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2.魔法学院2年生
(36).プレゼント探し
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約束通り、次の休息日にはお出かけすることになった。ランベールから荷物が届き、町娘のようなワンピースとブーツが入っている。
「今日はみんないると目立つから1人限定です。他のみんなはお留守番ね。お土産はもちろん買ってくるから。」
ソフィアが着替える間に白熱した闘いが繰り広げられていた。話し合い、譲り合いは無理らしく、正々堂々ジャンケン勝負らしい。
着替え終わってみると、エンギル以外は項垂れている。
「エンギルに決まりね?お土産リクエストしといてよー。」
エンギルに詰め寄り、みんながお願いをしている。
ソフィアはうちの精霊たちはみんな仲良しだなぁ、とのほほんとしていた。
ノアは元々勝負からは外れていたようで、保護者のようにみんなを見守っている。
「ノアは今日もお出かけ?」
「んー予定はないよ?でも、散歩ついでに会って来ようかなって人はいる。」
「そっか…気をつけてね。」
「ソフィーもね。」
エンギルを肩にのせ、さぁ出発。
寮裏の玄関の前にはお忍び用のシンプルな馬車が止まっていた。
御者さんに促され中に入ると、外見とは違いフワッとした柔らかい座席と落ち着いた空間が広がる。
「今日はよろしく。」
先に座っていたランベールが顔を出し、ソフィアに座るよう促した。
「よろしくお願いします。」
ランベールはホスウェイト家にお忍び訪問した時のような、白シャツに黒のスラックスというラフな格好である。髪は茶色に変え、上から帽子も被りはたから見たら王子とは思えない。
「変装ばっちりですね。きっと誰もランベール様って気づかないです。」
「そうだと嬉しいな。見つかると大変だからね。ソフィーちゃんも銀髪は目立つから色変えようか?」
そう言いながらサッとあっという間に魔法を使ってソフィアの髪を金髪に変える。
「この国の女性半分は金髪だから、これで目立たないと思う」
「ありがとうございます。」
「うん、似合うね。この髪色のソフィアちゃんも可愛い。」
ニコっと笑うランベールは、躊躇いもなく褒め言葉を言うのでソフィアとしては恥ずかしい。
(照れてる顔もまたいいな。ほんのり赤い。)
「あとは呼び方だね。今日は僕のことランって呼んでね。じゃないとバレちゃうからさ。」
「呼び捨てですか…?確かに、今日はランベール様っては呼べないですね。分かりました、ラン様。」
「んまあ良しとしよう。僕は…そうだな、フィーって呼ぶよ。」
「新しい呼び方ですね。慣れるまで気づかなそうです…」
「まあ、1日一緒にいれば慣れるさ。」
「今はどこに向かってるんですか?」
「アルのことだから、まずは魔法具かな、と。下町でも有名なお店だよ。品揃えも多いから見るだけでも楽しめると思う。」
ランベールの言葉にソフィアはワクワクしてきた。
着いた先には茶色の建物、魔法具屋【妖精のランプ】である。下町のお店にしては大きな建物で、賑わっている。中に入ると、棚ギッシリに魔法具が並んでいる。1つ1つに小さなカードで説明書きがついており、じっくり選べるようになっている。
「これは楽しそうですね、ゆっくり見ても良いですか?」
「そうしよう。この中から面白いもの見つけたいよね。」
しばらく、2人で見て回っているとソフィアは1つの箱に目が留まる。
魔力石に魔力を流している間思い出の場面を記録できるらしい。箱を開けると音楽と一緒に中に映像が映せるようになっているらしく、今は動物の映像が流れている。
(これでパーティーの様子を残せたら、喜んで貰えるプレゼントかも…)
魔力石を新たに追加すれば違う映像も残せるらしく、付属で売り出ししてある。
(1周して良いのがなかったらコレにしよう。)
そのまま続きを見ていると、今度はランベールがブレスレットに目を留める。
魔力石に好きな魔法を付属できるらしい。石の数や色はは選べるようで、ブレスレットの色と石の色とで組み合わせん楽しめるようになっている。
「これ、アル付けるかな?というより、アルの作品っぽい…」
「そうですか?とてもキレイなブレスレットですけど。」
「フィーのその腕時計と作りは同じだと思うよ?大きさや媒体が違うだけで。」
(確かに、父様からもらった腕時計も魔法石にそれぞれ魔法が込められているから似てるかも。)
