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新たな旅 ー王都ー
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「現在は衛兵に身柄を引き渡し、余罪を含め取り調べ中とのこと。
この度はポーレットから起きました事、お手数をおかけしました。」
夕日が傾き始めた王室の庭。
タヴァロス侯爵一家を拘束したとの報告を終えるとポーレット公爵テオルドは国王アルフレッドに頭を下げた。
「いいや、これは国難に続く話であると思った方がいい。
むしろ、よく気づいてくれたものだ。
それにしても敵陣に乗り込んだのに、専属冒険者殿は連れてはいかなかったのか?」
先程から、庭で焚き火をしている真っ黒な青年に視線をやりアルフレッドは微笑んだ。
「貴族の政治など本来イオリには関係のない事。
何よりもタヴァロスを追い詰めていた時の我々の顔もさぞ醜かっただろう。
イオリは神の愛し子・・・。見せなくても良いものだ。」
呟くテオルドにアルフレッドは頷いた。
「愛し子か・・・我が時代に現れるとは思わなんだ。
あの子の力は凄まじいか?」
「強いぞ。我々には扱えない武器を容易に使いこなす。
聞けば答えてくれるだろう。
しかしなアル・・・。愛し子とは武力ではないと私は思っている。
愛し子の力とはアレだ。」
テオルドが顎でしゃくるのを見てアルフレッドは視線を動かした。
イオリが焚き火で煮込んでいる大鍋を、覗いている子供達が湯気を顔に当てて笑っている。
「死戦をくり抜け、親とは死に別れたり売られたり、心に傷をおった者達をイオリは癒した。
砂糖や塩など我々には思いつかない技術を持ち込み、あの子はそれを自分の利益にはしないのだ。
騙し騙され、試し試されの貴族社会にドップリ浸かってきた私には眩しい子なんだ。」
「そうか・・・。
それならば私も同じだな。我らは同じ魂を持った兄弟なのだから。」
顔を見合わせた2人は微笑むと立ち上がりイオリ達の元に足を向けた。
_______
テオルド達がタヴァロス侯爵家に向かって行ったその頃、離宮・シグマには国王陛下からオルガ夫人宛に《イオリや子供達も連れて遊びにおいで》と言伝が届いた。
緊張するヒューゴといつもと変わらず、お構いなしの子供達を引き連れてオルガはイオリと共に王城の奥まで足を運んだのであった。
「国王陛下のお招きにより参上致しました」
スカートを持ち上げカーテシーをするオルガの後ろにイオリ達は並んだ。
「よく来たな。オルガ。
今日はここで好きに過ごすが良い。」
「ありがたき幸せにございます。
では・・・。イオリちゃんがお菓子を作ってくれたのよ。
シシィちゃん一緒に食べましょう!」
先程までの淑女のマナーなど関係なくオルガは王妃シシリアに手を振った。
「キャー!嬉しい!!紅茶にしましょう。」
「待て。2人共・・・。
オルガそれよりも先に紹介をしてもらえるか?」
呆れたように言うアルフレッドにオルガ夫人は「あら、忘れてた。うふふ」とイオリ達の元に戻った。
「コホンっ。
ご存知こちらが冒険者のイオリちゃん。
いつもお世話になっているの。
みんなー。あの方々が国王アルフレッド様と王妃シシリア様よ。」
イオリはニッコリとし前に出ると膝をついた。
「国王陛下とはご挨拶をさせて頂きましたが改めまして、冒険者をしておりますイオリと申します。
ご招待いただきまして有難うございます。
こちらにおりますのが、従魔のゼン・アウラ・ソル。
双子のスコルとパティにエルフのナギ。
兄妹のヒューゴとニナでございます。」
「弟達が世話になっている。
アースガイルの各地での問題にも手を貸してくれていると聞いた。
礼を言う。」
「誤解なきように言いますと俺は自由にしているに過ぎません。
でも、褒められると嬉しいです。」
照れるイオリにアルフレッドは好感を持った。
「これからもアースガイルの地において、自由に過ごすが良い。
今日は無礼講だ。
肩を張らずに楽しんでいくといい。」
「有難うございます。」
イオリの後ろで一緒になって膝をつくヒューゴと真似をする子供達にアルフレッドは優しく微笑んだ。
