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第36話 違和感
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「ルーイン!」
ティアナはルーインを見つけて駆け寄る。
「おおティアナ。ただいま」
「おかえりなさい。ずいぶん早かったのね」
「クリスがものすごい活躍でね。あっという間に倒してしまったんだよ」
「それで、そのクリスはどこなの?」
「ああ、クリスは王都だよ」
「王都?」
「そう、王様に報告しててね。私たちも同行していたんだけど疲れているだろうということでクリスが先に返してくれてね。クリスはまだ王様に付き合わされているだろうな」
「そうなのね」
「そのうち帰ってくるさ」
そう言って笑いながらルーインは騎士団宿舎に入っていった。すると1週間ほどしてクリスが戻ってきたのだがなんだか様子がおかしい。
「クリス!」
「ん? ああ、えーっと、ティアナか久しぶりだな」
「ええ、久しぶり。でもどうしたの?」
「なにがだ?」
「なんだか、いろんな人に当たり散らしてるしイライラしてるみたい」
「まあそんなこともあんだろ」
(以前のクリスならだれかに当たってしまっても反省して誤ってたと思うのだけど)
「そうかしら? なんだかクリスじゃないみたい」
「あぁ?」
「え?」
「いやいや、どっからどう見てもクリスだろ? ちょっと今日は疲れてるだけだ。悪いが休ませてもらう。じゃあな」
「う、うん。ごめんね呼び止めて」
クリスはさっさと行ってしまった。しかし、次の日からは何事もなかったかのようにクリスは以前のクリスに戻っていたようだった。ティアナも感じていた違和感をすっかりと忘れてしまったようだった。そして、以前はティアナの好意に鈍感だったクリスもさすがに気が付いたみたいで町の近くにある湖のほとりでクリスのほうからティアナに告白し、二人は恋人同士になることができたのだという。しばらくはとても幸せな日々が続いた。二人で暮らしながらクリスは騎士団長として、ティアナは宿舎で騎士たちの手伝いをしていた。二人が一緒に暮らし始めると、少し残念なことにルーインの姿を見なくなってしまっていた。クリスにルーインについて尋ねると
「アイツは優秀だからよく王都に呼ばれるんだ。もしかしたらしばらくあっちにいるかもな」
ということだった。彼は彼で忙しいのだと思い立派になって帰ってくることを願った。幸せなことは続くようで二人の間に子どもができた。クリスもとても喜んでくれたように見えた。
「この二人の間に生まれたのが私よ。ああ、自己紹介が遅れたわね。私リアっていうの。まあ覚えても覚えなくてもいいわ」
とリアが突然自己紹介してきた。
「俺はカイだ」
「そう。カイあなたここまで幸せでいいじゃんとか思ってるでしょ? ここからが最悪なのよ」
そういってリアは再び語り始めたのだった。
ティアナはルーインを見つけて駆け寄る。
「おおティアナ。ただいま」
「おかえりなさい。ずいぶん早かったのね」
「クリスがものすごい活躍でね。あっという間に倒してしまったんだよ」
「それで、そのクリスはどこなの?」
「ああ、クリスは王都だよ」
「王都?」
「そう、王様に報告しててね。私たちも同行していたんだけど疲れているだろうということでクリスが先に返してくれてね。クリスはまだ王様に付き合わされているだろうな」
「そうなのね」
「そのうち帰ってくるさ」
そう言って笑いながらルーインは騎士団宿舎に入っていった。すると1週間ほどしてクリスが戻ってきたのだがなんだか様子がおかしい。
「クリス!」
「ん? ああ、えーっと、ティアナか久しぶりだな」
「ええ、久しぶり。でもどうしたの?」
「なにがだ?」
「なんだか、いろんな人に当たり散らしてるしイライラしてるみたい」
「まあそんなこともあんだろ」
(以前のクリスならだれかに当たってしまっても反省して誤ってたと思うのだけど)
「そうかしら? なんだかクリスじゃないみたい」
「あぁ?」
「え?」
「いやいや、どっからどう見てもクリスだろ? ちょっと今日は疲れてるだけだ。悪いが休ませてもらう。じゃあな」
「う、うん。ごめんね呼び止めて」
クリスはさっさと行ってしまった。しかし、次の日からは何事もなかったかのようにクリスは以前のクリスに戻っていたようだった。ティアナも感じていた違和感をすっかりと忘れてしまったようだった。そして、以前はティアナの好意に鈍感だったクリスもさすがに気が付いたみたいで町の近くにある湖のほとりでクリスのほうからティアナに告白し、二人は恋人同士になることができたのだという。しばらくはとても幸せな日々が続いた。二人で暮らしながらクリスは騎士団長として、ティアナは宿舎で騎士たちの手伝いをしていた。二人が一緒に暮らし始めると、少し残念なことにルーインの姿を見なくなってしまっていた。クリスにルーインについて尋ねると
「アイツは優秀だからよく王都に呼ばれるんだ。もしかしたらしばらくあっちにいるかもな」
ということだった。彼は彼で忙しいのだと思い立派になって帰ってくることを願った。幸せなことは続くようで二人の間に子どもができた。クリスもとても喜んでくれたように見えた。
「この二人の間に生まれたのが私よ。ああ、自己紹介が遅れたわね。私リアっていうの。まあ覚えても覚えなくてもいいわ」
とリアが突然自己紹介してきた。
「俺はカイだ」
「そう。カイあなたここまで幸せでいいじゃんとか思ってるでしょ? ここからが最悪なのよ」
そういってリアは再び語り始めたのだった。
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