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「ん、拓……そこ……」
「ここ、好き?」
「好き、だけど早く入れて欲しくなる……」
「吏人は何でそんななの……」
「そんな、って?」
「普段は落ち着いてて男らしいのに、エッチの時は凄くエロくなんの」
「知らないよ、そんなの……」
吏人は顔が熱くなるのを感じた。別にエロくなろうとしているつもりはない。ただ、自分も男だけに快楽には弱いし気持ちがいいことは好きなだけだ。自分が女ならそういう部分にも恥じらいが湧くのかもしれないが、男の本能だけにどうしようもない。
本能……って言っても全うできてる訳じゃないけど、さ。
拓とはこのまま、できればずっと好き合っていたい。夢見がちかと言われそうだが、この先もずっと一緒にいられたらといいなと思っている。そうなると一つ捨て置けない問題がある。
子作りが本能として、別に子どもは仕方がないけど俺の種は永遠に報われないな……!
一生童貞かもしれないと思うとさすがに少し切ない。いつか一度でいいから役割交代を頼んでみるのもありかもしれないが、拓相手に拓がしているような行為ができるかは全くもって自信がない。
まぁ、いいや。拓も俺に突っ込んでばっかでひたすら無駄打ちしてる訳だし、両成敗だよな。
基本的に真面目なつもりだが、すぐに何でも「まぁいいか」になるのは昔からだ。親には「男の子だし、もう少し闘争心あってもいいんだよ」と苦笑された記憶はあるが、自分ではこの性格は楽なので嫌いではない。
「入れて、い?」
指だけで既に飛びそうだったので、気を紛れさせるために別のことを考えようとしていたが、切なそうな拓の声にハッとなる。むしろ早くして欲しいとばかりに吏人は腰を少し上げ、振り向いて頷いた。嬉しそうな拓の顔に、吏人も嬉しくなる。
恋人となり、セックスをする間柄になっても吏人にとって拓はやはり弟でもある。だからか、背徳感が半端ない。だがそれすら今や快楽に結び付いてしまう。おまけにそれとは別に、拓が可愛くて仕方がない。可愛い弟であり、可愛い恋人に、色んなところがきゅんとくる。
「ん、あ……っ」
「……吏人の中、きつくて熱い……」
「ん、ん……っ」
散々指で解されてもやはり最初は未だに苦しい。圧迫感につい、押し上げられて声が出る。だがそのうち、それは堪らなく官能的なものに変わっていく。硬く怒張した拓のものがごりごりと中を擦り、押し分けては引いていく感覚に、吏人の体の隅々がもどかしいほど疼く。シャツの濡れた冷たさなど、とうの昔に感じなくなっていた。
中……無理、やっぱ気持ちいい……俺、多分ほんと永遠に童貞かも……。
いくら無人とはいえ、廊下に変な声が漏れないよう、手を壁についているのもあり腕に口を押し当てながらそんなことを思う。
と、その時、胸に刺激を感じた。拓かと思ったが、拓は吏人の腰を支えるようにして持ちながら後ろから突いている。覆い被さっていないのでそもそも手が届くはずもない。
あれ……? 気のせい……、じゃ、ない……っ。
「ん、ぁ……っ」
片方は指で触れられているような、そしてあろうことか、もう片方はまるで舌でいたぶられているかのような感覚がする。だが目を開けて見下ろしてみても当たり前だが、誰もいない。
やっぱ、気のせい……?
でも──
「む、り……気持ち、い……っ」
「吏人……吏人、気持ち、い?」
「うんっ、うん……、っあ、あっ」
今度は硬いまま揺れていた自分のものに触れられるような感覚までもしてきた。ゆるゆると、もどかしい感じに触れられている気がする。だというのに後ろはだんだんと激しく突かれて、何だか本当におかしくなりそうなくらい気持ちがいい。
「っは、あっ、無理、いく……、も、いく……っ」
「いいよ、いって? 俺も、いきたい、もっと動いてい……?」
「ん、ん……っ」
頷くのにも必死になって理性をかき集めた。
ほんと、無理……っ。
拓と一緒に、などど悠長なことを考えてられない。乳首から直接脳に繋がっているような甘く痺れるような感覚と、後ろと相まって更に震えつきたくなるような、だというのに相変わらずもどかしいほどほんのり触れられているような自分のものに感じる刺激の上に、激しく奥まで届くような堪らなく官能的な突き上げなのだ。
これ以上、死んでしまう。
必死になって自分の腕を咥えているせいで、唾液が駄々漏れになるのもどうすることもできず、吏人は痙攣したように体を震わせた。後ろの中と、自分のものがひくひくと震える。びゅく、っと勢いよく出した白濁が変な風に流れ落ちるのに気づく余裕もなく、体中の力が抜けていった。拓が支えてくれていなかったらそのまま倒れていたかもしれない。
吏人が脱力している間に、綺麗に拭いてくれた上で拓が体操服を取りに行っていた。だが行為が終わってから拓が慌てて「風邪引くよね、ごめん」と脱がせてきたシャツは、吏人の興奮した熱で乾き始めたのではと思う程度にはましになってきていた。
「そういえばさ……」
持ってきてくれた体操服を着ながら、吏人は拓を見た。
「ん?」
「今回も何だろうな、お前以外からもエロいことされてるような感じして……ヤバかった」
「……は?」
「前にもさ、お前以外にも手があるみたいって言ったことあるだろ? 何かそんなの」
「そんなの、って……、え、っと」
「まあ、そんな訳ないもんな。とにかく気持ちよかったってことだよ」
「……は? え、いやでも……」
拓が戸惑っている。それはそうだろう。変なことを言ってしまったなと、吏人は拓に優しくキスをした。
「ここ、好き?」
「好き、だけど早く入れて欲しくなる……」
「吏人は何でそんななの……」
「そんな、って?」
「普段は落ち着いてて男らしいのに、エッチの時は凄くエロくなんの」
「知らないよ、そんなの……」
吏人は顔が熱くなるのを感じた。別にエロくなろうとしているつもりはない。ただ、自分も男だけに快楽には弱いし気持ちがいいことは好きなだけだ。自分が女ならそういう部分にも恥じらいが湧くのかもしれないが、男の本能だけにどうしようもない。
本能……って言っても全うできてる訳じゃないけど、さ。
拓とはこのまま、できればずっと好き合っていたい。夢見がちかと言われそうだが、この先もずっと一緒にいられたらといいなと思っている。そうなると一つ捨て置けない問題がある。
子作りが本能として、別に子どもは仕方がないけど俺の種は永遠に報われないな……!
