺に何か欲しがったことなんてなかったんじゃないのか? だったら……。……それに俺はまだ気づいたばかりなら……もしかしたら気持ちは変えられるんじゃないのか?
「……そ、か」
青葉は少し呆然としながらただそう呟いていた。
俺、恥ずかしい……!
ひたすら、耐えがたいほど恥ずかしい。
嫌わないでって、何……! 馬鹿なの? ガキなの? 童貞なの……っ?
放課後に睦が出て行った後、慶一の後処理をしているとだんだん気持ちが昂っていった。それはわかる。性少年だし性格悪いから仕方ない。
だが普通に昂ればいいものを、変なスイッチが入った。ただ達せさせたいだけじゃなく、キスしたくて堪らなくなった。最初は突っ込みたいと思っていただけだったはずが、結局突っ込むこともなくひたすら愛撫し、キスしていた。むしろあの場では突っ込みたくなくなった。
いや違う。本当は思いきり自分のものを埋め込みたかった。睦に犯された中をまるで書き換えるかのように思いきり抉りたかった。だが疲れ何もかもどうでもいいといった様子の慶一を見ていると、してはいけないような気になった。
それでも青葉の指で少しずつ体を震わせる慶一が愛おしく感じ、貪りたいとは思うものの、ただひたすら気持ちよくなって欲しいと思った。
夢中になって唇を貪り、慶一の秘部を愛撫した。多分完全に変なスイッチが入っていた。達した慶一があまりに愛おしくて、そうなると今まで自分が慶一にしてきたことがどうにも居たたまれなくて、楽しい気分どころではなくなった。
とはいえそれも結局のところ自分の欲望の押しつけだということくらい青葉もわかっている。
だからこそなおさら自分が痛かった。情けない。感情くらいコントロールして、あそこは黙っているべきだった。
押しつけるならせめて男として、あそこはごめん、二度としないって謝った上に「好きだ」じゃねぇの?
枕の下に頭を突っ込んでひたすらマットレスをばんばんと叩きつつそう思ったところで、青葉は固まった。
は? え? 俺今何考えた? 「好き」?
だがそう思ったところでその前からどうにも慶一に対しての捉え方はおかしくなかったかと微妙になり振り返る。
好きだ、と言葉で思う前に先ほども慶一が愛おしくてと普通に考えていなかったか。
え? 待って? いやほんと、待って? あれ? ちょ、え?
青葉は固まったまま頭の中だけが目まぐるしく動いていく。とはいえある意味こちらも働いていない。馬鹿の一つ覚えのようにひたすらぐるぐる「好き」という言葉が意味をなさずに回っているだけだ。もはや「スキ」がゲシュタルト崩壊しだし、青葉は冷静になろうと一旦起きあがり深呼吸をする。
コーヒー……好き。
スポーツ……好き。
ゲーム……好き。
うん、ちゃんと意味をなしている、ともう少し細かく考える。
宏さんと千鶴さんの二人をネタにして同人誌をむつと作る……楽しいから好き。
三里ちゃんをからかって遊ぶ……やっぱり楽しいから好き。
兄弟とわかっていてむつとセックスする……しちゃいけないことしてる感じが堪らなくて好き。
むつと一緒に慶一くんで遊ぶ……普段見られない表情がこれまた堪らなくて楽しいから好き。
しかし睦とのセックスや慶一で遊ぶことは間違いなく好きだったはずなのに、今改めて考えると胸がチリチリした。
おかしい。
やっぱり好きという感覚がおかしくなっているのかと青葉は首を傾げる。もう一度簡単なことを考える。
漫画……好き
おしゃれ……好き
セックス……好き
普通だ。ちゃんと、普通に好きだと判断できている。
むつ……好き
慶一くん……好、き……。
慶一はもちろんそりゃ好きだ。いたぶってあんなに楽しい。間違っていない。だからおかしくない。
だというのになぜ慶一を好きだと思う自分の気持ちがこうもざわつくのか。
……マジかよ……。
青葉は自分の口を押さえた。顔が熱い。
待って? いやでもうん、待って。いや、違う、誰が何を待つってんだ。いい加減理解しろよ俺。
自分の中で延々と自問自答を繰り返すが、ふと慶一の顔を思い浮かべ、思いきりぶわっと音すら聞こえそうなほど顔の熱とテンションが上がった気がした。
ああ……やっぱりきっと、多分、間違いない。俺、慶一くんが、好きだ。
好きで、そしてキスしたくて抱きしめたくてセックスじゃなくてもいいから触れあいたくて堪らない。
先ほどまでひたすら枕の下で恥ずかしいと悶えていた青葉は、違う意味で今度は悶えそうになりその枕をつかんでぎゅっと抱きしめた。
やべぇ……すげぇテンションあがる。マジやべぇ。どうしよう。
青葉はさらに枕をぎゅっと抱きしめると、赤くなった顔を枕に押しつけた。本気の相手が男というのは全然気にならなかった。
明日……慶一くんに会って……そんでもっかい、ちゃんと今までごめんねって謝ろう。許してもらえるまでいっぱい謝って、そんで好きだって言おう。勝手で性格悪いけど……でももうしないから、ちゃんとつき合ってください、って……。
ドキドキしながら考えていると「あおー?」と呼びかけながら睦が部屋に入ってきた。
「むつ」
「……具合でも悪いの?」
「え? いや悪くねーよ?」
むしろ凄くテンションは上がっている。
「そう? だったらいーけど。今日あの後慶一くんとした?」
「してねぇよっ? そうだよ、ったく! 中に出すなよなーむつ。慶一くんかわいそうだろ。それに……何つーの、もうああいうこと、慶一くんにするの、俺やめたい」
好きな相手にあんなことしていたら駄目だし、いくら睦でも好きな相手は共有できない。
これまた勝手だろうが、好きになったら仕方ないと青葉は睦を見た。睦にもはっきり「慶一くんが好きなんだ」と先に言うべきかなと思ったが、何となく気恥ずかしくて言いづらい。
「……あー。…………んー……、じゃあ……あおはやめれば……? 俺はするけど」
「え、いや、そーじゃな……」
「だって……ああうん、だってさー俺、慶一くんのこと、好きなんだよねー」
「……え?」
ポカンと青葉は睦を見た。睦は優しげな笑みを浮かべている。
「俺ね、慶一くんのこと好きなんだよね。だから俺はする、けどお前はやめればいーんじゃね?」
「え、むつ、慶一くんのこと、好き、なの……?」
慶一が好きで、だからもうあんなことはやめよう、そして好きだと伝えようと上がっていたテンションが急激に落ちた。
こういう場合どうしたらいいのだろうか。そういえば誰かを好きになったことが、もしかしなくてもなかった。そして睦と何か取り合ったこともなかった。玩具はそれぞれ好きなものが違ったし服だって微妙に好みが違っていた。だが確かに興味を持つ人は、前から似ていた。
どうしたら、いいんだろう。むつは……ずっと慶一くんが好きだったのだろうか……そういえば俺が高等部上がる前から気にしてなかったか。だいたいむつが俺に何か欲しがったことなんてなかったんじゃないのか? だったら……。……それに俺はまだ気づいたばかりなら……もしかしたら気持ちは変えられるんじゃないのか?
「……そ、か」
青葉は少し呆然としながらただそう呟いていた。
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