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王都へ 〜ポーレット領〜
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朝を迎えたポーレット公爵一行は、芳しい香りに惑わされていた。
既にテントなどは片付けられて、いつでも出発出来る準備は終わっている。
「朝ごはんですよ~。」
イオリの声に騎士達がゾロゾロと引き寄せられていく。
「おはよう。
今朝は何だ?」
沢山寝たのか、元気なヴァルトが真っ先に声を掛けてきた。
「おはようございます。
美味しい味噌汁とおにぎりです。
味噌汁はグダスク産の乾物で出汁を取ったので最高に美味しいですよ。
熱いうちに食べて下さいね。」
パティとナギが一生懸命にカップに味噌汁を盛る隣では、イオリとスコルがせっせとおにぎりを握っている。
「公爵様とオルガちゃん達にも渡してきたよー。」
ニナとヒューゴが戻ってくると、一帯は賑やかそのもだった。
「さぁ、皆さんもドンドン食べて下さい。」
ワラワラと寄ってきて、おにぎりと味噌汁を騎士達は嬉しそうに頬張った。
ポーレット領での騎士団の人気は高い。
ここまでの道のりでも、すれ違う領民達が頭を下げたり、手を振っているのを何度も見かけた。
凛々しく美しいポーレット騎士団は多くの領民から愛されていた。
常に領民の盾となり剣となる彼等騎士団は領民の心の支えであり誇りだった。
そんな騎士団の面々がイオリ達が作ったおにぎりや味噌汁に心を奪われている。
「フッ。」
ポーレット公爵テオルドは、そんな光景を楽しそうに見つめていた。
「あら、どうなさったの?」
隣りで味噌汁に口に付けていた妻のオルガが微笑みながら首を傾げた。
「いや、何。
騎士達もイオリの料理の前では形無しだな。」
「えぇ、本当に。
だって、この味噌汁絶品よ。
イオリちゃんが言うにはスープは基礎の出しが重要なんですって。
ダグスクで作られてる乾物は宝ですって、熱弁していたわ。」
クスクスと笑うオルガにテオルドも微笑んだ。
「何も冒険者のイオリが料理をしなくても良いのだがな。
旅でこの様な物が食べられるとあれば、つい甘えてしまう。
昨夜は徹夜で見張りもしていたらしい。
日中は休ませてやりたい。」
テオルドの視線を受けた侍従のノアと騎士団長のアイザックはニッコリと頷いた。
「この地から、1時間程進めば王家領に入ります。
そこから暫く穏やかな道なりになりますので、イオリにはたっぷりと休んでもらいましょう。」
ノアが主人達の食べ終わった皿を片付け離れて行った。
側に侍っていたアイザックは騎士達の指揮の高さに苦笑した。
「どんな過酷な場面に陥っても生き残れる様に屈強な騎士達を育てたつもりですが、どうやらイオリには叶わないようです。」
「けして怠惰になっている訳ではなく、気合いの入れようも十分だ。
戦に行くのではない。
良いではないか。」
椅子から立ち上がったテオルドが腰に手を当てて微笑んだ。
「しかし、此処からはポーレット領を出て王家領に入ります。
何が起こるか分かりません。
十分に注意して進みます。」
真剣な顔で囁くアイザックにテオルドは頷いた。
「王家領で問題を起こすような痴れ者がいない事を願うばかりだ。」
テオルドの溜息が青空に散っていった。
既にテントなどは片付けられて、いつでも出発出来る準備は終わっている。
「朝ごはんですよ~。」
イオリの声に騎士達がゾロゾロと引き寄せられていく。
「おはよう。
今朝は何だ?」
沢山寝たのか、元気なヴァルトが真っ先に声を掛けてきた。
「おはようございます。
美味しい味噌汁とおにぎりです。
味噌汁はグダスク産の乾物で出汁を取ったので最高に美味しいですよ。
熱いうちに食べて下さいね。」
パティとナギが一生懸命にカップに味噌汁を盛る隣では、イオリとスコルがせっせとおにぎりを握っている。
「公爵様とオルガちゃん達にも渡してきたよー。」
ニナとヒューゴが戻ってくると、一帯は賑やかそのもだった。
「さぁ、皆さんもドンドン食べて下さい。」
ワラワラと寄ってきて、おにぎりと味噌汁を騎士達は嬉しそうに頬張った。
ポーレット領での騎士団の人気は高い。
ここまでの道のりでも、すれ違う領民達が頭を下げたり、手を振っているのを何度も見かけた。
凛々しく美しいポーレット騎士団は多くの領民から愛されていた。
常に領民の盾となり剣となる彼等騎士団は領民の心の支えであり誇りだった。
そんな騎士団の面々がイオリ達が作ったおにぎりや味噌汁に心を奪われている。
「フッ。」
ポーレット公爵テオルドは、そんな光景を楽しそうに見つめていた。
「あら、どうなさったの?」
隣りで味噌汁に口に付けていた妻のオルガが微笑みながら首を傾げた。
「いや、何。
騎士達もイオリの料理の前では形無しだな。」
「えぇ、本当に。
だって、この味噌汁絶品よ。
イオリちゃんが言うにはスープは基礎の出しが重要なんですって。
ダグスクで作られてる乾物は宝ですって、熱弁していたわ。」
クスクスと笑うオルガにテオルドも微笑んだ。
「何も冒険者のイオリが料理をしなくても良いのだがな。
旅でこの様な物が食べられるとあれば、つい甘えてしまう。
昨夜は徹夜で見張りもしていたらしい。
日中は休ませてやりたい。」
テオルドの視線を受けた侍従のノアと騎士団長のアイザックはニッコリと頷いた。
「この地から、1時間程進めば王家領に入ります。
そこから暫く穏やかな道なりになりますので、イオリにはたっぷりと休んでもらいましょう。」
ノアが主人達の食べ終わった皿を片付け離れて行った。
側に侍っていたアイザックは騎士達の指揮の高さに苦笑した。
「どんな過酷な場面に陥っても生き残れる様に屈強な騎士達を育てたつもりですが、どうやらイオリには叶わないようです。」
「けして怠惰になっている訳ではなく、気合いの入れようも十分だ。
戦に行くのではない。
良いではないか。」
椅子から立ち上がったテオルドが腰に手を当てて微笑んだ。
「しかし、此処からはポーレット領を出て王家領に入ります。
何が起こるか分かりません。
十分に注意して進みます。」
真剣な顔で囁くアイザックにテオルドは頷いた。
「王家領で問題を起こすような痴れ者がいない事を願うばかりだ。」
テオルドの溜息が青空に散っていった。
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