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ラバニエル王国編
第35話 白の聖女とギルド長ダルタン
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私の正体を明かす事を私の監視役の隠密部隊の人にダジール女王陛下とカリーナさんへの報告を頼んだ私は今3人を目の前にしてソファーに座っている。
(なんで座る場所変えてるの?尋問するの?)
私はそれじゃあ始めようかと思ったが、さっき隠密部隊の人と話して喉が乾いたので冷めたお茶を飲んで一息入れる。
(ふぅ~、お茶じゃなくて熱いコーヒー飲みたいな。この世界コーヒーあるのかな?)
「なにを呆けとるんじゃ!さっさと話せ!」
のんびり一息入れてる私に焦れて大声で怒鳴り催促するエルフィーさん。(そんなに大声出したら血圧上がるよ?)
「仕方ない。話してやろう」
「なんで上から目線なんじゃ!」
『うるさい髭もじゃだなー。ダルタンさん頭のようにその髭面をツルッ禿げにするぞ?』
「ごめんなさい。これから話します」
「心の声が聞こえとるんじゃ!!」
(またやっちまったぜ!許せ髭もじゃ。そしてそこで項垂れてるハゲ頭もすまん)
「さっきのは商業の神様から呼ばれて会って話をしてきたんだよ。驚きだよね?」
「「「いきなり度キツイ話をするな!」」」
私の目の前に居る3人が声を揃え腰を浮かせて吠えまくる。(なんで怒るの?)
「そして私は伝説の聖女です」
「「「心臓止まるだろうが!」」」
(さっきからメリーナさん可愛い顔して言葉使い荒くね?)
それから私は荒ぶる3人にダジール女王陛下の指示のもとで召喚された事、私はプラス1だという事、城下町で生活することになった理由を説明した。
そして話を聞いたエルフィーさんが静かに話し出す。私を優しげな目で見ながら。
「そうか、奏は白の聖女様だったのか。やっぱりサーシャの病気を治したのはお前だったんだな。心から感謝する。本当にありがとう。
それで登録を終えてから色々と話をした中で言ったがカルビーンは古くからの友人だ。そしてサーシャもな。あの2人が若い頃ワシの武器を欲しがりよく店に顔を出しに来ていた。そして気心が知れて友人となり歳を重ねて親友となった」
(ん?エルフィーさんって見た目30代だけどひょっとしてドワーフあるある?)
私は気になり話しに割り込んで聞いた。
「エルフィーさん、見た目は若そうだけどもしかしてオッサンじゃなくてジジイ?」
「お前‥‥‥その言い方はどうなんじゃ?そうか知らんのか。ドワーフの寿命は約200年。そしてワシは70歳じゃ。人族で言えば28歳くらいになるかの。まだまだ若造じゃ」
(まさかの若造発言いただきましたー!)
「そ、そうなんだ。でも喋り方がジジイだからもうオッサンかジジイでいいよね?」
「いや普通に名前で呼べよ」
(まさかの正論いただきましたー!)
「では話の続きをどうぞ」
「ん、ああ、それであの2人が騎士団を辞めてからも親友として店に来ては酒を酌み交わしておったんじゃが‥‥‥知っての通りサーシャが病気になってしまったんじゃ。それからはワシがカルビーンの家に行くようになったが、その2人を見るのはとても辛かった」
「えっ!サーシャさんも騎士団に居たの!」
私はその事実に驚き再び話に割って入って聞いてしまった。
「ん?ああ、サーシャは第一騎士団隊長で『漆黒の両剣使い』と2つ名を持つ凄腕の剣士だった。カルビーンが魔獣に足をヤられて騎士団を辞めた時に一緒に辞めたんだ」
(ほぇー、あの可愛い少女のようなサーシャさんが2つ名持ちの凄腕剣士だったんだ。これはまたサーシャさんに色々聞かないとね!)
「何度も話の途中に割り込んでごめんなさい。でもサーシャさんが騎士団に居て凄腕の剣士だったなんて驚きだよ。カルビーンさんが足をビッグボアに体当たりされて痛めたのは聞いてたんだけどね」
それを聞いたエルフィーさんは苦笑いだ。そして何故か隣に座るダルタンさんに目配せをして話はここで終わりだとウイスキーを飲み始めるエルフィーさん。そしてその話の続きは悲しげな顔をしたダルダンさんが受け継いだ。
「そのビッグボアにヤられた話はカルビーンさんが誰かに聞かれた時に言う誤魔化しのウソなんだ。本当は俺を庇って狂暴種にヤられた。バカなことをした俺の為にな」
そう言ったダルタンさんは右手で見えない左目にある傷をそっと触った。
「あれは俺が20歳の時だ。その当時の俺は若くして銀2級まで上り詰めた冒険者で英雄気取りだった。そして俺はさらに上に上がろうと聖女の森の奥へと行き狂暴種の討伐に向かったんだ。それもたった1人でな。
そして出会った狂暴種は軽く10を越えていた。それでもう逃げることも出来なくなった俺は懸命に戦った。そして3頭倒した所でこの左目をヤられたんだ。それからは狂暴種の攻撃を防ぐことしか出来ず、徐々に体力が尽き傷が増えていった。そして俺は死を覚悟した」
(うう、どうしよう‥‥先が読めてしまうの‥‥でもこの雰囲気をぶち壊すのは‥‥‥面白そう?いや駄目、それだけはやっちゃ駄目なの!我慢よ、が・ま・ん!)
