to you

相沢 朋美

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最終章 to you

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 「この歳にもなって恥ずかしいけど、帰省してお年玉もらえたら買えるけどね……」
俺がそう言うと、侑は
「女の子は誕生日とかクリスマスとかのプレゼントは楽しみにしてるし、あんまり安物だったりセンスなかったりすると引かれるものよ」
と返す。それは女の子がというよりあなたがそう思うだけだろう、と言いたくなったけれど、言えなかった。
 その気持ちを堪えて「自分が高いものあげて安物返ってきても悲しくないし、誕生日になにももらえなくても悲しくないもん。もらえたらうれしいけど」と言うと、侑は「誕生日になにもなくていいの? 彼女からなにももらえないって寂しくない?」と驚いていた。前の彼女はイベントにこだわらない人で、俺の誕生日プレゼントはなしで良いよと言うと、本当にプレゼントがなかったこともある。クリスマスは一緒に家でゲームをし、デートらしいことをしたことはなかった。そのことを侑に話す。
「だから俺の誕生日にはなにも贈らなくていいよ。そうしたら許されるんだろ? 前の彼女にもそう言ったら、本当になにもなかったし。誕生日とかクリスマスとかイベントごとじゃなくて、贈りたくなったらプレゼントするし」
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