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第四章
血の誓約
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『まあ、どうしても怖くて不安だって言うんなら、また俺を『召喚』しろ。特別価格キス2回で受けてやる』
――特別価格でキス2回って…。高いのか安いのかよく分からないな。
まあ、今迄もちょくちょくキスはしているけど、ああいったバードキスでいいのかな?それなら確かにお得と言えばお得…なのか…?
『言っとくが、いつものおままごと程度のヤツじゃねぇぞ?王宮でやった様な、思いっきり濃厚なヤツだからな。それと時間制限も無しだ』
「た、高すぎる!却下!」
「は?高い…とは?」
「いえ、こちらの話です」
まあ、ここでウダウダしていても始まらないか。来たからには何とか依頼こなさないと、弟子になれる云々の前に(多分)ここから帰れないし。ウォレンさん、俺が命の危険に晒されたら助けてくれるって言っていた気がするし。
『ところで聞くが、何故グリフォンは聖獣としてこの国と誓約していながら、何もしないのだ?』
おいベル!またなにを勝手に話してんだ。俺のイメージブレブレになるし、既に王様に訝しがられてんだから止めろって!
「何もしない…とは?」
『グリフォンは風を司る幻獣。日照りごとき、風を使って周囲の雨雲を強制的に持って来て解消できるだろう。何かそうできない理由があるのか?』
「そ…それは…」
再び言い淀んだ王の代わりに、傍に控えていた大臣らしき男が代わりに口を開いた。
「シルフィ様の輿入れに怒った聖獣様は、そのお力を使う事を止めてしまわれたのです」
『…ふ~ん。それで偽りないか?王よ』
「…はい。その通りです」
――うん?何かスッキリしない言い方だな。
「黒の魅了師殿。貴方は我が国の依頼を請けると誓約された。『血の誓約』は絶対です。これ以上我が国の事情に立ち入らず、勤めを果たして頂きたい!」
――あ、ついに王様がキレた。
大切な輿入れ前の王女様を俺が魅了するのを了解したりと、何かまだ俺に話していない事情がありそうなんだけど、これ以上は話してくれなそうだな。
しかし、『血の誓約』ってなんぞ?
『己の血を誓約書に落とす、一番強制力のある契約の事だ。依頼主もそれを受けた者も、双方契約不履行を犯した場合、寿命が縮むなどの重いペナルティが課せられる』
うわ、それって超ヤバイやつじゃん。
ウォレンさん、何でよりにもよってそんな契約にしちゃうのかな?!
『落ち着け。お前はあのクソ魅了師ではないんだぞ?そもそもペナルティは発生しない』
――あ、そうか。そうだった。焦った~!…って、おいベル。その可哀想なものを見るような目で俺を見るな。
けど、もし俺が「止めた!」ってしたら、例の重いペナルティがウォレンさんに行くんだよな。けど、あんな簡単に俺に丸投げしちゃうって、どんな神経してんの?!
『知るか!あのクソハーフエルフの事だ。お前を既に信頼してるのではなく、裏切られるのも込みで楽しんでいるんだろうよ』
な、成る程。俺を信用してくれて…ってよりも『任せてみるの面白そう』でって方がしっくりくるかな。すごくふざけてるけど。
『マスター!ボク、グリフォンのいるトコ、分かるかもしれないよ』
なんてベルと念話していたら、シルフィがこっそり耳打ちしてくる。
『本当か?シルフィ』
『うん!だってボク、風の精霊だもん!』
そうだった!
シルフィなら、同じ風属性のグリフォンを見つける事など容易いだろう。
俺は残っていたカフェオレもどきをグイッと一息に飲み干すと、勢いよく立ち上がった。
「じゃあ、王様!私はこれから依頼を果たしに行ってまいります!」
「あ、ああ。宜しくお願い致しますぞ」
いきなりの行動に驚く王様達にそう告げ、お辞儀をするとドアの方へと向かった。
――期待、不安、祈り…。背中に王様の視線を感じながら。俺は部屋から出て行った。
――特別価格でキス2回って…。高いのか安いのかよく分からないな。
まあ、今迄もちょくちょくキスはしているけど、ああいったバードキスでいいのかな?それなら確かにお得と言えばお得…なのか…?
