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王城 〜予感〜
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シャムル・モンストル伯爵が犯した違法賭博事件は国王アルフレッドの逆鱗に触れた。
国王アルフレッドは、例え高位の貴族であろうとも、国に貢献する商会であろうとも魔獣の誘拐及び命を対象にした賭け事に関わりを持った者達を許さなかった。
家族や親族が逮捕された貴族の多くは王家へ目溢しの嘆願を送ってきたが、それが余計に国王の怒りを煽った。
事件の発端となった“明けない魔の森”は国王の弟であるテオルドが治めるポーレット領にあり、今回被害にあった魔獣達の怒りは爆発寸前だった。
その魔獣達が怒りがポーレットの街へと向かった折には、テオルド達への被害が如何様であったか想像するのも恐ろしかった。
シャムル・モンストルは事件の発覚を恐れ、王都へ向かう王弟を排除しようとした。
全くもって無駄な事だ。
何故ならば、自分の片割れだと言って憚らない双子の弟が命落とす事あれば、国王アルフレッドは地獄の果てまで犯人を追いかける事だろう。
ポーレットの街で冒険者達が“明けない魔の森”の異変に気づいた時にシャムル・モンストルの悪事が暴かれる事は決定していたのだ。
取り調べを続けるトラスト・ブレインも静かな怒りを燃やしていた。
普段、冷静沈着な分、彼は他者に怒りを感じ取らせる事もない。
しかし、ニコライという友人が愛するポーレットの街が危険に晒されていたと知れば徹底的に敵を調べるのは当たり前だし、その敵が皇太子ギルバートをも自分の利益の為に利用していたと知れば、相手を塵にしてしまおうと思う位の怒りは感じるものだった。
「どちらにせよ。
王都に名を並べる貴族達の何割かは処分対象となるはずです。」
処分内容を決めるのは自分の仕事でないと知りながら、冷めた目で名簿を渡すトラスト・ブレインに国王アルフレッドは厳しい顔で頷いた。
「ここからは、魔獣の話になる。」
トラスト・ブレインは、その視線をイオリに向けた。
「魔獣の生育速度など、俺が説明しなくてもイオリやヒューゴは理解しているだろう。
今回、保護出来た魔獣の子供達は種類によって大きさも異なるが、専門家によると全て生まれて1年も満たしていない幼体であると確認が取れた。
であるならば、大きくなった他の魔獣達は何処へ行ったのかという話になる。」
トラスト・ブレインは国王の手前溜息を吐く事などしなかったが、明らかにウンザリした様子だった。
「シャムル・モンストルの元で働いていた複数人の者達から証言が取れた。
体が大きくなり、王都マテオールの一屋敷で扱えなくなった魔獣は他国へ売られているそうだ。」
王家の私室に冷たい空気が流れた。
※※※※※ ※※※※※
書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも第2巻が書籍化されました!是非、ご覧下さい。
国王アルフレッドは、例え高位の貴族であろうとも、国に貢献する商会であろうとも魔獣の誘拐及び命を対象にした賭け事に関わりを持った者達を許さなかった。
家族や親族が逮捕された貴族の多くは王家へ目溢しの嘆願を送ってきたが、それが余計に国王の怒りを煽った。
事件の発端となった“明けない魔の森”は国王の弟であるテオルドが治めるポーレット領にあり、今回被害にあった魔獣達の怒りは爆発寸前だった。
その魔獣達が怒りがポーレットの街へと向かった折には、テオルド達への被害が如何様であったか想像するのも恐ろしかった。
シャムル・モンストルは事件の発覚を恐れ、王都へ向かう王弟を排除しようとした。
全くもって無駄な事だ。
何故ならば、自分の片割れだと言って憚らない双子の弟が命落とす事あれば、国王アルフレッドは地獄の果てまで犯人を追いかける事だろう。
ポーレットの街で冒険者達が“明けない魔の森”の異変に気づいた時にシャムル・モンストルの悪事が暴かれる事は決定していたのだ。
取り調べを続けるトラスト・ブレインも静かな怒りを燃やしていた。
普段、冷静沈着な分、彼は他者に怒りを感じ取らせる事もない。
しかし、ニコライという友人が愛するポーレットの街が危険に晒されていたと知れば徹底的に敵を調べるのは当たり前だし、その敵が皇太子ギルバートをも自分の利益の為に利用していたと知れば、相手を塵にしてしまおうと思う位の怒りは感じるものだった。
「どちらにせよ。
王都に名を並べる貴族達の何割かは処分対象となるはずです。」
処分内容を決めるのは自分の仕事でないと知りながら、冷めた目で名簿を渡すトラスト・ブレインに国王アルフレッドは厳しい顔で頷いた。
「ここからは、魔獣の話になる。」
トラスト・ブレインは、その視線をイオリに向けた。
「魔獣の生育速度など、俺が説明しなくてもイオリやヒューゴは理解しているだろう。
今回、保護出来た魔獣の子供達は種類によって大きさも異なるが、専門家によると全て生まれて1年も満たしていない幼体であると確認が取れた。
であるならば、大きくなった他の魔獣達は何処へ行ったのかという話になる。」
トラスト・ブレインは国王の手前溜息を吐く事などしなかったが、明らかにウンザリした様子だった。
「シャムル・モンストルの元で働いていた複数人の者達から証言が取れた。
体が大きくなり、王都マテオールの一屋敷で扱えなくなった魔獣は他国へ売られているそうだ。」
王家の私室に冷たい空気が流れた。
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