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王都 〜再会・王城③〜
312
「あぁ、綺麗だね。
これが・・・大樹の実か。」
木箱を覗き込んだイオリの呟きに周囲がギョッとした。
「何っ?大樹の実だと?
まさか、パライソの森にあるという大樹の事を言っているのではあるまいなっ!?」
アースガイル国王アルフレッドが思わず僅かに腰を上げる。
その弟である王弟テオルド・ドゥク・ポーレット公爵も唖然として口をポカンと開けている。
「ハニエル翁の手紙にはそう書いてありました。
“パライソの森の主”が夢枕に出て来て、バンデへ渡す様に信託があったと。」
唖然とする周囲にイオリの説明は続く。
「“パライソの森の主”・・・アマメによると、これは大樹にも滅多に実らない大変貴重な実だそうです。
件の折に核の一部が闇に染まってしまった聖獣アマメです。
その闇の受け継ぎ生まれたのが、この小さなバンデ。
バンデはアマメや、もう1人の息子とは違いスキルは使えても、聖獣の子にも関わらず神聖力がないのはその所為だったんです。」
光と聖属性の力を持つヴァルトの従魔であるカーバンクルのルチアによると、神聖力はルチアが扱う聖属性の力よりも強力で、本来であるならば闇に染まった核に効果を発揮するそうだ。
しかし、アマメ自身が染めてしまった闇はアマメの力ではどうする事も出来ず、パライソの主として自然の安寧を保たなければならないアマメはあの時、バンデに背負い込ませる意外方法がなかったのだろう。
それがルチアの見解だった。
イオリは木箱から金色の実を出すとバンデに差し出した。
「いいの?」
まるで、そう言うかのように首を傾げるバンデにイオリはニッコリとして頷いた。
「これはバンデの物だよ。
君の親が君を思って贈ってくれた貴重な実だそうだよ。
アマメは君にこそ必要だと考えたんだろうね。」
バンデはイオリの言っている事が分かるのか、コクリと頷くとテオルドを見てから金色の実にしがみ付いた。
すると、大樹の金色の実が輝きが増し誰もが眩しくて目を瞑った。
再び目を開ければ、普段白と紫水晶のグラデーションの色を持つバンデが誰もが分かるくらい金色に輝いていた。
驚く周囲に注目される中、バンデ自身も不思議そうに自分の体を見つめている。
「どう?
辛かったり、苦しかったりしない?」
イオリが聞けば、バンデは首を横に振った。
「大丈夫なようです。
ルチアさん。どうでしょう?
何か変化があるでしょうか?」
イオリはルチアに金色に輝くバンデを近づけた。
すると、光と聖の力を持つルチアがバンデの額の宝石に自分の宝石を当てた。
『えぇ、破れた布の様であったバンデの神聖力が綺麗に修復されています。
こんな事があるなんて・・・。
まるで絶対神がバンデの傷を治してくれたかのようです。
良かったですね。バンデ。』
ルチアがバンデに頬擦りし労うと、至る所から従魔達が近づいてきてバンデを舐めたり、体を擦り付けたりと喜び合った。
当のバンデはくすぐったそうに体をくねらせると逃げるようにテオルドの元へと飛び付いた。
「・・・そうか。
本来の力が戻ったか・・・。
良かった。良かったな。バンデよ。」
テオルドは嬉しそうにバンデの小さな顔に頬をつけると目端から涙を流した。
イオリはテオルドがアマメと約束した事を思い出していた。
《人に絶望せず、自然と人を思いやる事をバンデに教えてやって欲しい。》
「アマメ、テオさんはあの時の約束を忘れていないよ。
バンデは自然と人を愛し、そして皆に愛される子に育っているよ。」
誰にも聞かれないイオリの言葉に遠いパライソの森を守る守護者が微笑んだ。
※※※※※ ※※※※※
書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも第2巻が書籍化されました!是非、ご覧下さい。
これが・・・大樹の実か。」
木箱を覗き込んだイオリの呟きに周囲がギョッとした。
「何っ?大樹の実だと?
まさか、パライソの森にあるという大樹の事を言っているのではあるまいなっ!?」
アースガイル国王アルフレッドが思わず僅かに腰を上げる。
その弟である王弟テオルド・ドゥク・ポーレット公爵も唖然として口をポカンと開けている。
「ハニエル翁の手紙にはそう書いてありました。
“パライソの森の主”が夢枕に出て来て、バンデへ渡す様に信託があったと。」
唖然とする周囲にイオリの説明は続く。
「“パライソの森の主”・・・アマメによると、これは大樹にも滅多に実らない大変貴重な実だそうです。
件の折に核の一部が闇に染まってしまった聖獣アマメです。
その闇の受け継ぎ生まれたのが、この小さなバンデ。
バンデはアマメや、もう1人の息子とは違いスキルは使えても、聖獣の子にも関わらず神聖力がないのはその所為だったんです。」
光と聖属性の力を持つヴァルトの従魔であるカーバンクルのルチアによると、神聖力はルチアが扱う聖属性の力よりも強力で、本来であるならば闇に染まった核に効果を発揮するそうだ。
しかし、アマメ自身が染めてしまった闇はアマメの力ではどうする事も出来ず、パライソの主として自然の安寧を保たなければならないアマメはあの時、バンデに背負い込ませる意外方法がなかったのだろう。
それがルチアの見解だった。
イオリは木箱から金色の実を出すとバンデに差し出した。
「いいの?」
まるで、そう言うかのように首を傾げるバンデにイオリはニッコリとして頷いた。
「これはバンデの物だよ。
君の親が君を思って贈ってくれた貴重な実だそうだよ。
アマメは君にこそ必要だと考えたんだろうね。」
バンデはイオリの言っている事が分かるのか、コクリと頷くとテオルドを見てから金色の実にしがみ付いた。
すると、大樹の金色の実が輝きが増し誰もが眩しくて目を瞑った。
再び目を開ければ、普段白と紫水晶のグラデーションの色を持つバンデが誰もが分かるくらい金色に輝いていた。
驚く周囲に注目される中、バンデ自身も不思議そうに自分の体を見つめている。
「どう?
辛かったり、苦しかったりしない?」
イオリが聞けば、バンデは首を横に振った。
「大丈夫なようです。
ルチアさん。どうでしょう?
何か変化があるでしょうか?」
イオリはルチアに金色に輝くバンデを近づけた。
すると、光と聖の力を持つルチアがバンデの額の宝石に自分の宝石を当てた。
『えぇ、破れた布の様であったバンデの神聖力が綺麗に修復されています。
こんな事があるなんて・・・。
まるで絶対神がバンデの傷を治してくれたかのようです。
良かったですね。バンデ。』
ルチアがバンデに頬擦りし労うと、至る所から従魔達が近づいてきてバンデを舐めたり、体を擦り付けたりと喜び合った。
当のバンデはくすぐったそうに体をくねらせると逃げるようにテオルドの元へと飛び付いた。
「・・・そうか。
本来の力が戻ったか・・・。
良かった。良かったな。バンデよ。」
テオルドは嬉しそうにバンデの小さな顔に頬をつけると目端から涙を流した。
イオリはテオルドがアマメと約束した事を思い出していた。
《人に絶望せず、自然と人を思いやる事をバンデに教えてやって欲しい。》
「アマメ、テオさんはあの時の約束を忘れていないよ。
バンデは自然と人を愛し、そして皆に愛される子に育っているよ。」
誰にも聞かれないイオリの言葉に遠いパライソの森を守る守護者が微笑んだ。
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