7 / 39
第7話 異変
しおりを挟む
カイがいない。どういうことだ?夜中この部屋を見た時には確かにこのベッドで寝ていた。荷物も置いたままだ。よく見ると枕元に書き置きがある。こう書いてあった。
用事を思い出した。
少し出てくる。
用事とは一体なんだろう。不思議に思いながらもすぐに帰ってくるだろうと思い、帰ってきたらここにくるようにという書き置きと地図を置いて出かけることにした。
父が木を売っていた人のところへ向かう。その人は、一年ほど前まではこの村で警備隊長をしていたが、今は村から少し離れた所に家を建てて生活しているらしい。と、父の部屋で見つけた手紙に書いてあった。なんでも、昔は王国の騎士だったようで名前を
「クリス」といった。
「ここかな?」
それらしい家を見つけた。柵が周りを囲んでいてその中で馬が放し飼いにされている。
コンコンコン
「すみませーん。クリスさんいますか?」
「はいよー」
奥から声がして大きな男が出てきた。髪は短く、茶色で同じ色のあご髭を蓄えていた。とてもがっちりした体格だ。顔や腕にはいくつもの傷がある。
「おうぼうず。こんなところまでどうした」
「僕、レオって言います。父さんの木を買ってくれていたクリスさんですよね?」
「ん?ああ!お前レオか?大きくなったな!しばらく来てなかったからわからなかった。父ちゃん元気か?」
「実は....」
レオは今までのことを全て話した。もちろんカイのことも。クリスは黙ってそれを聞いてくれた。
「そうか、辛かったな」
クリスは心配そうにこちらを見ている。
「はい。だからどうしてもそのオークを倒したいんです」
「復讐か?馬鹿なことを言うな!オーク相手に子供だけで。死に急ぐようなもんだぞ」
「そうなんです。だからクリスさんに鍛えて欲しくてここまできました。王国の騎士だったんでしょ?」
「昔の話さ。警備隊長もやめちまって剣もしばらく握ってねぇ。お前の父ちゃんから買った木で家具とかいろんなもん作って過ごしていたからな」
よく見ると部屋の中には木で作られた様々な作品が所狭しと置かれていた。どれも素晴らしく、手先が器用なことがうかがえる。
「どうしても教えて欲しいんです。倒すために。死なないために」
「死なないためか」
そういうとクリスは少し考え込む。そして、
「わかった。教えてやる。お前の親父さんには世話になったしな。無駄死にさせるわけにはいかねぇ」
「本当!?ありがとうクリスさん」
「そうと決まれば獣人の子どものカイも呼んでこい」
「それなんだけど今朝からいなくなっちゃって。なんでも用事があるとかで。一応戻ったらここにくるように書き置きを置いてきたんだけど」
「妙だな。急すぎる」
「確かに急だったと思うけど」
「村で何か変わったことはなかったか?」
「変わったことはなかったと思うけど....。あ、でもすごく歓迎されたよ。宿を用意してもらったり、食べ物をご馳走してもらったり。前に父さんと来た時はそんな感じじゃなかったと思う」
「俺がいた時はそんなことしてなかったぞ」
「え? そうなの?」
「ああ、とにかく村へ行ってみよう。カイがいたら問題なし。何かおかしければ突き止めなきゃな」
そう言うと2人は支度を整えた。念のためにとレオは短剣を渡された。外にいた馬に2人でまたがり、村へ向かった。
用事を思い出した。
少し出てくる。
用事とは一体なんだろう。不思議に思いながらもすぐに帰ってくるだろうと思い、帰ってきたらここにくるようにという書き置きと地図を置いて出かけることにした。
父が木を売っていた人のところへ向かう。その人は、一年ほど前まではこの村で警備隊長をしていたが、今は村から少し離れた所に家を建てて生活しているらしい。と、父の部屋で見つけた手紙に書いてあった。なんでも、昔は王国の騎士だったようで名前を
「クリス」といった。
「ここかな?」
それらしい家を見つけた。柵が周りを囲んでいてその中で馬が放し飼いにされている。
コンコンコン
「すみませーん。クリスさんいますか?」
「はいよー」
奥から声がして大きな男が出てきた。髪は短く、茶色で同じ色のあご髭を蓄えていた。とてもがっちりした体格だ。顔や腕にはいくつもの傷がある。
「おうぼうず。こんなところまでどうした」
「僕、レオって言います。父さんの木を買ってくれていたクリスさんですよね?」
「ん?ああ!お前レオか?大きくなったな!しばらく来てなかったからわからなかった。父ちゃん元気か?」
「実は....」
レオは今までのことを全て話した。もちろんカイのことも。クリスは黙ってそれを聞いてくれた。
「そうか、辛かったな」
クリスは心配そうにこちらを見ている。
「はい。だからどうしてもそのオークを倒したいんです」
「復讐か?馬鹿なことを言うな!オーク相手に子供だけで。死に急ぐようなもんだぞ」
「そうなんです。だからクリスさんに鍛えて欲しくてここまできました。王国の騎士だったんでしょ?」
「昔の話さ。警備隊長もやめちまって剣もしばらく握ってねぇ。お前の父ちゃんから買った木で家具とかいろんなもん作って過ごしていたからな」
よく見ると部屋の中には木で作られた様々な作品が所狭しと置かれていた。どれも素晴らしく、手先が器用なことがうかがえる。
「どうしても教えて欲しいんです。倒すために。死なないために」
「死なないためか」
そういうとクリスは少し考え込む。そして、
「わかった。教えてやる。お前の親父さんには世話になったしな。無駄死にさせるわけにはいかねぇ」
「本当!?ありがとうクリスさん」
「そうと決まれば獣人の子どものカイも呼んでこい」
「それなんだけど今朝からいなくなっちゃって。なんでも用事があるとかで。一応戻ったらここにくるように書き置きを置いてきたんだけど」
「妙だな。急すぎる」
「確かに急だったと思うけど」
「村で何か変わったことはなかったか?」
「変わったことはなかったと思うけど....。あ、でもすごく歓迎されたよ。宿を用意してもらったり、食べ物をご馳走してもらったり。前に父さんと来た時はそんな感じじゃなかったと思う」
「俺がいた時はそんなことしてなかったぞ」
「え? そうなの?」
「ああ、とにかく村へ行ってみよう。カイがいたら問題なし。何かおかしければ突き止めなきゃな」
そう言うと2人は支度を整えた。念のためにとレオは短剣を渡された。外にいた馬に2人でまたがり、村へ向かった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
コンバット
サクラ近衛将監
ファンタジー
藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。
ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。
忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。
担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。
その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。
その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。
かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。
この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。
しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。
この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。
一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる