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王都 〜再会〜
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「いや~。
麹菌を見つけるとはね。驚きました。」
改めて感嘆な声を上げたイオリにロスは優しく目を細めた。
「鑑定眼を持つ者を集め、それらしき現象を探し回ったからな。
彼等も最初何をさせられているのかと不安だったらしい。」
「それは、確かに。
俺の故郷の先人達の1番の大発見は麹菌を見つけた事です。
それで、様々な食文化が花開いたんですよ。」
「我らにとってのワインと同じか。」
「そうです。
葡萄から、パンを膨らます酵母や料理に活用できる酢も出来たでしょう?」
「そのパンを膨らます酵母とやらはイオリが我らに教えてくれたんだがな。
今だに器用に利用できている者は少ない。
王都では、まだまだ堅いパンが当たり前だ。」
どれだけ、ポーレットの食文化は進んでいるのだと呆れるロスにイオリはクスクスと笑った。
「本当にロスさんのお陰ですよ。」
「・・・そうか。」
秘書のリロイは珍しく照れて言葉少ない主人に微笑んだ。
イオリが目覚めた当初、米酒は完成していなかった。
米酒を失い、絶望するイオリにロスと連絡を取る事を勧めたのはポーレット公爵家のヴァルトだった。
ロスがグラトニーのツテをフルに使っても米酒の製造は難しく、イオリが眠っている間の完成を目標としていたが叶わずにいた。
そこにイオリが目覚めたとの報告があり、安堵し喜びしたが米酒の出来上がりに関しては焦っていた。
イオリから米酒の問い合わせが来た時には、アクが強く白く濁った状態の酒が出来ていたが、イオリが持っていた透明の米酒とは似ても似つかない代物だった。
米酒の出来具合を聞いたイオリが「灰っ!!それか炭を入れて!」と叫んだのはポーレット公爵家の面々を驚かせたものだ。
飲み物に灰か炭を入れる?
信じがたいがイオリの言う事だと、ロスは職人に灰か炭を入れる事を指示した。
すると、濁っていた米酒が徐々に透明になっていったと報告を受けた。
慌てて現場に赴けば、職人達が魔法でもかかったかのように唖然としていた。
ロスが目にしたのは、かつてイオリが見せてくれた、美しく透き通った米酒と言うレベルでは流石にない。
それでも、それは確かに米酒だった。
鑑定眼で飲む事も可能である事が示されれば、職人達が歓声を上げた。
「流石だ。イオリ。」
そう呟いたロスはイオリが喜ぶ様を想像し微笑んだものだった。
早速、届けられた米酒にイオリが喜んだのは言うまでもないだろう。
ロスの変わりに米酒を持ち込んだバートはイオリの反応を心配そうに見つめていた。
「凄いや。十分です。」
チロっと舐めたイオリが嬉しそうに微笑むのを見てバートはヘナヘナと座り込んだそうだ。
それぞれ、その時を思い出し、ニッコリとしたロスとイオリである。
「やっぱりグラトニー商会には誰も勝てません!」
イオリがそう叫ぶと、ロスは何だそれはと笑うのだった。
麹菌を見つけるとはね。驚きました。」
改めて感嘆な声を上げたイオリにロスは優しく目を細めた。
「鑑定眼を持つ者を集め、それらしき現象を探し回ったからな。
彼等も最初何をさせられているのかと不安だったらしい。」
「それは、確かに。
俺の故郷の先人達の1番の大発見は麹菌を見つけた事です。
それで、様々な食文化が花開いたんですよ。」
「我らにとってのワインと同じか。」
「そうです。
葡萄から、パンを膨らます酵母や料理に活用できる酢も出来たでしょう?」
「そのパンを膨らます酵母とやらはイオリが我らに教えてくれたんだがな。
今だに器用に利用できている者は少ない。
王都では、まだまだ堅いパンが当たり前だ。」
どれだけ、ポーレットの食文化は進んでいるのだと呆れるロスにイオリはクスクスと笑った。
「本当にロスさんのお陰ですよ。」
「・・・そうか。」
秘書のリロイは珍しく照れて言葉少ない主人に微笑んだ。
イオリが目覚めた当初、米酒は完成していなかった。
米酒を失い、絶望するイオリにロスと連絡を取る事を勧めたのはポーレット公爵家のヴァルトだった。
ロスがグラトニーのツテをフルに使っても米酒の製造は難しく、イオリが眠っている間の完成を目標としていたが叶わずにいた。
そこにイオリが目覚めたとの報告があり、安堵し喜びしたが米酒の出来上がりに関しては焦っていた。
イオリから米酒の問い合わせが来た時には、アクが強く白く濁った状態の酒が出来ていたが、イオリが持っていた透明の米酒とは似ても似つかない代物だった。
米酒の出来具合を聞いたイオリが「灰っ!!それか炭を入れて!」と叫んだのはポーレット公爵家の面々を驚かせたものだ。
飲み物に灰か炭を入れる?
信じがたいがイオリの言う事だと、ロスは職人に灰か炭を入れる事を指示した。
すると、濁っていた米酒が徐々に透明になっていったと報告を受けた。
慌てて現場に赴けば、職人達が魔法でもかかったかのように唖然としていた。
ロスが目にしたのは、かつてイオリが見せてくれた、美しく透き通った米酒と言うレベルでは流石にない。
それでも、それは確かに米酒だった。
鑑定眼で飲む事も可能である事が示されれば、職人達が歓声を上げた。
「流石だ。イオリ。」
そう呟いたロスはイオリが喜ぶ様を想像し微笑んだものだった。
早速、届けられた米酒にイオリが喜んだのは言うまでもないだろう。
ロスの変わりに米酒を持ち込んだバートはイオリの反応を心配そうに見つめていた。
「凄いや。十分です。」
チロっと舐めたイオリが嬉しそうに微笑むのを見てバートはヘナヘナと座り込んだそうだ。
それぞれ、その時を思い出し、ニッコリとしたロスとイオリである。
「やっぱりグラトニー商会には誰も勝てません!」
イオリがそう叫ぶと、ロスは何だそれはと笑うのだった。
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