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王都 〜王城・デーゾルドの行方〜
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「お疲れ様でした。」
定時で帰宅の準備をしていたキトリ・フラマンに年嵩の同僚が話しかけてきた。
「・・・お疲れ様でした。」
王都の東の地区に住まいを持つ子爵家の当主であり、かろうじて自分よりも爵位が上の相手にキトリ・フラマンは挨拶を返す。
たしか若い息子が2人いたはずだが、2人とも既に婚約者がいると聞いた事がある。
狙っていたわけではないが、未だ婚約者の当てすらないキトリ・フラマンにしたら、この年嵩の同僚が呑気に机の整頓をしているのを見るだけで心の中でつまらなそうに溜息を吐いた。
キトリ・フラマンはうだつの上がらない仕事場から逃げるように出た。
王都が王子達の結婚で沸き立つ中、最近キトリ・フラマンの周囲はパッとしていない。
理由は分かっている。
遊び仲間であるシャムル・モンストル伯爵が床についている事で他の仲間達とも距離が空いてしまったからだろう。
それも当然で、仲間達は常にシャムル・モンストルが齎す贅や快楽が目的で集まっていた。
絶対的中心にいた男が社交の場から遠ざかっている今は、仲間達は互いに遠巻きに挨拶する程度である。
キトリ・フラマンもその薄情な関係を気に入っていた訳だが、何とも薄ら寂しいものだ。
彼女とて最初は敬愛するシャムル・モンストルの身を心配し、夜な夜なの遊びも自制していたのだ。
仕事の鬱憤を仲間達との楽しい時間で晴らしていたキトリ・フラマンにしてみたら、何もない苦痛な日々だった。
しかし、その我慢は先日行われた王城での茶会で少しづつ緩んできた。
皇太子ギルバート、第二王子ディービット、そしてポーレット公爵家嫡男ニコライ、次男ヴァルト。
この国で最も華やかな若者達が勢揃いする事など滅多にない。
ヴァルト以外はそれぞれパートナーを連れていたが、最初から王族や公爵家と縁のないキトリ・フラマンにしてみたら、どうでも良い事だった。
参加者の奥方や令嬢の中には悔しそうに婚約者達を見つめていた者達もいたが、キトリ・フラマンは馬鹿馬鹿しいと呆れていた。
自分の生活における楽しい水準は自分が1番分かっている。
今までのように、仲間達と酒と遊びを楽しめるくらいが自分は丁度良いのだ。
これで実家がそこそこ有力な男と結婚し家を守れる事ができれば文句など何もない。
ただ、華やかな場が好きで綺麗な物を好むキトリ・フラマンにしてみたら、王城で開かれる茶会は疲れた体を満たしてくれた。
その日からキトリ・フラマンは以前の様に夜の街に繰り出した。
酒場、遊戯場、タバコだって全てシャムル・モンストルに教えて貰った。
「今日は“ミミズクの館”へ向かってちょうだい。」
迎えにきた馬車に乗り込むと、キトリ・フラマンは御者に告げるのだった。
その馬車を見送る視線など気が付かずに・・・。
定時で帰宅の準備をしていたキトリ・フラマンに年嵩の同僚が話しかけてきた。
「・・・お疲れ様でした。」
王都の東の地区に住まいを持つ子爵家の当主であり、かろうじて自分よりも爵位が上の相手にキトリ・フラマンは挨拶を返す。
たしか若い息子が2人いたはずだが、2人とも既に婚約者がいると聞いた事がある。
狙っていたわけではないが、未だ婚約者の当てすらないキトリ・フラマンにしたら、この年嵩の同僚が呑気に机の整頓をしているのを見るだけで心の中でつまらなそうに溜息を吐いた。
キトリ・フラマンはうだつの上がらない仕事場から逃げるように出た。
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理由は分かっている。
遊び仲間であるシャムル・モンストル伯爵が床についている事で他の仲間達とも距離が空いてしまったからだろう。
それも当然で、仲間達は常にシャムル・モンストルが齎す贅や快楽が目的で集まっていた。
絶対的中心にいた男が社交の場から遠ざかっている今は、仲間達は互いに遠巻きに挨拶する程度である。
キトリ・フラマンもその薄情な関係を気に入っていた訳だが、何とも薄ら寂しいものだ。
彼女とて最初は敬愛するシャムル・モンストルの身を心配し、夜な夜なの遊びも自制していたのだ。
仕事の鬱憤を仲間達との楽しい時間で晴らしていたキトリ・フラマンにしてみたら、何もない苦痛な日々だった。
しかし、その我慢は先日行われた王城での茶会で少しづつ緩んできた。
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