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73話・解決策
しおりを挟む私は必死に頭を働かせる。
ふと、一つ案が思い浮かんだ。
これが、上手くいくかはわからないが、やってみる価値はあると思う。
私は立ち上がる。
「メーリス、どうして私に病で倒れていることを報告しなかったの?とか、魔法石を探しているときもどうして相談してくれなかったの?って聞きたいけれど、もう過ぎた話だから、今は良いわ。その代わり、今すぐに貴方の妹さんに会わせてもらえないかしら?」
メーリスは驚いた顔をした後、少し戸惑いながら頷く。
「そうと決まったらすぐ実行に移すわ。今すぐに妹さんに会わせて貰う。ある方法を思いついたのだけれど、上手くいかないかもしれない。それでも、試してみないわけにはいかないでしょう?」
私は少し笑って、メーリスに準備をしてもらうために部屋を出て行ってもらった。
私はメーリスが部屋から出たことを確認して、身体全体に魔力を集中させる。
「ヴァッサーヌ、力を貸して」
久しぶりの召喚術を成功させると、元気に現れたヴァッサーヌに話しかけた。
「久しぶりね」
『久しぶり、ソフィー全然呼び出してくれないから退屈してた。なんか顔色良くなったね』
ヴァッサーヌの笑顔は相変わらず無邪気だ。
この子にも随分助けられた。今回もまた力を借りることになりそうだ。
「あのね、少し頼みがあるのだけれど…」
ヴァッサーヌは部屋中に霧を作りながら首をかしげる。
「水の精霊たちは、人間の傷を癒すことが出来るって聞いてことがあるのだけど、ある私の知り合いの傷を癒すことは可能かしら?」
『うーん、多分できると思うけど、見てみないとわからない。でもソフィーのお願いなら私頑張るよ』
思えば、ヴァッサーヌは義母らに酷い仕打ちを受けている際に笑顔になれた大事な存在だった。
今回も、私のために精一杯動いてくれるヴァッサーヌが私は大好きだ。
私はヴァッサーヌと視線を合わせ大きく頷いた後、メーリスを探しに部屋を後にした。
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