かわいい子には旅をさせよ

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人間界の散策です。

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 サタン伯父ちゃまに連れられて、地上に上がって来ました。天界からのお迎えが来るまで、人間界を見て回ります。伯父ちゃまの龍姿は地上に出ると見えなくなるんだって。
 神社の前を通ると、狛犬さんたちが見えます。邪気を祓うのがお仕事なので、怖そうに見えたけどノエルが手をふると笑ってくれました。

「お偉いさん達の眷属が頑張って入口守ってんな。他のトコは狐だったり烏だったり鹿だったり。各地にいろんな動物がいるぞ。」
「なるほどー。」

龍タクシーはスピードも早くてあっという間に国を横断してくれます。

「あれはー?」

「あれは疫病神だなぁ。仲間といえば仲間なんだが…彼は自ら憑くことでその人の不幸や災いを呼び寄せてるんだ。その分、お祓いしたり、疫病神から離れることが出来たらスッキリするぞー。当人からすると相当嫌なヤツなんだろうけど、幸せになる為に代わりに悪いもの集めてくれてるんだから、頑張り屋だょ彼は。」
「へぇー。」


「あそこに小さい子がいるの見えるだろ?あれは座敷わらし。古い家の座敷にいるんだけど、あいつがいる家は運が良くなるぞ。幸せを呼ぶ子どもだな。」
「うわー、仲良くなりたい。」

プルルルルルル。
ノエルの電話が鳴っています。

「もしもーし。」
「ノエル?ママょ。そろそろ叔父様の邪魔になるから戻ってきなさい。お兄ちゃんが迎えに行ったから。近くの教会で下ろして貰って、そこからは光の方に進むのよ。」
「はーい。」

電話を聞いていた伯父ちゃまは早速教会へ飛んでくれます。

「伯父ちゃま、また遊びきたら乗せてくれるー?」
「いいぜ。ノエル1人だと迷子になりそうだもんな。」

ニヤニヤ笑う伯父ちゃまは少し意地悪です。

「俺もスタンプ押してやるよ。はい、これ。」

カッコいい龍のスタンプが増えました。

「ありがとうございました!」

ノエルは教会の中を歩き出しました。



 
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