一生童貞かもしれないと思うとさすがに少し切ない。いつか一度でいいから役割交代を頼んでみるのもありかもしれないが、拓相手に拓がしているような行為ができるかは全くもって自信がない。
まぁ、いいや。拓も俺に突っ込んでばっかでひたすら無駄打ちしてる訳だし、両成敗だよな。
基本的に真面目なつもりだが、すぐに何でも「まぁいいか」になるのは昔からだ。親には「男の子だし、もう少し闘争心あってもいいんだよ」と苦笑された記憶はあるが、自分ではこの性格は楽なので嫌いではない。
「入れて、い?」
指だけで既に飛びそうだったので、気を紛れさせるために別のことを考えようとしていたが、切なそうな拓の声にハッとなる。むしろ早くして欲しいとばかりに吏人は腰を少し上げ、振り向いて頷いた。嬉しそうな拓の顔に、吏人も嬉しくなる。
恋人となり、セックスをする間柄になっても吏人にとって拓はやはり弟でもある。だからか、背徳感が半端ない。だがそれすら今や快楽に結び付いてしまう。おまけにそれとは別に、拓が可愛くて仕方がない。可愛い弟であり、可愛い恋人に、色んなところがきゅんとくる。
「ん、あ……っ」
「……吏人の中、きつくて熱い……」
「ん、ん……っ」
散々指で解されてもやはり最初は未だに苦しい。圧迫感につい、押し上げられて声が出る。だがそのうち、それは堪らなく官能的なものに変わっていく。硬く怒張した拓のものがごりごりと中を擦り、押し分けては引いていく感覚に、吏人の体の隅々がもどかしいほど疼く。シャツの濡れた冷たさなど、とうの昔に感じなくなっていた。
中……無理、やっぱ気持ちいい……俺、多分ほんと永遠に童貞かも……。
いくら無人とはいえ、廊下に変な声が漏れないよう、手を壁についているのもあり腕に口を押し当てながらそんなことを思う。
と、その時、胸に刺激を感じた。拓かと思ったが、拓は吏人の腰を支えるようにして持ちながら後ろから突いている。覆い被さっていないのでそもそも手が届くはずもない。
あれ……? 気のせい……、じゃ、ない……っ。
「ん、ぁ……っ」
片方は指で触れられているような、そしてあろうことか、もう片方はまるで舌でいたぶられているかのような感覚がする。だが目を開けて見下ろしてみても当たり前だが、誰もいない。
やっぱ、気のせい……?
でも──
「む、り……気持ち、い……っ」
「吏人……吏人、気持ち、い?」
「うんっ、うん……、っあ、あっ」
今度は硬いまま揺れていた自分のものに触れられるような感覚までもしてきた。ゆるゆると、もどかしい感じに触れられている気がする。だというのに後ろはだんだんと激しく突かれて、何だか本当におかしくなりそうなくらい気持ちがいい。
「っは、あっ、無理、いく……、も、いく……っ」
「いいよ、いって? 俺も、いきたい、もっと動いてい……?」
「ん、ん……っ」
頷くのにも必死になって理性をかき集めた。
ほんと、無理……っ。
拓と一緒に、などど悠長なことを考えてられない。乳首から直接脳に繋がっているような甘く痺れるような感覚と、後ろと相まって更に震えつきたくなるような、だというのに相変わらずもどかしいほどほんのり触れられているような自分のものに感じる刺激の上に、激しく奥まで届くような堪らなく官能的な突き上げなのだ。
これ以上、死んでしまう。
必死になって自分の腕を咥えているせいで、唾液が駄々漏れになるのもどうすることもできず、吏人は痙攣したように体を震わせた。後ろの中と、自分のものがひくひくと震える。びゅく、っと勢いよく出した白濁が変な風に流れ落ちるのに気づく余裕もなく、体中の力が抜けていった。拓が支えてくれていなかったらそのまま倒れていたかもしれない。
吏人が脱力している間に、綺麗に拭いてくれた上で拓が体操服を取りに行っていた。だが行為が終わってから拓が慌てて「風邪引くよね、ごめん」と脱がせてきたシャツは、吏人の興奮した熱で乾き始めたのではと思う程度にはましになってきていた。
「そういえばさ……」
持ってきてくれた体操服を着ながら、吏人は拓を見た。
「ん?」
「今回も何だろうな、お前以外からもエロいことされてるような感じして……ヤバかった」
「……は?」
「前にもさ、お前以外にも手があるみたいって言ったことあるだろ? 何かそんなの」
「そんなの、って……、え、っと」
「まあ、そんな訳ないもんな。とにかく気持ちよかったってことだよ」
「……は? え、いやでも……」
拓が戸惑っている。それはそうだろう。変なことを言ってしまったなと、吏人は拓に優しくキスをした。
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