かわいい子には旅をさせよ

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地下の世界にお邪魔です。

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サタン伯父ちゃまの案内で来たのは、地下の世界。
パパやママとちょっと違うけど、神様のお仕事にも繋がるんだって。

「まずは、お偉いさんに挨拶だ。ノエルが産まれた時にお祝いに来てくれたから、向こうはノエルのこと知ってるぞ。パパやママとも知り合いだ。」

「たのもー。」
「なんじゃい。」

怖いお顔で現れたのは、閻魔爺様。別名冥界の王ハデス。
ジロっと睨まれるも、側にいたサタン伯父ちゃまに気づいてお仕事休憩にしてくれたみたい。

「「こんにちは。」」

サタン伯父ちゃまに促されて、一緒に頭を下げてご挨拶。

「誰かと思ったらサタンじゃないか。アルバイトでもしておるのか?」
「ちょっと頼まれごとでなーこのちっこいの、ミカエルんとこのチビちゃん。今社会見学中。」
「ほぉ。あのちっこいのがのぉ。おっきくなったな。」

小さい連発されて、ノエルはちょっと凹みぎみ。

「ノエルです。今は伯父ちゃんと一緒にお勉強してます。爺様、どんなお仕事なのか教えて下さい。」

「ふふっ。しっかりしとるがな。こっちにおいで。」

爺様がお膝に乗せてくれました。
仕事場がしっかり見えます。

「爺はな、ここにくる人達がどんな人生だったのか見極めて次の道に送り出すのがお仕事じゃ。この鏡はな、人生の全てを見せるんじゃ。隠したかったことも忘れてたことも全て、じゃ。罪人なのかどうかは一緒に見ておれば分かるものじゃ。後悔するものもおれば、悲しむものもおる。中には全く悪行しとらん善人もおるんじゃよ。良い顔をしとる。そういう人は上の道じゃ。でも、多いのは嘘をついたり、開き直るやつじゃな。そんなヤツらを下の世界に送るのじゃ。」

「難しそうだね。鏡がないと、ノエルは騙されちゃいそう。」

「そうじゃな。ここにずっとおると顔つきで大体分かるがなぁ。鏡で見るまで分からんこともあるから、爺も毎日反省勉強じゃ。ボケる日が来たらこの仕事は出来んのう。」

「爺様は長生きするんだから、大丈夫。ボケてる爺様想像つかないもん。」

「ふふっ。そうじゃのう。ノエル達が遊びに来てくれればボケずにすむわい。」

にっこり笑う爺様は今は全く怖くありません。

「これ、爺様スタンプお願い。」
「よし、爺の特製スタンプじゃ。」

押されたスタンプはドクロのマーク。
さすが、爺様。スタンプのお顔も強面だ。

「ご指導、ありがとうございました。」
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