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初めての戦い

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城の外は野原が広がっている。
野原の真ん中には、馬車の往来ができるように整備された一本道があり、その道を歩いていく。

見渡した限りでは、野原にはモンスターがいない。
遭遇するためには、草むらや低木の茂みを剣で刺し、潜んでいるモンスターを無理やり出したらいいのか?

思案した結果、それはしないことにした。

この辺りのモンスターのレベルを知った上でないと、自分のレベルより強いモンスターが現れたら、レベルアップどころか、初めからゲームオーバーだ。

無難に道を歩き、モンスターと鉢合わせするのを待った。

数分後、道の先の方に、水のようなベタッとしたものがあるのが見えてきた。

ん?あれは…

よく見ると、少しずつだが動いている。

スライム!?かも

慎重に距離を置きながら近づいていき、確認しようとするとーー。

スライムが百々の気配に気づいて、急に動きが早くなり、百々の方へ向かってくる。

やばい、襲われる!!

百々は背負っている鞘から、素早く剣を抜いて構えると、スライムの方向へ剣の刃先を向けた。

剣に吸い込まれるようにして、スライムは剣に当たり、刃先を境にして真っ二つに切れた。
切れたものは地面にボト、ボトッと落ちた。

倒せたかな?

スライムは動かないでいる。どうやら倒せたようだ。

「初めてにしては、上出来だよね」

すると、百々の耳元で声が聞こえてきた。

……経験値を2獲得です。

あれ?これ便利。私がモンスターを倒したら、毎回、経験値を教えてくれるシステムなのかな。

ふと、視線を地面に向けると、スライムは変わらず、真っ二つに切れたままだ。

「崩れ落ちたり、消えたりしないみたい」

この世界では現実だから、ゲームみたいに都合良く消えたりしないんだろう。

スライムを、まじまじと見つめた。

段々と、かわいそうになってきた。私に合わなければ、このスライムは倒されずに済んだかも知れない。のんびりと草でも食べて、生涯を終えたかもしれないね。

手に持っていた剣で地面を掘り、スライムが入る程度の穴を作り、そこへスライムを入れて、上から土を被せた。

「これでよし」

これで、弔いになるんじゃないかな?

墓前に両手を合わせ、スライムの冥福を祈った。

うーん。今後は毎回、土に埋めるのは出来ないよね。想像以上の数を倒すんだからさ。でも、倒したモンスターをそのまま残しておくのもね…腐敗して放置されてるとか。おえっ。考えただけで気持ち悪い。時々は…埋めてあげよう。

百々はレベルアップの為に、また道を歩き始める。

その様子を草むらから、何かが伺うように見ていた。
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