拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~

ぽん

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新たな旅 ー王都ー

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『こんにちは、相沢さん。
 王都はいかがですか?』

「こんにちわ。リュオン様。
 どうと言うほど、また王都の事を知っていません。
 ただ、ポーレット公爵を始め皆さんが警戒しているのが不安ですね。」

 虹色の髪を揺らめかせリュオンは微笑んでいた。

『社交ですね。
 人の悪意が集まる場所ですからね。
 さて、貴方はどうされますか?』

 ゼンとソルが戯れているのを微笑んで見ているリュオンはいつもの通りにイオリに問いかける。

「今まで通り、流れに身を任せようと思います。
 家族に危害を加えるようなら、考えます。」

『変わりませんね。』

「今回のポーレット公爵家の目的はタヴァロス侯爵家ですが、俺にはもう一つも目的があります。」

『王家ですか?』

 微笑み首を傾けるリュオンにイオリは頷いた。

「はい。折角のご縁です。
 十蔵さんと和馬さんが作り上げた王家を見てみたいと思います。」

『フフフ。分かりました。
 相沢さんの目にどのように写るのか楽しみです。

 ただ、1つ忠告を・・・。
 現在、王城を掻き回している・・・』

「ミズガルドのロザリンダさんですね。」

『はい。
 人とは己の望むものに欲望は尽きません。
 一面だけを見るのではないのです。
 
 そして何かあれば、我慢などしてはいけません。」

 ゼンを撫でながら話すリュオンは最後に微笑むと姿を消していった。
 
________


「一面だけの見るのではない・・・
 どう言う事だろう?」

 イオリを覗き込むゼンに問いかけるとゼンも考えこむように祭壇を見つめていた。


「終わったのか?お前1人だぞ。」

 声をかけてきたヒューゴが指を刺す方を見れば、テオルドを始めオルガ夫人、ニコライ、ヴァルトが1人の神父と話し込んでいた。
 ヒューゴに纏わり付く子供達もソワソワと気になるようだ。
 イオリが立ち上がるのを気付くとテオルドは神父を連れてやってきた。

「祈りは終わったか?」

「はい。ありがとうございました。」

 頭を下げるイオリに目を細めて微笑む神父をテオルドが紹介した。

「こちらは、ディマルコ枢機卿と言ってアースガイルの教会を束ねる1人だ。
 ディマルコ殿、彼がイオリだ。」

 するとディマルコ枢機卿は胸に手を当てお辞儀をした。

「初めまして、イオリ殿。教会の責務を担う1人、ディマルコと申します。
 本日はよくぞお越しくださいました。」

 白髪にメガネのディマルコ枢機卿はにこやかにイオリに挨拶をした。

「初めまして、ディマルコ枢機卿。
 冒険者をしていますイオリと申します。
 こちらは家族です。
 従魔のゼンとアウラ、ソル。
 双子のスコルとパティ。
 エルフのナギ。
 そしてヒューゴとニナの兄妹です。

 初めて王都の教会へ来ましたが、石造りの立派な教会ですね。」

「ありがとうございます。
 アースガイル建国の時に造られたと聞いています。
 所々、手は入れてありますが建物の大部分は当時のままです。」

 見渡して感動している子供達を見てディマルコ枢機卿は微笑んだ。

「ところで、イオリ殿。
 ポーレットのエドバルドからお伽話なるものを聞きまして、孤児の教育を担っているミゲル枢機卿が大変興味をお持ちなんです。
 いつでも構いません。お時間をいただき、話を聞かせていただけませんか?」

「お話好き!」

「ニナも!
 あのね。嘘をつくとお鼻が伸びちゃうんだよ!」

 真っ先にナギが手をあげるとニナもピョンピョンと手をあげてアピールをしていた。

「嘘をつくと鼻が伸びる?呪いか何かですか?」

 真面目な顔で聞くディマルコにイオリは笑うと首を横に振った。

「いいえ。そうではなくて、“嘘をついて妖精に罰として鼻を伸ばされた少年がいた。”
 と言う物語にして、嘘をつくとこんな事になっちゃうかもしれないからやめようね。
 と警告しているんです。

 簡単に嘘をついてはいけません!と言うだけじゃ、子供には分かりづらいですからね。
 
 ただ、罰を受けるから嘘を止めるのではなくて、人を傷つけたり困らせたりするから嘘はやめよう。
 と教えていく事も重要だと思います。」

 若き青年の言葉に納得して感動したディマルコ枢機卿は何がなんでもミゲルに会わせたいと願うのであった。

「ニナ。ガラスの靴を忘れちゃって王子様と結婚する女の子の話も好きだな。」

 小さな少女が笑いながら話す物語を大人達は微笑んで聞くのであった。

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