「ねーねー。王様はテオのお兄ちゃんなの?」
そんな中、イオリの後ろから小さい声が聞こえてきた。
この度はポーレットから起きました事、お手数をおかけしました。」
夕日が傾き始めた王室の庭。
タヴァロス侯爵一家を拘束したとの報告を終えるとポーレット公爵テオルドは国王アルフレッドに頭を下げた。
「いいや、これは国難に続く話であると思った方がいい。
むしろ、よく気づいてくれたものだ。
それにしても敵陣に乗り込んだのに、専属冒険者殿は連れてはいかなかったのか?」
先程から、庭で焚き火をしている真っ黒な青年に視線をやりアルフレッドは微笑んだ。
「貴族の政治など本来イオリには関係のない事。
何よりもタヴァロスを追い詰めていた時の我々の顔もさぞ醜かっただろう。
イオリは神の愛し子・・・。見せなくても良いものだ。」
呟くテオルドにアルフレッドは頷いた。
「愛し子か・・・我が時代に現れるとは思わなんだ。
あの子の力は凄まじいか?」
「強いぞ。我々には扱えない武器を容易に使いこなす。
聞けば答えてくれるだろう。
しかしなアル・・・。愛し子とは武力ではないと私は思っている。
愛し子の力とはアレだ。」
テオルドが顎でしゃくるのを見てアルフレッドは視線を動かした。
イオリが焚き火で煮込んでいる大鍋を、覗いている子供達が湯気を顔に当てて笑っている。
「死戦をくり抜け、親とは死に別れたり売られたり、心に傷をおった者達をイオリは癒した。
砂糖や塩など我々には思いつかない技術を持ち込み、あの子はそれを自分の利益にはしないのだ。
騙し騙され、試し試されの貴族社会にドップリ浸かってきた私には眩しい子なんだ。」
「そうか・・・。
それならば私も同じだな。我らは同じ魂を持った兄弟なのだから。」
顔を見合わせた2人は微笑むと立ち上がりイオリ達の元に足を向けた。
_______
テオルド達がタヴァロス侯爵家に向かって行ったその頃、離宮・シグマには国王陛下からオルガ夫人宛に《イオリや子供達も連れて遊びにおいで》と言伝が届いた。
緊張するヒューゴといつもと変わらず、お構いなしの子供達を引き連れてオルガはイオリと共に王城の奥まで足を運んだのであった。
「国王陛下のお招きにより参上致しました」
スカートを持ち上げカーテシーをするオルガの後ろにイオリ達は並んだ。
「よく来たな。オルガ。
今日はここで好きに過ごすが良い。」
「ありがたき幸せにございます。
では・・・。イオリちゃんがお菓子を作ってくれたのよ。
シシィちゃん一緒に食べましょう!」
先程までの淑女のマナーなど関係なくオルガは王妃シシリアに手を振った。
「キャー!嬉しい!!紅茶にしましょう。」
「待て。2人共・・・。
オルガそれよりも先に紹介をしてもらえるか?」
呆れたように言うアルフレッドにオルガ夫人は「あら、忘れてた。うふふ」とイオリ達の元に戻った。
「コホンっ。
ご存知こちらが冒険者のイオリちゃん。
いつもお世話になっているの。
みんなー。あの方々が国王アルフレッド様と王妃シシリア様よ。」
イオリはニッコリとし前に出ると膝をついた。
「国王陛下とはご挨拶をさせて頂きましたが改めまして、冒険者をしておりますイオリと申します。
ご招待いただきまして有難うございます。
こちらにおりますのが、従魔のゼン・アウラ・ソル。
双子のスコルとパティにエルフのナギ。
兄妹のヒューゴとニナでございます。」
「弟達が世話になっている。
アースガイルの各地での問題にも手を貸してくれていると聞いた。
礼を言う。」
「誤解なきように言いますと俺は自由にしているに過ぎません。
でも、褒められると嬉しいです。」
照れるイオリにアルフレッドは好感を持った。
「これからもアースガイルの地において、自由に過ごすが良い。
今日は無礼講だ。
肩を張らずに楽しんでいくといい。」
「有難うございます。」
イオリの後ろで一緒になって膝をつくヒューゴと真似をする子供達にアルフレッドは優しく微笑んだ。
「ねーねー。王様はテオのお兄ちゃんなの?」
そんな中、イオリの後ろから小さい声が聞こえてきた。
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