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ラバニエル王国編
第27話 2つのウイスキー
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エルフィーさんは私からの貢ぎ物『ウイスキー』を飲んで驚きその製法を聞いて歓喜する。そして今飲んでいるウイスキーが20年物と判ると阿鼻叫喚して話し出した。
「こ、こ、こ、これが20年もの歳月を掛けたウイスキーなのか。ど、ど、どうりで奥深い味わいだと思った。そ、そ、そんな凄い物を奏はこのワシに持ってきてくれたのか‥‥‥」
(ちょっと挙動不審になってるけど大丈夫?)
そしてエルフィーさんはコップに注がれた琥珀色のウイスキーを神妙な顔をして覗き込み、しばらくするとウットリとした顔に変わった。(オッサン‥‥その顔気持ち悪い悪いんですけど)
それからまたしばらくして真面目な顔に戻ると私を見て言った。
「奏、このウイスキーの製造方法をワシに話して問題ないのか?これは奏の家か故郷の秘伝ではないのか?それと奏はこのワシが飲んだウイスキーを造ったと言ったな。この20年寝かせたウイスキーを‥‥‥判ったぞ!耳の形は普通だが奏はエルフだな!見た目は少女だが実はババアなんだろ!だから体つきがヒョロっとしてたのか。うん、我ながら名推理じゃな!」
(このくそオヤジ、アホな推理しやがって。それとなに?体つきがヒョロい?凹凸が無いと言いたいの?そんなに死にたいのかな?)
「バシュッ!」「シュパッ!ズシュッ!」
私はエルフィーさんが気が付かないほど素早い動きで鉄棒を取り出し投げつける。その鉄棒はエルフィーさん自慢の髭を10本ほど斬り飛ばしそのまま後ろの壁に突き刺さった。
「おい、くそオヤジ。私は人族で本物のプリティー少女だ。その酒没収するぞ?」
「誠に申し訳ございません‥‥‥」
エルフィーさんは驚き素直にカウンターにへばりつくほど頭を下げて謝った。小樽を私から少しでも遠ざけようとさりげなく手を動かしながら。(お前、いい根性してるな)
「まあいいや。それでこのウイスキーは確かに私が造ったものだよ。製造方法は私だけの秘密だけどね。それと樽で寝かせる方法については私の故郷の秘伝なの。でもね、その故郷はこの世界には無いの。だからお酒を愛するドワーフ族のエルフィーさんに引き継いでもらえれば嬉しいかな」
(私の故郷はここからすると異世界にあるからね。だからなんでもアリなんだぜ!)
それを聞いたエルフィーさん。カウンターから出てきて私の前に来ると私の手を両手で握り涙を流してこう言った。
「奏、失った故郷の秘伝の酒。この至高なる酒の製造をワシに託してくれると言うのか。ほ、本当にこのワシでいいのか?」
「うん、私はエルフィーさんがいいの」
私は最高の笑顔でエルフィーさんにお願いした。そしてエルフィーさんも涙を流しながら笑顔で答えた。
「ワシ、今日で武器屋やめる。明日から酒造職人になる」
私は笑顔でエルフィーさんの言葉を聞いた。
「うん、そうかそうか‥‥‥‥えええーー!!!それって駄目だよ!!なに言ってるのーー!」
ドワーフ族で三大名匠と言われてるエルフィーさんが恐ろしいことをサラッと言いやがった。私は驚きそれから必死に武器屋を続けるように説得した。
「もう!今度武器屋を辞めるって言ったら2度とウイスキーの差し入れしないからね!」
それから渋るエルフィーさんをあの手この手で説得した私。その決め手は年代物のウイスキーを定期的にエルフィーさんに売ること。それと一度エルフィーさんの故郷に行って製造指導をする事だった。
「今日は新しい酒に出会えて最高の日じゃ。ワシは嬉しくてたまらんぞ。この20年物のウイスキーは最高じゃ!」
(ほほう、そんなに嬉しいのか。それではここでひとつ爆弾を落としてやろう。とびきりのヤツをな!)
