異世界でネコとして人生を謳歌します。

いく

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4異世界でネコになりましたが、魔法使いにお家へ返されました。

4-4異世界でネコになりましたが、魔法使いの撫で方が乱暴でハゲそうです。

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お父様がルーシュへ嘆願をし始めたちょうどその時、ボーンと鈍い音が屋敷に響いた。

その音に導かれるように、お父様の視線が時計に重なる。

今話している部屋の中央の壁沿いに置かれている柱時計が、11時を告げる音だったようだ。


「おぉ、もうこんな時間か。
ルーシュ殿も、遠路はるばる来ていただいてお疲れでしょう?
もう少ししたら昼食の準備ができます。
それまでお部屋で一休みしてはいかがでしょうか」


「それは助かります。
道中最短距離を進んできたもので、できれば昼食前に身体と服についた汚れを落としたいのですが」

服の汚れを見せながら、そうルーシュから申し出があった。

急に川のそばに現れたのは、そういう理由だったらしい。


(普通に道から来ればいいものを)


そう恨みがましく思ってしまう。


「もちろんです!気遣いが足りず申し訳ございませんでした。
客室に浴室がありますので、自由にお使いください」


ルーシュの申し出に、お父様が慌てた様子でそう応じる。


「もしよろしければこちらで替えの服も用意させていただきますが、いかが致しましょうか?」


「服の替えはこちらに手持ちがあるので問題ありません。お気持ちだけ受け取っておきます」


手元に荷物を何も持っていない様子から、そうお父様からルーシュに声がかかった。

そりゃ、アイテムボックスだの空間魔法だのというものを知らなければそうなる。


実際、カナもそうだった。


(そういえば、もう鞄返してくれてもよくないか?)


天敵魔法使いルーシュに奪われた鞄のことを思い出し、「にゃあ!」と鳴いてみる。

が、ルーシュはカナの方にちらりと視線をやるだけだった。


(……あれ、絶対分かっててやってるな)


妙に勘の鋭いルーシュのことだから、今カナが何を考えているのか察しが付いていることだろう。

それでも、鞄を返してくれる気配はない。


(この、エセ魔法使いが)


そう思って「ぶにゃあ」と鳴けば、なぜか今度はスタスタとルーシュがこちらに歩いてきた。

「よかったね、カナさん。無事にお家に帰れて」


がしがしと乱暴にカナの頭を撫でながら、笑顔でそうのたまってくる。


(これ、絶対わざとでしょ!ちょ、痛い、痛い。ハゲるー)


言葉とは裏腹に、全く優しくない撫で方についついがぶりとルーシュの指に噛みついてしまう。


「……」


「……」


お互いに無言で見つめ合うが、カナはもちろん、ルーシュも引く気はないらしい。


「カナ様、びっくりしたからって噛みついたらだめですよ」


そうカナをたしなめる侍女からの声かけで、カナとルーシュの沈黙が破られ、渋々カナはルーシュの指を放した。
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