『言っとくが、いつものおままごと程度のヤツじゃねぇぞ?王宮でやった様な、思いっきり濃厚なヤツだからな。それと時間制限も無しだ』
「た、高すぎる!却下!」
「は?高い…とは?」
「いえ、こちらの話です」
まあ、ここでウダウダしていても始まらないか。来たからには何とか依頼こなさないと、弟子になれる云々の前に(多分)ここから帰れないし。ウォレンさん、俺が命の危険に晒されたら助けてくれるって言っていた気がするし。
『ところで聞くが、何故グリフォンは聖獣としてこの国と誓約していながら、何もしないのだ?』
おいベル!またなにを勝手に話してんだ。俺のイメージブレブレになるし、既に王様に訝しがられてんだから止めろって!
「何もしない…とは?」
『グリフォンは風を司る幻獣。日照りごとき、風を使って周囲の雨雲を強制的に持って来て解消できるだろう。何かそうできない理由があるのか?』
「そ…それは…」
再び言い淀んだ王の代わりに、傍に控えていた大臣らしき男が代わりに口を開いた。
「シルフィ様の輿入れに怒った聖獣様は、そのお力を使う事を止めてしまわれたのです」
『…ふ~ん。それで偽りないか?王よ』
「…はい。その通りです」
――うん?何かスッキリしない言い方だな。
「黒の魅了師殿。貴方は我が国の依頼を請けると誓約された。『血の誓約』は絶対です。これ以上我が国の事情に立ち入らず、勤めを果たして頂きたい!」
――あ、ついに王様がキレた。
大切な輿入れ前の王女様を俺が魅了するのを了解したりと、何かまだ俺に話していない事情がありそうなんだけど、これ以上は話してくれなそうだな。
しかし、『血の誓約』ってなんぞ?
『己の血を誓約書に落とす、一番強制力のある契約の事だ。依頼主もそれを受けた者も、双方契約不履行を犯した場合、寿命が縮むなどの重いペナルティが課せられる』
うわ、それって超ヤバイやつじゃん。
ウォレンさん、何でよりにもよってそんな契約にしちゃうのかな?!
『落ち着け。お前はあのクソ魅了師ではないんだぞ?そもそもペナルティは発生しない』
――あ、そうか。そうだった。焦った~!…って、おいベル。その可哀想なものを見るような目で俺を見るな。
けど、もし俺が「止めた!」ってしたら、例の重いペナルティがウォレンさんに行くんだよな。けど、あんな簡単に俺に丸投げしちゃうって、どんな神経してんの?!
『知るか!あのクソハーフエルフの事だ。お前を既に信頼してるのではなく、裏切られるのも込みで楽しんでいるんだろうよ』
な、成る程。俺を信用してくれて…ってよりも『任せてみるの面白そう』でって方がしっくりくるかな。すごくふざけてるけど。
『マスター!ボク、グリフォンのいるトコ、分かるかもしれないよ』
なんてベルと念話していたら、シルフィがこっそり耳打ちしてくる。
『本当か?シルフィ』
『うん!だってボク、風の精霊だもん!』
そうだった!
シルフィなら、同じ風属性のグリフォンを見つける事など容易いだろう。
俺は残っていたカフェオレもどきをグイッと一息に飲み干すと、勢いよく立ち上がった。
「じゃあ、王様!私はこれから依頼を果たしに行ってまいります!」
「あ、ああ。宜しくお願い致しますぞ」
いきなりの行動に驚く王様達にそう告げ、お辞儀をするとドアの方へと向かった。
――期待、不安、祈り…。背中に王様の視線を感じながら。俺は部屋から出て行った。
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