続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路 〜ダグスクへ〜

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「お前さぁ~。
 身体強化のスキルが復活したから嬉しいのは分かるが、薬の使い方は考えろよぉ。
 アウラが機転を効かせて煙を避けてくれたから無事だったが、俺達まで眠らされるところだったじゃないか!」

 怒るヒューゴにイオリは「へへへっ」と笑うばかりだ。

 コボルトの群れに襲われた小さな馬車であったが、イオリの放った眠り薬のおかげで難を逃れた。

 しかし、問題は前方からやってきたコボルトに対して眠り薬を放った事により、馬車も眠り薬の煙に突入する恐れがあった事だ。

 直前になってバトルホースのアウラがステップを踏み軌道を逸らした為に煙に突っ込む事はなかったが、馬車の中は大荒れだった。

 派手に転がった子供達が恨めしそうな顔で自分を見上げてくるのをイオリは謝るしかなかったのだった。
 ヒューゴのお小言も致し方なしと子供達が庇う事もない。

 馬車の端っこで丸まっていた真っ白な小さな毛糸玉のゼンは呆れたように小さく息を吐いていた。

「まったく・・・お前との旅は飽きる事ないな。
 おい。褒めてねぇーからな!
 それで、今日の野営は森の川沿いで良いな?」

 日も暮れてきて人の手の入ったキャンプ地には間に合いそうもない。
 そんな時は安全な場所を探しての野営となる。

 イルツクの街を出発してから平原が続き、今はダグスク地方へ入る為に森の中を通る必要があった。

 森は危険もあるが身を隠すのに1番良いし、水場は料理や身を清めるのに必須だ。
 森の生活に慣れているイオリ達にとって安全を確保するのには1番だった。

「あの、大きな木の下はどうですか?」

 誘われるようにイオリが指を指すとヒューゴが頷いた。

「楠の木だな?
 随分と立派な木だ。」

 すると、馬車から顔出したナギも大きな口を開けて楠の木を見上げた。

「ねぇ、知ってる?
 楠の木って絶対神様の力が宿ってるんだって。
 古来から旅人は楠の木に見守られながら眠りにつくと安全に朝を迎えられるって言われてたらしいよ。
 今じゃ、ギルドが運営するキャンプ地とかで皆んな休むけど、昔の人は楠の木を探して体を休めたって本に書いてあった。」

 ポーレット公爵家の図書室に飽き足らず王城の図書室や訪れた各地でも本を読み漁っているナギの言葉にイオリは満足そうに頷いた。

「良い事聞いた。
 やっぱり、あの楠の木の下にテントを張る事にしよう。」

「「「「おー!」」」」

 決まれば話は早い。
 大きな楠の木の元へ馬車を向かわさせると、飛び出した子供達が着々と野営の準備に取り掛かった。

 ヒューゴにハーネスを外してもらったアウラは体をグイっと伸ばすし、好きな様に駆け出して行く。

 イオリはテントの準備をすると、今夜は何を食べようかと夕飯の事を考え楽しくなるのだった。


※※※※※ ※※※※※

書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも第2巻が書籍化されました!是非、ご覧下さい。



 

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