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第一章

ジョブチェンジ

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それから数日間。ありとあらゆる魔法陣を駆使して召喚術に臨んだが、結局全滅。

どうすんだよ全く……ってな感じに、親達の絶望感は半端なかったが、意外な事実が判明した。

なんと、俺の魔力コントロールが安定していたのだ。

気分転換にと母さん達と手合わせした時、ウェズレイ義父さんがその事に気がついた。
試しにとファイヤーボールを撃ってみたら、思った通りの火力で放つ事が出来た。水魔法や風魔法も同様。

ならばと、今迄一度も成功していなかった土魔法も試しに発動させてみる。

するとなんと、ゴーレムを創り出す事が出来たのだ。これには母も父親ズも皆ビックリしている。ちなみに俺もビックリしている。するとベルが欠伸をしながらその理由を教えてくれた。

『お前の駄々洩れだったスキルを調整してやっただけだ』

どうやら俺の中の魅了の力が強すぎて、魔力が上手く調整出来なかったらしい。それをベルが調整してくれた事により、今迄上手く使えなかった魔力が一気に使えるようになったんだそうだ。

『今まで通り、誰かれ構わずタラシ込まれたんじゃ堪らんからな』

なるほど…って、召喚が成功しない理由、お前が魅了のスキルを抑えているのも原因じゃないのか?

『従魔は俺がいるから問題なかろう』

……いや、問題あるから召喚頑張ってるんですけど?気が向いた時だけ助ける従魔なんて、ハッキリ言っていてもいなくても同じだし。

そんな事をオブラートに包まず伝えたら、また尻尾で殴られた。小さいくせに地味にダメージのくる攻撃だ。痛い。

「ユキヤがこれ程の魔力を操れるようになるとはな。…いきなり過ぎて、何故かと疑問が湧くが…」

「師匠、時間がありません。そういった疑問や召喚士の件はひとまず置いておいて、ユキヤの魔力を有効利用する事に全力を注ぎましょう」

「……そうだな。では予定を変更し、魔法剣士として戦わせる方向でいくか」

魔法剣士ですと?!何だその響き、カッコイイじゃないか!

そう言って浮かれたら、母親のみならず父親達にも叱られた。お前とテオが生きるか死ぬかの問題なんだから、もっと真面目に考えろ!って。ごもっともです。

いやでも、例え決闘に負けても死ぬわけじゃ……え?テオが責任を感じて自決する恐れがある?はい、真面目に取り組みます。すみませんでした。

母いわく、なんでも魔法剣士とはその名の通り、魔法と剣を使って戦う剣士の事を言うらしく、自分の武器に魔法の力を加え、相乗効果を利用し敵を倒す。
聖魔力を注げば聖剣としてアンデッドを倒す事も出来るらしい。……俺、聖魔力とかあったかな?あ、聖魔力って、聖女とか修行した高僧しか持っていないスキルなんだ。残念。

「従魔の殆どは、四代元素のうちのどれかの力を有している。お前は剣の腕は確かなのだから、剣に魔力を付与する方法を集中的に学べ」

なるほど。水魔法を使う者には火魔法、風魔法を使う者には土魔法と、相手の苦手な力を使って倒す訳ね。

そうして、俺の修行は召喚士から魔法剣士へとジョブチェンジとなった。


夜。


俺は俺のベッドの上で、元の姿に戻ったベルと睨み合いをしていた。何故ならベルが俺と一緒のベッドで寝ようとしているからだ。

「寝るんだったら、蛇のままの姿で!」

「寝る時ぐらい、本来の姿で寛ぎたいだろうが!」

「だったら他にベッドを用意するから、そこで眠れ!」

「一人で寝たってつまんねぇだろうが!」

「寝るのにつまらないもクソもあるか!だったら絶対、俺に手を出さないと誓約しろ!」

「自主的にお前から許可が下りるまでは手ぇ出さねぇって言ったろうが!」

「信用できない!」

「なんだと!」

オタクでBL好きな身内を持っていた俺を舐めるなよ。

なんだかんだと相手を言い負かし同衾したが最後、言葉攻め、ピンポイントなツボをあの手この手で刺激した挙句『手を出さないとは言ったけど……お前、そのまま我慢できるのか?』なんて台詞吐くBL攻め様を、何度見た事か(原稿の中でだけだけど)!

しかも、姉貴だったら狂喜乱舞する程の人外超絶美形(タチ)で閨の百戦錬磨なんだぞ!壮絶な色気ダダ漏れだし、そんな此奴と30秒も見つめあったら、ヘテロの俺ですら赤面して心拍数可笑しくなっちゃうよ絶対に!!

そもそもこいつは狡猾な大悪魔なのだ。用心し過ぎるに越した事はない。昨夜の契約勧誘(?)とか、忘れてないんだからな!

結局押し問答の末、蛇の姿でなら同衾を許すという事になった。しかも誓約書付き。

チッと舌打ちが聞こえた気がする。

明日はあらゆるBL的事態を想定し、誓約書を作りまくる事にしよう。
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