気配

桜 晴樹

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幻聴

「美加。」
声が聞こえた。美加は、二階の自室から、階下へ降りた。声が聞こえた場所は客室だ。
「はーい。なーにー?」
客室を開けたが誰もいない。
「?」
最近、何度かそんな事が、繰り返し起こる様になった。
気の所為かと思い、勉強しに自室に戻る。
戻って少し勉強してから、ふっ。と、気付いた。
(あれ?今、私だけしかいないよね?)
今、家に居るのは美加だけだ。それでは、先程聞こえた呼ぶ声は誰だったのか。
(声はお母さんの声に似てた。だからお母さんだと思ったんだよね。)
だが、現在の時間、17時27分。そして、今は平日だ。
母親の帰りは19時過ぎ。父親の帰りは21時過ぎ。
時計を見ながら、ゾクっと寒気がした。
(き、気のせいだよね。)
階下から足音が聞こえる。
(?足音?)
足音は、階段下の所で止まった。
(え、え、ちょっと、何で?何で、何で?!)
なのに、気配は自室の扉の廊下側からする。
ゾクっとした寒気がまた始まった。それと同時に金縛りが起こった。
(嘘噓嘘嘘嘘嘘っ!!!)
気が動転する。汗が噴き出る。心臓の音が鼓膜に響く位に煩い。
ぞくぞくぞくぞくぞくぞくっ
(嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌っ!怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いっっ!!!あっち行って!!!!)
半狂乱になる美加だが、無常にも扉がノックされる。
〈トントントン〉
「美加、お母さんよ。開けて。」
心臓が〈ドクン!〉と、嫌な音が聞こえる。耳が心臓になったみたいに煩い。
「どうしたの?美加。お母さん手が塞がっていて開けられないの。」
美加は、金縛りで動けない。視界が滲む。汗と涙が自然と出て苦しい。
(いやほんとやめてよ!あんたなんかお母さんじゃないし怖いしあっち行ってよ!)
ドクドクと心臓は煩いのに、母に似た声は、凄く良く聞こえる。
「しょうがないわね。美加、開けなさい!」
〈ドン!ドン!ドン!ドン!バン!バン!バン!バン!バン!〉
激しく叩かれる扉の音が辺りに響き、それと同時に、部屋の中からも音が響き渡っていた。
美加は、失神したいのに出来ない己の精神と異常な事態に、錯乱状態だ。なのにも関わらず、身体が勝手に扉に向かっていく。
(いやいやいやいやなんで私の身体動いているの!?お願いだから止まってよ、扉開けないで!!)
無常にも開かれる扉。
そしてー
「開けてくれてありがとう。良い子ね。」
誰もいない、廊下に声が響いて聴こえる。
その声は、先程の母親の声ではなく、複数の老若男女の声だった。
「「「あはははははっ!!!」」」
笑い声がこだまし、美加の身体に、スゥーッと何かが通り抜けていった。
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