Dear Dandelion,

響也

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第25話 会話

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「殺したいやつがいたからよ」

 その言葉にレオたちは一瞬凍りついた。

「僕たちとそんなに歳も変わらなく見えるのにそんなに恨む人がいるのかい?」

「ええそうよ。今すぐにでも殺してやりたいわ。でも、そんなことは今はできない。あたしが言えるのはここまでよ。用が済んだなら速く行って。あたしにはやることがあるの」

 いったいその殺したい相手は誰なのだろうか。彼女の言葉からすると僕たちと一緒にいた誰かのように思える。そうなると領主のルーインさんかそのお付の人か、もしかしてクリス? いやいやそんなはずはないよな。いや待て待て。あそこはとても賑わっていて、僕たちだけがいた訳じゃない。あの近くを通りかかった誰かなのかもしれないじゃないか。
  レオはそう思い直す。そして少女からもう少し情報が聞き出せないかと話をする時間を稼ぐことにした。

「あのさ。君この街のことすごく詳しそうだよね。さっきだって入り組んだ路地をスルスルと迷わずに抜けていってたし。」

「まあね。ここには少し長く住んでるから」

 レオはその言い方に少し引っかかるところがあったが続けた。

「僕たちまだここに来てなもわからないんだ。良ければこの街を案内してくれないかい?」

「一緒にいたヤツらに頼めばいいじゃない」

「あの人達はきっとこんな路地なんて通らないと思うんだ。この街の色んなことを知りたいんだよ。」


「幸せなヤツら....」

「え?なに?」

「なんでもないわ。ただ、さっきも言った通りあたしにはやらなくちゃいけないことがあるの。あなたたちに構ってる暇はないの。ごめんなさいね」

 そう言うとこの場を立ち去ろうと立ち上がり走り出していた。

「あ! まってよ!」

 すぐさま追いかけようとするとどこからともなく大男が現れた。2m以上はある。がっしりしていて、スキンヘッド。歯が何本かかけている。

「オマエラ、アイツ、オウナ。ジャナイト、オマエラ、イタイメ、ミル」

「なんだと?」

 今まで不貞腐れて黙っていたカイがその大男に突っかかっていく。しかしすぐに投げ飛ばされる。

「オマエラ、クルト、アイツノジャマ、ヤメロ」

 あの子の姿はもう見えない。

「カイ。今日のところは諦めよう。」

「でもよぉ。あいつが気になるんだろ?」

「痛めつけられて動けなくなる方が良くない。出直そう。」

「わかったよ。」

 そう言うと2人はあの子が走っていった方と反対の方に歩き出した。後ろを振り返るとそこにはもうあの大男もいなくなっていた。
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