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第4話 旅立ち
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彼はゆっくりと自分のことを語り始めた。
「俺はカイって言うんだ。ここからもっと森の奥の方で父さん、母さん、兄弟たちと暮らしてたんだ」
カイは少し落ち着いた様子で、震えも止まっている。
「そこに急にあいつが現れて.... 最初は庭で遊んでいた、か弱い弟たちを手にかけたんだ。それに気づいた俺はあいつを止めに応戦したんだけど、投げ飛ばされて近くにあった木に思い切り頭をぶつけて気を失ってしまったんだ。気がづいたらみんな死んでた。父さんと母さんも必死に戦ったんだろう。俺は家族を埋葬してすぐにオークの匂いと足跡をつけてここまできたんだ」
「それは辛かっただろう」
レオも自分の今まで起きたことをカイに話した。そして、お互いの境遇をかなしみ、泣いた。
「ごめんよカイ。もしかしたら君の家族は僕のせいで襲われたのかもしれない」
「どう言うことだ?」
「あのオークが言っていたんだ。お前の両親をお前の目の前で殺せと魔王に命令されたと」
「何か心当たりがあるのか?」
「いや、全くないんだ」
「そうか、でもお前の両親も殺されてるんだ。お前が気にやむ必要はない。悪いのはあのオークと魔王だ。そうだ! 俺たち一緒に旅をしないか?強くなって、いつか復讐してやるんだ。どうせお互い行くあてがないだろう」
「たしかに、あのオークをみつけて復讐しなければ!父さんと母さんのためにも。魔王もそうだ。こんな境遇にしたことを絶対に許さない。でも、力がまだ足りない」
「力といえば、お前のあの腕はなんだったんだろうな?俺はたしかに見たんだ」
「わからないんだ、力を入れたり腕を振ってみたりしたんだけど変わらないよ」
「ただ....」
「なんだ?」
「記憶が途切れる寸前に声を聞いたんだ。ユニークスキルって」
「ユニークスキルだって⁉︎」
カイはとても驚いた様子でその大きな目をさらに大きくしていた。
「何か知ってるの?」
「俺も詳しくは知らないけど、この広い世界でも一握りのものにしか与えられないものだって叔父さんから聞いたことがある。それが本当なら魔王がお前を狙う理由もわかるけど、なぜお前を殺さなかったのかはわからないな」
「本当に僕にそんな力があるのかな? 全然つかえないよ」
「うーん、それもよくわからないけどとにかく、あのオークを追うぞ。足跡は残ってるから方角はわかる。俺もあいつをすぐ追えばよかったんだけどお前のあの力があれば倒せると思ってな。怖かったけど声をかけてよかった。俺も力が全然足りないからな」
「そうだね。その前に父さんと母さんをこのままにしておけないから手伝ってくれる?」
「わかった。ちゃんと弔ってあげよう」
「カイって僕と歳はあんまり変わらないのに色々知ってるよね」
「うちは親戚が多くていろんな話をいろんな人から聞けたからな。それだけだよ」
オークの襲撃から三日後、父と母を弔い、カイとともにこの家を旅立つ日が来た。
「父さん、母さん。僕、絶対にあのオークと魔王を倒してここに帰ってくるよ。カイと一緒にね。それじゃあ、行ってきます」
父と母の墓を背に歩き出す。復讐を誓って。
「俺はカイって言うんだ。ここからもっと森の奥の方で父さん、母さん、兄弟たちと暮らしてたんだ」
カイは少し落ち着いた様子で、震えも止まっている。
「そこに急にあいつが現れて.... 最初は庭で遊んでいた、か弱い弟たちを手にかけたんだ。それに気づいた俺はあいつを止めに応戦したんだけど、投げ飛ばされて近くにあった木に思い切り頭をぶつけて気を失ってしまったんだ。気がづいたらみんな死んでた。父さんと母さんも必死に戦ったんだろう。俺は家族を埋葬してすぐにオークの匂いと足跡をつけてここまできたんだ」
「それは辛かっただろう」
レオも自分の今まで起きたことをカイに話した。そして、お互いの境遇をかなしみ、泣いた。
「ごめんよカイ。もしかしたら君の家族は僕のせいで襲われたのかもしれない」
「どう言うことだ?」
「あのオークが言っていたんだ。お前の両親をお前の目の前で殺せと魔王に命令されたと」
「何か心当たりがあるのか?」
「いや、全くないんだ」
「そうか、でもお前の両親も殺されてるんだ。お前が気にやむ必要はない。悪いのはあのオークと魔王だ。そうだ! 俺たち一緒に旅をしないか?強くなって、いつか復讐してやるんだ。どうせお互い行くあてがないだろう」
「たしかに、あのオークをみつけて復讐しなければ!父さんと母さんのためにも。魔王もそうだ。こんな境遇にしたことを絶対に許さない。でも、力がまだ足りない」
「力といえば、お前のあの腕はなんだったんだろうな?俺はたしかに見たんだ」
「わからないんだ、力を入れたり腕を振ってみたりしたんだけど変わらないよ」
「ただ....」
「なんだ?」
「記憶が途切れる寸前に声を聞いたんだ。ユニークスキルって」
「ユニークスキルだって⁉︎」
カイはとても驚いた様子でその大きな目をさらに大きくしていた。
「何か知ってるの?」
「俺も詳しくは知らないけど、この広い世界でも一握りのものにしか与えられないものだって叔父さんから聞いたことがある。それが本当なら魔王がお前を狙う理由もわかるけど、なぜお前を殺さなかったのかはわからないな」
「本当に僕にそんな力があるのかな? 全然つかえないよ」
「うーん、それもよくわからないけどとにかく、あのオークを追うぞ。足跡は残ってるから方角はわかる。俺もあいつをすぐ追えばよかったんだけどお前のあの力があれば倒せると思ってな。怖かったけど声をかけてよかった。俺も力が全然足りないからな」
「そうだね。その前に父さんと母さんをこのままにしておけないから手伝ってくれる?」
「わかった。ちゃんと弔ってあげよう」
「カイって僕と歳はあんまり変わらないのに色々知ってるよね」
「うちは親戚が多くていろんな話をいろんな人から聞けたからな。それだけだよ」
オークの襲撃から三日後、父と母を弔い、カイとともにこの家を旅立つ日が来た。
「父さん、母さん。僕、絶対にあのオークと魔王を倒してここに帰ってくるよ。カイと一緒にね。それじゃあ、行ってきます」
父と母の墓を背に歩き出す。復讐を誓って。
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