「そう言われてみれば、似てますね…」
「こっちの、リング型ピアスなら兄様も付けそうですよ?」
「ん?へぇーこんな小さなピアスにこの石の数か…良さそうだな。フィーはピアスは付けないの?」
ランベールの問いに、ソフィアは得意げに答える。
「16歳になったら開ける予定です。ずっと兄様のが羨ましくて、成人祝いに兄様におねだりしてます。」
「そっか…今年で成人なんだもんな。もう少しだね。」
秋生まれのソフィアなのであと半年ほどの我慢である。
(良いこと聞いた。これで準備できる。)
「アルのピアス注文してくるから、少し時間もらっていいかな?外は危ないから店内にいてくれると嬉しいな。」
「もう少しで周りきるのでそのあとは階段側の棚の所見てます。さっき気になるのがあったので。」
「あぁ、さっきの記録の箱かな?分かった。終わったらそこに向かうね。」
そう言ってランベールは注文をしに店員の所に向かった。ソフィアはそのまま奥に進んでいく。棚の陳列を見ながら進めば、この建物は円周上になっているので始めの棚まで戻れるのだ。
進んで行くと、今度は衣装系の棚のようだ。ハンカチやクラバット、布が並んでいる。ここでは刺繍糸に魔力をのせれるようになっている。
(色とかデザインとか好みだもんな…)
刺繍が上達すればアリかもな…と思っていると、カフスが見えた。
小ぶりなので魔法石を組み込んでいるらしい。
(あ、この色…そう言えばランベール様の誕生日っていつなんだろ?)
アルフレッドと近くって聞いた気はするけれど、確認していなかったことに気付いた。念の為に準備しておこう。
ソフィアは目に留まったカフスを手に取る。
ランベールの髪色と瞳の色のようにプラチナゴールドベースのアメジスト石のカフスだ。デザインが何種類かあり、迷ったがシンプルなスクエア型にする。
その先にはジルベールの色も見えた。同じアメジストでもベースが違うだけで全く違う印象を受ける。
(せっかくだからジル先輩にも買おう。)
最初に見つけた映像箱も一緒に会計を済ますと、ちょうどランベールも終わった頃のようだった。
「良い買い物が出来たよ」
満足そうな表情である。ソフィアも同感だったので、笑顔で頷く。
「さ、あとはお土産だね。せっかくだからデートも楽しまなきゃ。」
「はい。」
2人は軽い足取りで次の目的地へと向かった。
「今日はみんないると目立つから1人限定です。他のみんなはお留守番ね。お土産はもちろん買ってくるから。」
ソフィアが着替える間に白熱した闘いが繰り広げられていた。話し合い、譲り合いは無理らしく、正々堂々ジャンケン勝負らしい。
着替え終わってみると、エンギル以外は項垂れている。
「エンギルに決まりね?お土産リクエストしといてよー。」
エンギルに詰め寄り、みんながお願いをしている。
ソフィアはうちの精霊たちはみんな仲良しだなぁ、とのほほんとしていた。
ノアは元々勝負からは外れていたようで、保護者のようにみんなを見守っている。
「ノアは今日もお出かけ?」
「んー予定はないよ?でも、散歩ついでに会って来ようかなって人はいる。」
「そっか…気をつけてね。」
「ソフィーもね。」
エンギルを肩にのせ、さぁ出発。
寮裏の玄関の前にはお忍び用のシンプルな馬車が止まっていた。
御者さんに促され中に入ると、外見とは違いフワッとした柔らかい座席と落ち着いた空間が広がる。
「今日はよろしく。」
先に座っていたランベールが顔を出し、ソフィアに座るよう促した。
「よろしくお願いします。」
ランベールはホスウェイト家にお忍び訪問した時のような、白シャツに黒のスラックスというラフな格好である。髪は茶色に変え、上から帽子も被りはたから見たら王子とは思えない。
「変装ばっちりですね。きっと誰もランベール様って気づかないです。」
「そうだと嬉しいな。見つかると大変だからね。ソフィーちゃんも銀髪は目立つから色変えようか?」
そう言いながらサッとあっという間に魔法を使ってソフィアの髪を金髪に変える。
「この国の女性半分は金髪だから、これで目立たないと思う」
「ありがとうございます。」
「うん、似合うね。この髪色のソフィアちゃんも可愛い。」
ニコっと笑うランベールは、躊躇いもなく褒め言葉を言うのでソフィアとしては恥ずかしい。
(照れてる顔もまたいいな。ほんのり赤い。)
「あとは呼び方だね。今日は僕のことランって呼んでね。じゃないとバレちゃうからさ。」