私は優しい微笑みで美味しそうに20年物のウイスキーを飲むエルフィーさんに語り掛けるのであった。私に没収されるのを恐れてカウンターの後ろの棚に置いたもう1つの小樽を指差しながら。
「エルフィーさん、あの後ろにあるもう1つの小樽のウイスキーあるよね?」
「ん?あるがあれはもうワシのもんじゃ。返せと言ったらワシは死んでしまうぞ?」
(お前はカルビーンお爺さんか?それとも異世界ジョークなのか?)
「いや、返せとは言わないよ。実はあれね、今飲んでるウイスキーとは少し違うの」
「ほほー。それで何が違うんじゃ?」
そして私はニコニコしているエルフィーさんにとびきりの爆弾を投下した。
「あれね、実は50年物なの」
それを聞いたエルフィーさんは「まじか」と言って固まった。(今度こそ死んだか?)
そして私の言葉を理解したのか「ギギギ」と機械のようにぎこちなく首を動かし50年物の小樽を見つめていた。
「あれ、50年物?」
それから私を見て可愛く小首を傾げて確認の為の質問をするオッサン。
「そうだよ?」
その言葉を聞いたオッサンはぎこちない動きで立ち上がり、小樽を両手でしっかりと抱き締め戻り椅子に座る。そして小樽を割れ物のように優しくカウンターに置いて蓋を開けた。
「これが50年物の香り‥‥‥すんごい‥‥‥」
そして一滴も溢さないぞと慎重にウイスキーをコップに注ぐオッサン。
「これが50年物の色‥‥‥すんばらしい‥‥‥」
(これいつまで続くの?私、この髭面オッサンの昇天シーンなんて見たくないよ‥‥)
私はいつまで続くか判らないので、ここで武器屋を跡にした。(まあ喜んでるみたいだし良かった、良かった)
そしてカルビーンお爺さんの家に戻った私は美味しい夕食と楽しい会話で幸せな気持ちになってベッドに横になった。
ーーー翌朝3人で朝食中の時ーーー
「ドン、ドン、ドン」
朝早くから来客が来たようで、サーシャさんが玄関を開けに台所から出ていった。そして連れてきたのはエルフィーさんだった。
「おい奏、今から商業ギルドに行くぞ。早くメシを食って出掛ける準備をするんじゃ!」
私は訳が判らずカルビーンお爺さんとサーシャさんに目で助けを求めたが、2人は「まあそうなるだろうな」と言った顔をしている。
「えーーと、嫌だと言ったら?」
「お前なぁ‥‥‥」
そして私は理由も教えてもらえず商業ギルドに向かうことになった。
「こ、こ、こ、これが20年もの歳月を掛けたウイスキーなのか。ど、ど、どうりで奥深い味わいだと思った。そ、そ、そんな凄い物を奏はこのワシに持ってきてくれたのか‥‥‥」
(ちょっと挙動不審になってるけど大丈夫?)
そしてエルフィーさんはコップに注がれた琥珀色のウイスキーを神妙な顔をして覗き込み、しばらくするとウットリとした顔に変わった。(オッサン‥‥その顔気持ち悪い悪いんですけど)
それからまたしばらくして真面目な顔に戻ると私を見て言った。
「奏、このウイスキーの製造方法をワシに話して問題ないのか?これは奏の家か故郷の秘伝ではないのか?それと奏はこのワシが飲んだウイスキーを造ったと言ったな。この20年寝かせたウイスキーを‥‥‥判ったぞ!耳の形は普通だが奏はエルフだな!見た目は少女だが実はババアなんだろ!だから体つきがヒョロっとしてたのか。うん、我ながら名推理じゃな!」
(このくそオヤジ、アホな推理しやがって。それとなに?体つきがヒョロい?凹凸が無いと言いたいの?そんなに死にたいのかな?)
「バシュッ!」「シュパッ!ズシュッ!」
私はエルフィーさんが気が付かないほど素早い動きで鉄棒を取り出し投げつける。その鉄棒はエルフィーさん自慢の髭を10本ほど斬り飛ばしそのまま後ろの壁に突き刺さった。
「おい、くそオヤジ。私は人族で本物のプリティー少女だ。その酒没収するぞ?」
「誠に申し訳ございません‥‥‥」
エルフィーさんは驚き素直にカウンターにへばりつくほど頭を下げて謝った。小樽を私から少しでも遠ざけようとさりげなく手を動かしながら。(お前、いい根性してるな)
「まあいいや。それでこのウイスキーは確かに私が造ったものだよ。製造方法は私だけの秘密だけどね。それと樽で寝かせる方法については私の故郷の秘伝なの。でもね、その故郷はこの世界には無いの。だからお酒を愛するドワーフ族のエルフィーさんに引き継いでもらえれば嬉しいかな」
(私の故郷はここからすると異世界にあるからね。だからなんでもアリなんだぜ!)
