詩集『刺繡』

新帯 繭

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偶像礼賛

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『偶像』
そういった群像にありながら
もう現実感を増し始めている民族
否、民俗ではなく人種かもしれない

私が語るのも烏滸がましいが
アイドルは皆
想像を絶する苦労人だ

煌びやかに見せるために
常に薄給から浪費を迫られて
それでも続けて
人々に浪費を促し続ける
その為に更に浪費を繰り返しては
煌びやかさで笑顔を振りまき
笑顔を貰った人々の
善意と浪費を更に促す

アイドルは水商売ではないが
殆どキャバレーと同じに見える
夜の蝶とまるで同じ
ただそれが未成年でもなれて
周りに偏見で見られないという
そんな些細な違いがあるだけ
それだから恋愛もタブーだという
それでも夢を諦めずに
只管に芸能を極める姿は
まるで芸子や舞妓を彷彿させる

アイドルは日本文化だ
それは舞妓の現代版で
時代の潮流に合わせた
厳粛なものなのかもしれない
抜けも新入りも容易であって
それ故に悩んで
自らの命すらも軽くなる
そういうものかもしれない

だけれどアイドルは
見ていると元気が出る
明日今日の活力となって
いつまでも
その顔と声を堪能していたい
そう思えるものだ

『アイドル』というものに
意見を述べたい
それは正式な職業ではない
所詮サービス業かもしれない
だけれどいい加減
職業として
職安にも出て恥ずかしくない
手に付いた職業として
ちゃんと認識されて欲しい

アイドルは元気が全てだ
元気を振り撒くために
並々ならぬ努力をしているのだ
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