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王城 〜予感〜
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話合いの末、ドミトリー・ドナードが残した悪の遺産は頭の片隅に置き、話の続きをする事になった。
それを話し始めたのは宰相グレン・ターナーだった。
「実は最近、他国で人族を打倒する事を目的とした組織が確認されているのです。」
「人族を打倒する事を目的とした?」
ポーレット公爵テオルドが険しい顔で首を傾げた。
「はい。
主だったメンバーは獣人とエルフだと報告が上がっていますが、詳細は明かになっていません。
被害といえば地方の領主の屋敷の襲撃や、商会の旅団への強盗などが挙げられます。
特に被害が多いのがミズガルド国で、デザリア国や他国でも見られるそうです。」
「我が国での被害は?」
グレン・ターナーは眉間の皺を濃くしたテオルドに首を横に振った。
「今のところありません。
察するに未だ奴隷制度をとっている国々に被害は集中しているようです。
領主の屋敷の襲撃に乗じて逃げ出している奴隷もいると報告を受けています。
ミズガルドは奴隷制度を廃止していますが、今までの歴史が負の連鎖を生んでいるのでしょう。
我がアースガイルは奴隷制度の全てを廃止している訳ではないですが、国策として奴隷にも見合った賃金と人権が用意されています。
その違いがあるのでしょうが、いつ我らにも彼らの刃が向くとも分かりません。」
「・・・そうか。」
奴隷の存在はいつの時代も問題提起として次世代に受け継がれてきた。
奴隷の多くは獣人やエルフといった種族が多く。
人族の奴隷も少なくない。
奴隷達が望んで、その立場に甘んじている訳ではない。
中には致し方なく体に奴隷紋を刻まなければならぬ者もいた。
理不尽に耐えられなくなった奴隷達が暴動を起こす事件も過去の歴史には何度もあったという。
アースガイル国では初代国王マテオが国を興すきっかけがウサギ獣人であった事もあり、獣人やエルフといった種族関係なく庇護対象であり、奴隷として身を落としても酷い目に遭わせる事なかれとの精神が根付いていた。
それでも、この国に過去に奴隷達の反発がなかった訳ではない。
時代の王はその都度、奴隷制度に対する考え方を見つめ直す事を義務づけられてきたと言ってもいい。
「ですが・・・。」
珍しく歯切れの悪い宰相グレン・ターナーに皆の視線が集まる。
「私には今回の組織の流れが今までと同じような奴隷達の抵抗には思えず、裏から調べを進めて来ました。
そこで、気になる事があります。」
「どうした?」
国王アルフレッドの促しにグレン・ターナーは頷いた。
「件の領主の屋敷や商会の旅団を襲った者達の中に・・・魔獣達が混ざっているそうです。」
グレン・ターナーの報告に一同は静まり返った。
※※※※※ ※※※※※
書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも第2巻が書籍化されました!是非、ご覧下さい。
それを話し始めたのは宰相グレン・ターナーだった。
「実は最近、他国で人族を打倒する事を目的とした組織が確認されているのです。」
「人族を打倒する事を目的とした?」
ポーレット公爵テオルドが険しい顔で首を傾げた。
「はい。
主だったメンバーは獣人とエルフだと報告が上がっていますが、詳細は明かになっていません。
被害といえば地方の領主の屋敷の襲撃や、商会の旅団への強盗などが挙げられます。
特に被害が多いのがミズガルド国で、デザリア国や他国でも見られるそうです。」
「我が国での被害は?」
グレン・ターナーは眉間の皺を濃くしたテオルドに首を横に振った。
「今のところありません。
察するに未だ奴隷制度をとっている国々に被害は集中しているようです。
領主の屋敷の襲撃に乗じて逃げ出している奴隷もいると報告を受けています。
ミズガルドは奴隷制度を廃止していますが、今までの歴史が負の連鎖を生んでいるのでしょう。
我がアースガイルは奴隷制度の全てを廃止している訳ではないですが、国策として奴隷にも見合った賃金と人権が用意されています。
その違いがあるのでしょうが、いつ我らにも彼らの刃が向くとも分かりません。」
「・・・そうか。」
奴隷の存在はいつの時代も問題提起として次世代に受け継がれてきた。
奴隷の多くは獣人やエルフといった種族が多く。
人族の奴隷も少なくない。
奴隷達が望んで、その立場に甘んじている訳ではない。
中には致し方なく体に奴隷紋を刻まなければならぬ者もいた。
理不尽に耐えられなくなった奴隷達が暴動を起こす事件も過去の歴史には何度もあったという。
アースガイル国では初代国王マテオが国を興すきっかけがウサギ獣人であった事もあり、獣人やエルフといった種族関係なく庇護対象であり、奴隷として身を落としても酷い目に遭わせる事なかれとの精神が根付いていた。
それでも、この国に過去に奴隷達の反発がなかった訳ではない。
時代の王はその都度、奴隷制度に対する考え方を見つめ直す事を義務づけられてきたと言ってもいい。
「ですが・・・。」
珍しく歯切れの悪い宰相グレン・ターナーに皆の視線が集まる。
「私には今回の組織の流れが今までと同じような奴隷達の抵抗には思えず、裏から調べを進めて来ました。
そこで、気になる事があります。」
「どうした?」
国王アルフレッドの促しにグレン・ターナーは頷いた。
「件の領主の屋敷や商会の旅団を襲った者達の中に・・・魔獣達が混ざっているそうです。」
グレン・ターナーの報告に一同は静まり返った。
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