それを聞いたエルフィーさん。カウンターから出てきて私の前に来ると私の手を両手で握り涙を流してこう言った。
「奏、失った故郷の秘伝の酒。この至高なる酒の製造をワシに託してくれると言うのか。ほ、本当にこのワシでいいのか?」
「うん、私はエルフィーさんがいいの」
私は最高の笑顔でエルフィーさんにお願いした。そしてエルフィーさんも涙を流しながら笑顔で答えた。
「ワシ、今日で武器屋やめる。明日から酒造職人になる」
私は笑顔でエルフィーさんの言葉を聞いた。
「うん、そうかそうか‥‥‥‥えええーー!!!それって駄目だよ!!なに言ってるのーー!」
ドワーフ族で三大名匠と言われてるエルフィーさんが恐ろしいことをサラッと言いやがった。私は驚きそれから必死に武器屋を続けるように説得した。
「もう!今度武器屋を辞めるって言ったら2度とウイスキーの差し入れしないからね!」
それから渋るエルフィーさんをあの手この手で説得した私。その決め手は年代物のウイスキーを定期的にエルフィーさんに売ること。それと一度エルフィーさんの故郷に行って製造指導をする事だった。
「今日は新しい酒に出会えて最高の日じゃ。ワシは嬉しくてたまらんぞ。この20年物のウイスキーは最高じゃ!」
(ほほう、そんなに嬉しいのか。それではここでひとつ爆弾を落としてやろう。とびきりのヤツをな!)
私は優しい微笑みで美味しそうに20年物のウイスキーを飲むエルフィーさんに語り掛けるのであった。私に没収されるのを恐れてカウンターの後ろの棚に置いたもう1つの小樽を指差しながら。
「エルフィーさん、あの後ろにあるもう1つの小樽のウイスキーあるよね?」
「ん?あるがあれはもうワシのもんじゃ。返せと言ったらワシは死んでしまうぞ?」
(お前はカルビーンお爺さんか?それとも異世界ジョークなのか?)
「いや、返せとは言わないよ。実はあれね、今飲んでるウイスキーとは少し違うの」
「ほほー。それで何が違うんじゃ?」
そして私はニコニコしているエルフィーさんにとびきりの爆弾を投下した。
「あれね、実は50年物なの」
それを聞いたエルフィーさんは「まじか」と言って固まった。(今度こそ死んだか?)
そして私の言葉を理解したのか「ギギギ」と機械のようにぎこちなく首を動かし50年物の小樽を見つめていた。
「あれ、50年物?」
それから私を見て可愛く小首を傾げて確認の為の質問をするオッサン。
「そうだよ?」
その言葉を聞いたオッサンはぎこちない動きで立ち上がり、小樽を両手でしっかりと抱き締め戻り椅子に座る。そして小樽を割れ物のように優しくカウンターに置いて蓋を開けた。
「これが50年物の香り‥‥‥すんごい‥‥‥」
そして一滴も溢さないぞと慎重にウイスキーをコップに注ぐオッサン。
「これが50年物の色‥‥‥すんばらしい‥‥‥」
(これいつまで続くの?私、この髭面オッサンの昇天シーンなんて見たくないよ‥‥)
私はいつまで続くか判らないので、ここで武器屋を跡にした。(まあ喜んでるみたいだし良かった、良かった)
そしてカルビーンお爺さんの家に戻った私は美味しい夕食と楽しい会話で幸せな気持ちになってベッドに横になった。
ーーー翌朝3人で朝食中の時ーーー
「ドン、ドン、ドン」
朝早くから来客が来たようで、サーシャさんが玄関を開けに台所から出ていった。そして連れてきたのはエルフィーさんだった。
「おい奏、今から商業ギルドに行くぞ。早くメシを食って出掛ける準備をするんじゃ!」
私は訳が判らずカルビーンお爺さんとサーシャさんに目で助けを求めたが、2人は「まあそうなるだろうな」と言った顔をしている。
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