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2.魔法学院2年生
(50).新たな出発とそれぞれの道
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ノアスフォード領内の港に大きな船が止まる。貿易船として各地を巡る大きな船、荷物の積み下ろしをしている側には、弟の出発を見送りに来たランベールとアルフレッド、精霊たちを引き連れたソフィアが並んでいた。
「身体には気をつけろよ。これは僕からの餞別品。」
ジルベールが包みを覗くと、アルフレッド特製の魔道具ピアスが1対ある。
「見た目も良いけど、中身も良いぞ。俺たちみんなの気持ちが詰まってる。常に付けてくれると安心だな。」
魔法石にそれぞれ保護魔法を入れて、アルフレッドがピアスに加工したものを、ランベールが購入した。
身を守れるものを、と悩んで選んだものだ。
「連絡お待ちしてますね。お気をつけて。」
夏の終わり、ジルベールはガンダルグへと向かった。
行く道中も勉強だからと、転移陣は使わず船で向かっている。民の暮らしを見ながら、セウブ国を外から客観視出来ればと思っている。
留学先ガンダルグは去年後継者争いに決着がつき、新たな国王のもと発展を遂げている所だ。留学期間は1年。
わずかなこの時間を彼なりに国のプラスになるよう頑張るつもりである。
秋を迎え、ソフィアの誕生日が近づいてきた。
ランベールは約束のピアスを受け取りに来ていた。プラチナゴールドの軸にアメジストの魔法石が輝いている。
ランベール自身の手で、保護魔法をかけたピアスは小さく繊細な造りとなっている。初めてのピアスで負担のないよう、長く付けて貰えるよう、デザインはこだわり抜いた。
ソフィアのためにと頭を抱えて考える時間はひと苦労ではあったが、それと同時に至福の時であった。これを渡せば対外的にも彼女が自身の婚約者であると伝えられる。
約束の日、ソフィアはアルフレッドにピアスホールを開けて貰った。大人の仲間入りである。
シルバーの軸にトパーズの魔法石。兄からのプレゼントピアスはソフィアカラーだった。何度も鏡で見てはニヤける。初めてのピアス。
ずっと憧れていた念願のアクセサリーである。この後、ランベールと会う約束をしている。
「ノア、どう?似合う?」
少し浮かれたソフィアの声に、ノアは苦笑いである。
「大人の仲間入りだね。似合ってる。」
鏡に向かうソフィアを見て、ノアは思う。
創造主からの試練はこの先増えるハズである。どういった形で起こるのか分からない所、彼は不安にならざるを得ない。それでも、ソフィアとランベール、2人が一緒になり幸せそうに笑う姿を見られることは嬉しく感じる。
(ソフィー、幸せになって。)
その頃、水鏡で様子を見ていた男は怪しく笑っていた。
(ノアもテオドールも上手くやってんだけどなぁ。物語は悪者も活躍しないと盛り上がらないよな…どうすっかな。そろそろ遊びに行きたいんだけど。)
ずっと様子見だった男は、自分も関わりたくて仕方ないようだ。彼が出てくると大波乱が起きそうではあるのだが…
セウブ国王太子、第1王子ランベールはこの年、ホスウェイト家の1人娘ソフィアと婚約を結んだ。
彼らの耳元にはお互いの色を表したピアスが光輝いていた。
「身体には気をつけろよ。これは僕からの餞別品。」
ジルベールが包みを覗くと、アルフレッド特製の魔道具ピアスが1対ある。
「見た目も良いけど、中身も良いぞ。俺たちみんなの気持ちが詰まってる。常に付けてくれると安心だな。」
魔法石にそれぞれ保護魔法を入れて、アルフレッドがピアスに加工したものを、ランベールが購入した。
身を守れるものを、と悩んで選んだものだ。
「連絡お待ちしてますね。お気をつけて。」
夏の終わり、ジルベールはガンダルグへと向かった。
行く道中も勉強だからと、転移陣は使わず船で向かっている。民の暮らしを見ながら、セウブ国を外から客観視出来ればと思っている。
留学先ガンダルグは去年後継者争いに決着がつき、新たな国王のもと発展を遂げている所だ。留学期間は1年。
わずかなこの時間を彼なりに国のプラスになるよう頑張るつもりである。
秋を迎え、ソフィアの誕生日が近づいてきた。
ランベールは約束のピアスを受け取りに来ていた。プラチナゴールドの軸にアメジストの魔法石が輝いている。
ランベール自身の手で、保護魔法をかけたピアスは小さく繊細な造りとなっている。初めてのピアスで負担のないよう、長く付けて貰えるよう、デザインはこだわり抜いた。
ソフィアのためにと頭を抱えて考える時間はひと苦労ではあったが、それと同時に至福の時であった。これを渡せば対外的にも彼女が自身の婚約者であると伝えられる。
約束の日、ソフィアはアルフレッドにピアスホールを開けて貰った。大人の仲間入りである。
シルバーの軸にトパーズの魔法石。兄からのプレゼントピアスはソフィアカラーだった。何度も鏡で見てはニヤける。初めてのピアス。
ずっと憧れていた念願のアクセサリーである。この後、ランベールと会う約束をしている。
「ノア、どう?似合う?」
少し浮かれたソフィアの声に、ノアは苦笑いである。
「大人の仲間入りだね。似合ってる。」
鏡に向かうソフィアを見て、ノアは思う。
創造主からの試練はこの先増えるハズである。どういった形で起こるのか分からない所、彼は不安にならざるを得ない。それでも、ソフィアとランベール、2人が一緒になり幸せそうに笑う姿を見られることは嬉しく感じる。
(ソフィー、幸せになって。)
その頃、水鏡で様子を見ていた男は怪しく笑っていた。
(ノアもテオドールも上手くやってんだけどなぁ。物語は悪者も活躍しないと盛り上がらないよな…どうすっかな。そろそろ遊びに行きたいんだけど。)
ずっと様子見だった男は、自分も関わりたくて仕方ないようだ。彼が出てくると大波乱が起きそうではあるのだが…
セウブ国王太子、第1王子ランベールはこの年、ホスウェイト家の1人娘ソフィアと婚約を結んだ。
彼らの耳元にはお互いの色を表したピアスが光輝いていた。
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