続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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イオリと薬師の交友録

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 久しぶりに家族で“明けない魔の森”へ行った日の数日後、ヒューゴはスコルとパティを連れて“日暮れの暖炉”にやってきていた。

 この日、朝一番で“日暮れの暖炉”の手伝い出ていたニナを迎えに来たのである。

 店主のダンは3人が顔を出すと嬉しそうに果実水を出してくれた。

「今日はイオリは一緒じゃないのか?」

 ダンがイオリを探す様にヒューゴ達の後を覗き込んだ。

「後で合流するかも?」
「しないかも?」

 スコルとパティのあやふやな言葉に首を傾げるダンは答えを求めてヒューゴの方を見てきた。
 当のヒューゴは苦笑気味だ。

「先日“明けない魔の森”に行ったんですけど、その時に手に入れた植物達を加工するのに夢中なんですよ。
 一応、“日暮の暖炉”で待ち合わせって言ってるんですが、集中するとアイツは他を忘れがちなんで。」
 
 イオリの様子が想像出来たダンはゲラゲラと笑った。

「そうか。
 じゃあ、しょうがねぇな。
 お前達はゆっくりしていけ。
 ニナももうすぐ降りて来るだろう。」

 ダンの妻ローラと娘ベルと共に客室の掃除をしているらしいニナの笑い声が聞こえてくる。

 ヒューゴと双子はその声を聞き微笑んだ。

 彼等家族を見守ってきたダンも、イオリがいなくなって何処か神経を尖らせてたヒューゴと双子に穏やかさが戻ってきた事に喜びを感じていた。

 宿屋を営むダンだ。
 冒険者との良い付き合いも一期一会で終わる事も多い。
 だが、イオリという青年を中心とした彼の仲間達に対する思いは一塩だ。

「それじゃ、アイツは魔の森から帰ってきて御屋敷に篭りきりか?」

 ダンは夢中になって周りが見えなくなっているだろうイオリを心配する。

 すると、スコルが呆れた顔で肩を竦めパティが嫌そうに顔を顰めた。

「どうした?」

 イオリの事にも関わらず珍しい反応をする双子にダンは首を傾げた。
 双子の様子にヒューゴは笑い声をあげた。

「ハハハッ。
 2人の反応も仕方ないんです。
 イオリは今、薬師の所に入り浸りなんですよ。」

「薬師っ!?
 何でまた・・・。」

「ニコライ様が主導している公衆浴場で使えるように石鹸と保湿剤ってのを開発しようとしてるんですよ。
 人の体に直接塗る物だから危険性がないように薬師に助言を貰いながら試行錯誤してるみたいですよ。
 でも、ほら・・・薬師のいる場所って色々と匂いがするからスコルとパティにはキツイんですよ。
 ゼンやアウラもイオリに着いて行くのを拒否して今はオルガ様と過ごしてます。」

 ダンもダンとてライオンの獣人だ。
 人族よりも嗅覚が鋭いのは双子と同じで、スコルとパティが顔を顰める反応をした事に納得したように頷いた。

「楽しそうだよ。イオリ。」
「毎日、ワクワクしてる。」

「そうか・・・アイツ楽しそうにワクワクしてんのか。
 ・・・相変わらず変わってんな。」

 ウンザリしたような3人の顔にヒューゴは再び声を上げて笑うのだった。
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