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2異世界でネコとしての一歩を踏み出します。
2-9異世界でネコになりましたが、呪い云々よりも、皆さんふわふわ毛皮に夢中です。
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「……それにしても、いったい誰がカナ様に呪いをかけたんでしょうか」
「魔法の残滓も感じられないし」と、すいっと近づいてきた魔法使いの手がカナに触れる。
観察される前に逃げなければとカナは身構えるが、カリカリと絶妙な力加減でのどを掻く魔法使いの指使いに「逃げる」という選択肢がふにゃふにゃに溶かされていく。
いや、侍女がカナの身柄を押さえているせいで逃げられないだけだ。
断じて二人からの攻撃に屈したわけではない。
そう、屈したわけでは。
(うー眠くなっちゃう……)
ゴロゴロとのどが鳴ってしまい、自ら陥落した証拠を体現してしまう。
(うぅ、心地良さには何人たりとも抵抗はできないものだなぁ)
瞼が閉じていくのにあらがえず、カナは辛うじて開いていた目を完全に閉じた。
相変わらず耳だけはピクピクと動かし、部屋での会話だけは拾っておくことにする。
「うむ……それが、思い当たる節がなくてな。
貴族という立場である以上、誰から恨まれていても不思議ではないと言わざるを得ないのだが……。
にしても、最近は恨みを買うような行いをした覚えもないし」
むむっと悩ましげに、父親が魔法使いの問いに答える。
「呪うなら主人を呪えばいいのに。娘をねらうなんて」
「それはそれで良くはないぞ」
「あら、そう?」
母親が冗談なのか本気なのかよく分からない、恐ろしい言葉を口走った。
「ねぇ、カナ?」
……私に振られても困る。
今まさに魔法使いと侍女の手によって、極楽気分でのどを鳴らしてしまっている最中だ。
その様子は、同情を誘うような態度ではないだろう。
「あら、カナ気持ちよさそうね。
どこを触ったらこんなにクテクテになるのかしら?」
「奥様、耳や頭を撫でるとカナ様がよくうっとりしてますよ」
「そうですねぇ、今のど部分をゆっくり掻いてあげているんですが、これも心地良いみたいですね」
あまりにカナがくったりと気持ちよさそうにしているせいなのか、母親の興味がこちらに移ってしまったようだ。
(気持ちはわかる。ネコ、癒されるよね、うん)
「まぁ、呪いの件は引き続き調べることにしよう。
カナ、もうしばらくの辛抱だからな」
そう言いながら父親の手もカナの毛皮に伸びてきて、もふもふと撫で始める。
「うむ、なかなか気持ちいいな」
「ほんと。ふわふわよね。
いつもお手入れしてもらっているからかしら?」
(お父様もお母様も、実はネコ結構好きだな、これ)
たくさんの手に撫でられながら、カナは満足げに再度のどを「ごろごろ」と鳴らしたのだった。
「魔法の残滓も感じられないし」と、すいっと近づいてきた魔法使いの手がカナに触れる。
観察される前に逃げなければとカナは身構えるが、カリカリと絶妙な力加減でのどを掻く魔法使いの指使いに「逃げる」という選択肢がふにゃふにゃに溶かされていく。
いや、侍女がカナの身柄を押さえているせいで逃げられないだけだ。
断じて二人からの攻撃に屈したわけではない。
そう、屈したわけでは。
(うー眠くなっちゃう……)
ゴロゴロとのどが鳴ってしまい、自ら陥落した証拠を体現してしまう。
(うぅ、心地良さには何人たりとも抵抗はできないものだなぁ)
瞼が閉じていくのにあらがえず、カナは辛うじて開いていた目を完全に閉じた。
相変わらず耳だけはピクピクと動かし、部屋での会話だけは拾っておくことにする。
「うむ……それが、思い当たる節がなくてな。
貴族という立場である以上、誰から恨まれていても不思議ではないと言わざるを得ないのだが……。
にしても、最近は恨みを買うような行いをした覚えもないし」
むむっと悩ましげに、父親が魔法使いの問いに答える。
「呪うなら主人を呪えばいいのに。娘をねらうなんて」
「それはそれで良くはないぞ」
「あら、そう?」
母親が冗談なのか本気なのかよく分からない、恐ろしい言葉を口走った。
「ねぇ、カナ?」
……私に振られても困る。
今まさに魔法使いと侍女の手によって、極楽気分でのどを鳴らしてしまっている最中だ。
その様子は、同情を誘うような態度ではないだろう。
「あら、カナ気持ちよさそうね。
どこを触ったらこんなにクテクテになるのかしら?」
「奥様、耳や頭を撫でるとカナ様がよくうっとりしてますよ」
「そうですねぇ、今のど部分をゆっくり掻いてあげているんですが、これも心地良いみたいですね」
あまりにカナがくったりと気持ちよさそうにしているせいなのか、母親の興味がこちらに移ってしまったようだ。
(気持ちはわかる。ネコ、癒されるよね、うん)
「まぁ、呪いの件は引き続き調べることにしよう。
カナ、もうしばらくの辛抱だからな」
そう言いながら父親の手もカナの毛皮に伸びてきて、もふもふと撫で始める。
「うむ、なかなか気持ちいいな」
「ほんと。ふわふわよね。
いつもお手入れしてもらっているからかしら?」
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たくさんの手に撫でられながら、カナは満足げに再度のどを「ごろごろ」と鳴らしたのだった。
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