僕が僕であること

山上夢路

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僕が僕であるという事

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鏡、それはこの世界を映し出す平面。鏡の中に映し出されている世界は僕たちが住んでいる世界がそのまま広がり、この世界のあらゆるものの影響を受けた光の波がそのまま映し出されている。 それなら鏡の中にはこの世界を動かしているシステムがそのまま映し出されているのだろうか。もしもそうだとしたら鏡の中の僕は人格を持つのだろうか。
小四の春、僕は鏡の中の「僕」と話をしようとした。だがいくら話しかけても鏡の中の「僕」は僕のままで、それ以外の何物にもならなかった。鏡の中の僕はあくまでも像でしかなかったのだ。
だが、僕は今でも鏡を見てこう思う。お前は誰なんだ?
中一の冬。いつも通りPCをいじっていたら、あるスレに辿り着いた。
「鏡に向かって一ヶ月間「お前は誰だ?」って言い続けた奴がやばい」
そこには、鏡の中の自分向かって一ヶ月間質問を投げつけつづけた男の精神状態の記録が記されてあった。結果は…有名な事だから言わなくていいか。自分で調べてくれ…。
その休み明けの夜、学校に忘れ物を取りに行った。その帰りにトイレに寄ったのだが、そこで鏡を見るとやはりそこにも自分はいた。
夜の静けさをまとった学校。警備の人も巡回を終えていることを確認した。これ以上実験に適した環境なんて無い。さて…
「お前は誰だ!お前は誰だ!お前は誰だ!お前は誰だ!おま…」
暫くしてなんだか頭がふらふらしてきた。そろそろやめとこうか…。僕は取りに来た物を持ち、その場を去ろうとした、その時。鏡の中の「僕」が笑いかけてきた。なんだこいつ!
「おまえは、だれだ?」
鏡の中の「僕」はそう言うと突然僕に襲いかかってきた。身の危険を察知した僕はすぐにその場から逃げだした。
「逃げ切ったか…。」
そこに「僕」の姿は無かった。それにしても鏡の中の「僕」が襲ってくるなんて…。何なんだ?そう思いつつ、その場から離れようと出入り口のガラス窓に手をかけたその時。
「おまえは、だれだ?」
そこにも「僕」がいた!
「やめろー!」
とっさに窓を叩き割ってしまった。我に返り誰かに見られていなかったか周りを見渡したその時、周りにある全ての窓ガラス、いや、反射するもの全てに「僕」が現れ、不気味に笑い、同じように話しかけてきた
「おまえは、だれだ?」
その時僕はこう感じたんだ。こいつらを倒さなければいけない。さもなくば僕が僕で無くなってしまう!
「あああああ!!!」
恐怖に押しつぶされそうになりながらも、戦う事を決意した僕はそこに転がっていたバットを手に取り敵を倒し始めた。
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