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王都 〜再会・王城〜
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「おや?こんな高貴な場所に冒険者如きが何用か?」
こんな声が聞こえてくれば、自分の周囲の貴族達が如何に良い人なのかを実感するイオリである。
庭園を歩いてくる数人の貴族は、獲物を見つけた獣の如くイオリ達に向かって歩いてくる。
「シェイムレス伯爵。
こちらの庭園は一時的に閉鎖されれております。
許可なき方の立ち入りはお控え下さい。」
案内していた騎士が、イオリ達を庇う様に立ち塞がった。
「これは否事を言う。
貴族の我らが駄目で、そっちの冒険者共や平民の子供達は良いと言うのか?」
シェイムレス伯爵と呼ばれた男が蔑むような目で子供達・・・とりわけ獣人であるスコルとパティを見下ろした。
ーーーアースガイルは素晴らしい国です。それでも人の世は完璧では無いのですよ。
かつてポーレットの冒険者ギルドのサブマスター・エルノールが言った言葉が思い出される。
イオリは2人を引き寄せると自分の背に隠した。
「国王陛下の御命令です。
どうぞ、お引き取りを・・・。」
騎士の厳しい声にも、貴族達は薄ら笑いだ。
そこにカツンカツンとヒールの音を響かせて1人の女性と騎士がやって来た。
「シェイムレス伯爵。
何をされているのです。
こちらの庭園は閉鎖されていると聞いたばかりではないですか。
貴方に好き勝手されると、北の貴族が皆傍若無人だと誤解されます。
お控え下さいな。」
女性の手厳しい言葉に、先程までの傲慢さを隠しシェイムレス伯爵はニッコリと微笑み振り返った。
「これは、ギロック伯爵。
貴方も到着されておられたのか。」
「えぇ。
今し方、国王陛下との謁見を終えたところです。
それにしても、着いた早々に北の貴族の揉め事を目にするとは思いませんでした。」
「国王陛下に謁見・・・?
コホンっ。
それに、私は決して揉め事などしておりませんよ。
この様な素晴らしい場所に、いてはいけない者がいた。
それを指摘していただけです。」
シェイムレス伯爵の表情には、自分は国王への謁見の許可が出なかったにも関わらず、目の前の女性が到着早々に国王と謁見した事に納得いっていないのが分かりやすく顔に出ていた。
「そのいてはいけない者というのが、貴方達であると何故気がつかないのです?
こちらの冒険者達は王家直属の騎士が案内をしておられる。
であるならば、どう考えても王家の客人と考えるのが常識です。
シェイムレス伯爵は、こちらの客人をお呼びした王家に何か文句がおありなのですか?」
ギロック伯爵の言葉に慌て出したのは、シェイムレス伯爵と共に行動していた貴族達だ。
「私は、この辺で。」やら「私は、存じ上げぬ事です。」など言い訳を口にしながら、足早に庭園から逃げて行った。
流石に居心地が悪くなったシェイムレス伯爵である。
柔和な顔を困った様に顰めて「誤解です。」と短く返した。
「ほう。
では、その誤解とやらの説明を聞こうか。」
そこに、伸びやかな声が庭園に響き渡った。
皆が振り返った先には、ポーレット公爵夫婦が“デデドンッ!”そんな効果音が聞こえてくる様に猛々しく立っていたのだった。
こんな声が聞こえてくれば、自分の周囲の貴族達が如何に良い人なのかを実感するイオリである。
庭園を歩いてくる数人の貴族は、獲物を見つけた獣の如くイオリ達に向かって歩いてくる。
「シェイムレス伯爵。
こちらの庭園は一時的に閉鎖されれております。
許可なき方の立ち入りはお控え下さい。」
案内していた騎士が、イオリ達を庇う様に立ち塞がった。
「これは否事を言う。
貴族の我らが駄目で、そっちの冒険者共や平民の子供達は良いと言うのか?」
シェイムレス伯爵と呼ばれた男が蔑むような目で子供達・・・とりわけ獣人であるスコルとパティを見下ろした。
ーーーアースガイルは素晴らしい国です。それでも人の世は完璧では無いのですよ。
かつてポーレットの冒険者ギルドのサブマスター・エルノールが言った言葉が思い出される。
イオリは2人を引き寄せると自分の背に隠した。
「国王陛下の御命令です。
どうぞ、お引き取りを・・・。」
騎士の厳しい声にも、貴族達は薄ら笑いだ。
そこにカツンカツンとヒールの音を響かせて1人の女性と騎士がやって来た。
「シェイムレス伯爵。
何をされているのです。
こちらの庭園は閉鎖されていると聞いたばかりではないですか。
貴方に好き勝手されると、北の貴族が皆傍若無人だと誤解されます。
お控え下さいな。」
女性の手厳しい言葉に、先程までの傲慢さを隠しシェイムレス伯爵はニッコリと微笑み振り返った。
「これは、ギロック伯爵。
貴方も到着されておられたのか。」
「えぇ。
今し方、国王陛下との謁見を終えたところです。
それにしても、着いた早々に北の貴族の揉め事を目にするとは思いませんでした。」
「国王陛下に謁見・・・?
コホンっ。
それに、私は決して揉め事などしておりませんよ。
この様な素晴らしい場所に、いてはいけない者がいた。
それを指摘していただけです。」
シェイムレス伯爵の表情には、自分は国王への謁見の許可が出なかったにも関わらず、目の前の女性が到着早々に国王と謁見した事に納得いっていないのが分かりやすく顔に出ていた。
「そのいてはいけない者というのが、貴方達であると何故気がつかないのです?
こちらの冒険者達は王家直属の騎士が案内をしておられる。
であるならば、どう考えても王家の客人と考えるのが常識です。
シェイムレス伯爵は、こちらの客人をお呼びした王家に何か文句がおありなのですか?」
ギロック伯爵の言葉に慌て出したのは、シェイムレス伯爵と共に行動していた貴族達だ。
「私は、この辺で。」やら「私は、存じ上げぬ事です。」など言い訳を口にしながら、足早に庭園から逃げて行った。
流石に居心地が悪くなったシェイムレス伯爵である。
柔和な顔を困った様に顰めて「誤解です。」と短く返した。
「ほう。
では、その誤解とやらの説明を聞こうか。」
そこに、伸びやかな声が庭園に響き渡った。
皆が振り返った先には、ポーレット公爵夫婦が“デデドンッ!”そんな効果音が聞こえてくる様に猛々しく立っていたのだった。
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