幸せの形

野良猫

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第2章 来訪者・桜の話

第6話 幸と福

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━━━・・・幸は雪を見送ると、扉を閉めた。

その瞬間、扉は消えてしまった。

福「疲れたであろう?お主も少し休め。」

福はいつの間にか人の形をとっており、煙管きせるに火を灯した。

幸「福・・・店内は禁煙だとあれ程言ったのに・・・。」

幸はそう言うと、深いため息をついた。

福「にゃはは!これは常世の物じゃ、臭いなぞつきはせんから安心せい。」

福は声高に告げると、煙管から吸った煙を幸に吹きかけた。

幸はゲホゲホとむせる。

幸「お店に臭いがつかなくても、私が嫌なの分かってるでしょう?やめてくれませんか?」

幸は冷たい視線を福に向ける。

福はやれやれと言わんばかりに煙管をしまった。

福「今回はほんに厄介じゃったのぅ。お主も疲れたであろう。わしからの餞別せんべつじゃ。」

福はそう言うと、懐から取り出した物をポンと幸に投げた。

幸はあわあわとしながら、何とかキャッチし、物を確認する。

幸「・・・ありがとうございます。」

幸は受け取った物をポケットにしまいながら、礼を言う。



~完~
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