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気配
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それはいつもの日常に突然と齎された。
10歳の少女、華崎美加は、学校から帰って来た。
まだ気温はそんなに高くも無く過ごし易い夕暮れ時。
帰りに友人宅に寄って、遊んでから帰ってきたから、外に出るには少し遅い。そんな時間帯。
美加の家は、共働きで一人っ子な為、自分で鍵を開け閉めして、戸締りの確認をしてから、家に入り自室へと行く。荷物を置いて、部屋を出ようとした。
〈カタ、コトリ〉
そんな物音が、一階から聞こえてきた。
両親が帰るにはまだ早い時間帯だ。
二階に上がる前に、玄関は閉めた。以前、閉め忘れていたら、近所の人が入ってきた事がある為、その点はしっかりと確認を怠らない。
では、音の正体は何か。家鳴りにしては、違う気がする。
美加は、考えるのを諦めて、一階に確認しに行く事にした。忍び足で歩く。
〈カタン、タン、タン、コトン〉
その間も続く音。
居間の方から聞こえる音に、耳を澄まし、音の正体を探りながら慎重に部屋へ入る。
そこには、誰もいない。
時計は〈チッチッチッ〉と時を刻む音がするが、美加が来てから物音がしなくなった。
何も無い。気配さえなくなっている。
美加は、少し緊張していたのか、強ばった肩の緊張が取れて力を抜く。その時、背後から突然に気配を感じた。
何もいなかったはずだ。なのに突然の気配。その気配は、あまりにも禍々しく、美加の身体は、びくとも動かなくなった。冷や汗が、ツゥっ。と、流れる。
〈ドッドッドッドッドッ〉
心臓の音だけが、やけに煩く全身に響き渡る。
後ろから感じる気配。息遣いさえ聞こえる気配。
その気配が美加に襲い掛かろうとした時。
〈ピンポーンッ!!〉
チャイムが鳴った。
急に重苦しかった気配がなくなる。
金縛りにあっていた身体が、動く様になった。
「っ!!」
背後を振り返ったが、もう気配の痕跡さえない。
だが、美加の心臓は煩い位に恐怖による音を奏でていた。
(あぁ。助かった‥。)
誰かは知らないが、チャイムを鳴らしてくれて、(ありがとう)と、感謝した。
玄関を開けると、お隣の人だった。回覧板を渡された。
また、玄関を閉めて戻る。
その間、全ての部屋の点検もする。
何もない。なにもいない。
この家には、今、美加しかいない。
あの音の正体は、何だったのか。
ぶるっ。と、身震いをする。
「大丈夫大丈夫!何も無かった!」
自身に言い聞かせる様に声に出す。意外にも。大きな声になった事に、恥ずかしさを覚える。
その後は、両親が帰宅するまで、居間で宿題をしたり、キッチンで簡単な料理をしていたが、何事も起こらなかった。
「ただいま。」
19時過ぎた頃、母親が帰ってきた。
21時を過ぎてから父親が帰ってきた。
(きっと、一人が淋しかったのかも。だから変な音に感じたんだわ。きっと幻聴だわ!)
賑やかになった我が家で、美加は音の正体を幻聴と思い込む事にした。
気配を感じた事は、無かった事にする。そうでもしないと、この先も思い詰めてしまうから。
1話
気配
完
10歳の少女、華崎美加は、学校から帰って来た。
まだ気温はそんなに高くも無く過ごし易い夕暮れ時。
帰りに友人宅に寄って、遊んでから帰ってきたから、外に出るには少し遅い。そんな時間帯。
美加の家は、共働きで一人っ子な為、自分で鍵を開け閉めして、戸締りの確認をしてから、家に入り自室へと行く。荷物を置いて、部屋を出ようとした。
〈カタ、コトリ〉
そんな物音が、一階から聞こえてきた。
両親が帰るにはまだ早い時間帯だ。
二階に上がる前に、玄関は閉めた。以前、閉め忘れていたら、近所の人が入ってきた事がある為、その点はしっかりと確認を怠らない。
では、音の正体は何か。家鳴りにしては、違う気がする。
美加は、考えるのを諦めて、一階に確認しに行く事にした。忍び足で歩く。
〈カタン、タン、タン、コトン〉
その間も続く音。
居間の方から聞こえる音に、耳を澄まし、音の正体を探りながら慎重に部屋へ入る。
そこには、誰もいない。
時計は〈チッチッチッ〉と時を刻む音がするが、美加が来てから物音がしなくなった。
何も無い。気配さえなくなっている。
美加は、少し緊張していたのか、強ばった肩の緊張が取れて力を抜く。その時、背後から突然に気配を感じた。
何もいなかったはずだ。なのに突然の気配。その気配は、あまりにも禍々しく、美加の身体は、びくとも動かなくなった。冷や汗が、ツゥっ。と、流れる。
〈ドッドッドッドッドッ〉
心臓の音だけが、やけに煩く全身に響き渡る。
後ろから感じる気配。息遣いさえ聞こえる気配。
その気配が美加に襲い掛かろうとした時。
〈ピンポーンッ!!〉
チャイムが鳴った。
急に重苦しかった気配がなくなる。
金縛りにあっていた身体が、動く様になった。
「っ!!」
背後を振り返ったが、もう気配の痕跡さえない。
だが、美加の心臓は煩い位に恐怖による音を奏でていた。
(あぁ。助かった‥。)
誰かは知らないが、チャイムを鳴らしてくれて、(ありがとう)と、感謝した。
玄関を開けると、お隣の人だった。回覧板を渡された。
また、玄関を閉めて戻る。
その間、全ての部屋の点検もする。
何もない。なにもいない。
この家には、今、美加しかいない。
あの音の正体は、何だったのか。
ぶるっ。と、身震いをする。
「大丈夫大丈夫!何も無かった!」
自身に言い聞かせる様に声に出す。意外にも。大きな声になった事に、恥ずかしさを覚える。
その後は、両親が帰宅するまで、居間で宿題をしたり、キッチンで簡単な料理をしていたが、何事も起こらなかった。
「ただいま。」
19時過ぎた頃、母親が帰ってきた。
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(きっと、一人が淋しかったのかも。だから変な音に感じたんだわ。きっと幻聴だわ!)
賑やかになった我が家で、美加は音の正体を幻聴と思い込む事にした。
気配を感じた事は、無かった事にする。そうでもしないと、この先も思い詰めてしまうから。
1話
気配
完
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