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王都へ 〜王家領〜
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ポーレット領と王家領の領境には、“金目獅子の丘”と呼ばれる小さな丘がある。
かつて、初代国王マテオ・アースガイルが今の王都マテオールへ向かおうとしていた時、この丘周辺を根城にしていた獅子に襲われた逸話があった。
獅子は通常よりも5倍は大きく、輝く金色の目を持っていたと記録されている。
少人数で移動していたマテオが、今のポーレット地方から丘を越えようとした時、突如として“金目の獅子”が襲いかかった。
幾千の戦いを繰り広げていたマテオでさえ、突然の金目獅子の襲撃に驚き苦戦を強いられたそうだ。
防戦一方だった中、辛くも仲間達と共に金目獅子を討ち取ったマテオ。
次の瞬間に空より金色の雨が降った。
金目獅子の亡骸は綺麗さっぱり消え失せ、雨が降った後の周辺の岩や木が金色に染まったそうな。
全てが終わったマテオは、それを絶対神から与えられた試練と祝福であったと理解した。
絶対神からの加護に感謝してマテオは王都へ向けて旅路を進めた。
「・・・っていう話を王城の図書室にあった神話の本で読んだよ。」
馬車に揺られていたイオリ達はナギの話に耳を傾けていた。
「あぁ、だから“金目獅子の丘”って言うのか。」
イオリはバトルホースのアウラと馬車が緩やかな坂道に挑んでいる中、辺りを見渡した。
「うん。
でも、神話って大袈裟に描かれている事も多いってターナー侯爵が言っていたよ。
通常の獅子の5倍は言い過ぎだって。」
「でも、アマメみたいにお城みたいに大きな鹿はいるよ?」
ナギの言葉にパティが反論した。
「そうだね。
アマメは神獣で見た人によって姿形を変えるって言ってた。
金目の獅子も絶対神リュオン様が使わしたのなら、姿を大きくさせたって事も考えられるけど・・・。」
首を捻って考察するナギにイオリは微笑んだ。
得た知識を鵜呑みにせずに考察をするナギは誰よりも賢くなるだろう。
少し眠くてトロンとした目をしたイオリにゼンが擦り寄った。
「丁度、その金目獅子がいなくなった後の雨で金色に輝いたと言われる岩があるぞ。」
ヒューゴが子供達を振り返った。
「どれ!?」
「パティも見る!」
「ニナも!ニナも!」
馬車から顔を出す子供達によって、馬車がガタンっと大きく揺れた。
「ぅおっ!」
うたた寝していたイオリが思わず声を出した。
「あれがそうなの?
想像していたより大きくない岩だったな。」
馬車から岩を見下ろしたナギが不満そうに顔を顰めている。
「ほら、そこは神話だから。」
手をヒラヒラさせてニカッと笑うパティにナギもコクンと頷いた。
「そうだね。
人の伝聞って面白いよ。
とにかく、この“金目の獅子の丘”を抜けたら本格的に王家領だよ。」
馬に乗った騎士団や馬車は緩やかな下り坂となった道をゆっくりと下っていく。
ポーレット公爵が誇る騎士団にもピリッとした気合いが入るのだった。
かつて、初代国王マテオ・アースガイルが今の王都マテオールへ向かおうとしていた時、この丘周辺を根城にしていた獅子に襲われた逸話があった。
獅子は通常よりも5倍は大きく、輝く金色の目を持っていたと記録されている。
少人数で移動していたマテオが、今のポーレット地方から丘を越えようとした時、突如として“金目の獅子”が襲いかかった。
幾千の戦いを繰り広げていたマテオでさえ、突然の金目獅子の襲撃に驚き苦戦を強いられたそうだ。
防戦一方だった中、辛くも仲間達と共に金目獅子を討ち取ったマテオ。
次の瞬間に空より金色の雨が降った。
金目獅子の亡骸は綺麗さっぱり消え失せ、雨が降った後の周辺の岩や木が金色に染まったそうな。
全てが終わったマテオは、それを絶対神から与えられた試練と祝福であったと理解した。
絶対神からの加護に感謝してマテオは王都へ向けて旅路を進めた。
「・・・っていう話を王城の図書室にあった神話の本で読んだよ。」
馬車に揺られていたイオリ達はナギの話に耳を傾けていた。
「あぁ、だから“金目獅子の丘”って言うのか。」
イオリはバトルホースのアウラと馬車が緩やかな坂道に挑んでいる中、辺りを見渡した。
「うん。
でも、神話って大袈裟に描かれている事も多いってターナー侯爵が言っていたよ。
通常の獅子の5倍は言い過ぎだって。」
「でも、アマメみたいにお城みたいに大きな鹿はいるよ?」
ナギの言葉にパティが反論した。
「そうだね。
アマメは神獣で見た人によって姿形を変えるって言ってた。
金目の獅子も絶対神リュオン様が使わしたのなら、姿を大きくさせたって事も考えられるけど・・・。」
首を捻って考察するナギにイオリは微笑んだ。
得た知識を鵜呑みにせずに考察をするナギは誰よりも賢くなるだろう。
少し眠くてトロンとした目をしたイオリにゼンが擦り寄った。
「丁度、その金目獅子がいなくなった後の雨で金色に輝いたと言われる岩があるぞ。」
ヒューゴが子供達を振り返った。
「どれ!?」
「パティも見る!」
「ニナも!ニナも!」
馬車から顔を出す子供達によって、馬車がガタンっと大きく揺れた。
「ぅおっ!」
うたた寝していたイオリが思わず声を出した。
「あれがそうなの?
想像していたより大きくない岩だったな。」
馬車から岩を見下ろしたナギが不満そうに顔を顰めている。
「ほら、そこは神話だから。」
手をヒラヒラさせてニカッと笑うパティにナギもコクンと頷いた。
「そうだね。
人の伝聞って面白いよ。
とにかく、この“金目の獅子の丘”を抜けたら本格的に王家領だよ。」
馬に乗った騎士団や馬車は緩やかな下り坂となった道をゆっくりと下っていく。
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