この世には英雄など存在しない

フロリアン・ガイエル

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序章

何故私達はこの戦場にいるのだろう

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「いいか、家畜共。ここから先はお遊戯会じゃない、お前たちの命が持て遊ばされるだけの戦場だ。わかったな」

指揮官が我々にそう言う、そして我々は「はい、指揮官殿」と言う。

ただそれだけしか言えない。

強襲型クルーザー LVTMk.5の中が揺れ、吐く者が出てきている。

外の景色が見えず何が起きているのかわからないがとてつもない轟音と爆発音がしてるのがわかる。

何故こんな戦場にいるのだろう…。

時は遡り、三年前

高校卒業を控えたある日のことの放課後だった。自分の数少ない友人であり幼馴染のリコ・スティンガーが話しかけてきた

「なぁなぁ…、卒業後の進路とか決めたか?」

「まだ決めてないけど地球連邦軍の宇宙植民地海兵隊ににには入ろうかな……、市民権ももらえるし大学の費用免除もあるし、3人以上の出産権だってあるわけだしね。」

自分は親から反対されているけど、地球連邦軍の宇宙植民地海兵隊に惹かれていた。そしていつか志願して入隊しようと決めていた。
嫌われてもいいがそれが私の進路だということを伝えた。

「だけど…、お前の両親弁護士だしお前の姉貴だって医者じゃん。大学の費用ぐらい払えるのにそんなに植民地海兵隊に入る必要なんてないんじゃないか?…。」

彼の言う通りだと皆がいたら言いそうなことだ。
確かに、私の家は親が弁護士で姉が医師だ…。
だけど…、民間人だ…。市民権が貰えたら子供は3人以上産めるし選挙にだって投票できる。
私は幸せな家庭を作りたい。

「だけど、民間人じゃん…。市民権が貰えたら幸せな家庭を作れるし」

「まぁ、俺の進路は地球連邦軍機密情報諜報部だからな……、お前とほとんど同じだ。俺も市民権が欲しいなんてことは言えないな…。」


やっぱり、リコも市民権が欲しいんじゃないかと内心では思ったが口には言わずただ単に、

「そうなんだ…。まぁ確かにあんたも同じこと言えないね」

と言うしかない。

これがリコと本音で会話した最後だった。
私とリコは高校卒業をして、それぞれが植民地海兵隊と諜報部に志願して疎遠になった。
一人前になるのには1年以上もの間のことだった。
最初の訓練はただ走ってばっかだった…。それから肉弾戦闘訓練、射撃訓練、そして射撃戦闘訓練だった。

だけど、私は必死で訓練に望んだ…。

それが間違いだとは思わなかった、訓練教官になんども叱責され鉄拳制裁も食らった。

入隊から一年と五ヶ月

「速報です、ノースカロライナ州上空にてプラズマのような物が確認されたのちノースカロライナ州にプラズマが落下し、地表から姿がなくなりました。跡形もなく消えました。
繰り返します、ノースカロライナ州上空にてプラズマのような物が確認されたのちノースカロライナ州にプラズマが落下し、地表から姿がなくなりました。跡形もなく消えました。」

私が丁度昼休憩で昼飯を食べていたときだった。
いつものようにくだらない速報ニュースだと思っていたがそのニュースを聞いた瞬間、手が止まり震えだし感じたこともない吐き気に襲われた。
周りの同期たちも同じような気持ちだったのだろう。


私の故郷ノースカロライナ州がなくなった…。つまり私の家族もいなくなったということだ…。

家も学校も全てなくなった。

私が生まれ育った故郷がプラズマの一つでなくなった…。


「臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。
先程、地球連邦政府は未確認生命体に宣戦布告を致しました。
繰り返します、先程…、地球連邦政府は未確認生命体に宣戦布告を致しました。」


あの故郷を消した正体は遥か彼方のクレタ星という惑星にすむ生命体によるものだったのだ…。
私はどうするべきかを直感で感じ取った
あの生命体共を潰すことだ。
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