「呼び捨てですか…?確かに、今日はランベール様っては呼べないですね。分かりました、ラン様。」
「んまあ良しとしよう。僕は…そうだな、フィーって呼ぶよ。」
「新しい呼び方ですね。慣れるまで気づかなそうです…」
「まあ、1日一緒にいれば慣れるさ。」
「今はどこに向かってるんですか?」
「アルのことだから、まずは魔法具かな、と。下町でも有名なお店だよ。品揃えも多いから見るだけでも楽しめると思う。」
ランベールの言葉にソフィアはワクワクしてきた。
着いた先には茶色の建物、魔法具屋【妖精のランプ】である。下町のお店にしては大きな建物で、賑わっている。中に入ると、棚ギッシリに魔法具が並んでいる。1つ1つに小さなカードで説明書きがついており、じっくり選べるようになっている。
「これは楽しそうですね、ゆっくり見ても良いですか?」
「そうしよう。この中から面白いもの見つけたいよね。」
しばらく、2人で見て回っているとソフィアは1つの箱に目が留まる。
魔力石に魔力を流している間思い出の場面を記録できるらしい。箱を開けると音楽と一緒に中に映像が映せるようになっているらしく、今は動物の映像が流れている。
(これでパーティーの様子を残せたら、喜んで貰えるプレゼントかも…)
魔力石を新たに追加すれば違う映像も残せるらしく、付属で売り出ししてある。
(1周して良いのがなかったらコレにしよう。)
そのまま続きを見ていると、今度はランベールがブレスレットに目を留める。
魔力石に好きな魔法を付属できるらしい。石の数や色はは選べるようで、ブレスレットの色と石の色とで組み合わせん楽しめるようになっている。
「これ、アル付けるかな?というより、アルの作品っぽい…」
「そうですか?とてもキレイなブレスレットですけど。」
「フィーのその腕時計と作りは同じだと思うよ?大きさや媒体が違うだけで。」
(確かに、父様からもらった腕時計も魔法石にそれぞれ魔法が込められているから似てるかも。)
「そう言われてみれば、似てますね…」
「こっちの、リング型ピアスなら兄様も付けそうですよ?」
「ん?へぇーこんな小さなピアスにこの石の数か…良さそうだな。フィーはピアスは付けないの?」
ランベールの問いに、ソフィアは得意げに答える。
「16歳になったら開ける予定です。ずっと兄様のが羨ましくて、成人祝いに兄様におねだりしてます。」
「そっか…今年で成人なんだもんな。もう少しだね。」
秋生まれのソフィアなのであと半年ほどの我慢である。
(良いこと聞いた。これで準備できる。)
「アルのピアス注文してくるから、少し時間もらっていいかな?外は危ないから店内にいてくれると嬉しいな。」
「もう少しで周りきるのでそのあとは階段側の棚の所見てます。さっき気になるのがあったので。」
「あぁ、さっきの記録の箱かな?分かった。終わったらそこに向かうね。」
そう言ってランベールは注文をしに店員の所に向かった。ソフィアはそのまま奥に進んでいく。棚の陳列を見ながら進めば、この建物は円周上になっているので始めの棚まで戻れるのだ。
進んで行くと、今度は衣装系の棚のようだ。ハンカチやクラバット、布が並んでいる。ここでは刺繍糸に魔力をのせれるようになっている。
(色とかデザインとか好みだもんな…)
刺繍が上達すればアリかもな…と思っていると、カフスが見えた。
小ぶりなので魔法石を組み込んでいるらしい。
(あ、この色…そう言えばランベール様の誕生日っていつなんだろ?)
アルフレッドと近くって聞いた気はするけれど、確認していなかったことに気付いた。念の為に準備しておこう。
ソフィアは目に留まったカフスを手に取る。
ランベールの髪色と瞳の色のようにプラチナゴールドベースのアメジスト石のカフスだ。デザインが何種類かあり、迷ったがシンプルなスクエア型にする。
その先にはジルベールの色も見えた。同じアメジストでもベースが違うだけで全く違う印象を受ける。
(せっかくだからジル先輩にも買おう。)
最初に見つけた映像箱も一緒に会計を済ますと、ちょうどランベールも終わった頃のようだった。
「良い買い物が出来たよ」
満足そうな表情である。ソフィアも同感だったので、笑顔で頷く。
「さ、あとはお土産だね。せっかくだからデートも楽しまなきゃ。」
「はい。」
2人は軽い足取りで次の目的地へと向かった。
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