私は何度も口をパクパクさせながらも我慢した。(私はやれば出来る子なの!)そして私はなんとか耐えきって話の続きを聞いた。
「その時だ。俺の無謀の行いを知ったカルビーンさんが駆け付けてくれたんだ。そして手に持つ大剣で次々と狂暴種を倒していく姿は圧巻だった。さすが国内最強の男だと力尽きた俺は膝を突き、残る右目でその姿をずっと追っていた。だがカルビーンさんが幾ら倒してもその狂暴種の数はいつの間にか増えていて、カルビーンさんの体の傷も増えていった。
そしてその戦いの途中で足に深い傷を負いながらも戦い続け、全てを倒しきった時には治癒が不可能な状態になっていた。それでも俺に肩を貸してくれ街まで戻ったんだ。その時は俺に肩を貸してくれた事もあってそこまで酷い怪我だとは思わなかったんだ。だが数日後、カルビーンさんが騎士団を辞めたと知らせが来た」
(たぶんダルタンさんはこの事を何度も思い出し後悔の念に包まれているんだろう。でももう幾ら後悔しても元には戻らないんだよ?前に進むしかないんだよ?)
「俺はその知らせを聞いてすぐにカルビーンさんの元へと行って謝った。何度も何度も頭を下げて謝った。そのカルビーンさんはただ笑っていたよ。『これで趣味の庭いじりが毎日出来る』ってな。凄いよなカルビーンさんは。
だが俺は自分を許すことが出来なかった。だから潰れた左目は治らないが、治せる傷もそのままにしたんだ。戒めの為にな」
そう言って再び左目の傷に触るダルタンさん。そうやって20年以上その傷を触り自分を憎んできたんだろう。カルビーンお爺さんは許してくれたというのに‥‥‥‥
私はソファーから立ち上がり向かい側に座るダルタンさんの側に行く。そして傷を触るダルタンさんの手を払いのけ、代わりに私の右手でその傷を優しく触り囁いた。
「カルビーンさんの足は私が完璧に治したよ。だからもう後悔するのは辞めなさい。その戒めに残した傷はもう必要ないの。だから私が取り除く。後悔と一緒にね。ダルタンさん、もう自分を許してあげて。でないとカルビーンさんが悲しむよ?隣の2人もね」
私はそう言って聖女の力を使った。
「この目と傷を治して。そして自分を許せるよう心の傷も癒してあげて」
すると白い光に包まれるダルタンさん。その光はいつもより輝きそして暖かかった。
「ああ、なんて暖かな光なんだろう。これが白の聖女の力‥‥‥なあエルフィー、潰れて見えなくなった左目が見えるんだ。傷も触ってみたが無くなってるみたいなんだ。毎日後悔で苦しくて潰れそだった心が暖かいんだ」
ダルタンさんは涙を流しながら左目を触り、そしてエルフィーさんを見て言った。
「俺はもう自分を許してもいいのだろうか」
そのエルフィーさんはダルタンさんの肩を叩いて何度も頷いていた。
(なんで座る場所変えてるの?尋問するの?)
私はそれじゃあ始めようかと思ったが、さっき隠密部隊の人と話して喉が乾いたので冷めたお茶を飲んで一息入れる。
(ふぅ~、お茶じゃなくて熱いコーヒー飲みたいな。この世界コーヒーあるのかな?)
「なにを呆けとるんじゃ!さっさと話せ!」
のんびり一息入れてる私に焦れて大声で怒鳴り催促するエルフィーさん。(そんなに大声出したら血圧上がるよ?)
「仕方ない。話してやろう」
「なんで上から目線なんじゃ!」
『うるさい髭もじゃだなー。ダルタンさん頭のようにその髭面をツルッ禿げにするぞ?』
「ごめんなさい。これから話します」
「心の声が聞こえとるんじゃ!!」
(またやっちまったぜ!許せ髭もじゃ。そしてそこで項垂れてるハゲ頭もすまん)
「さっきのは商業の神様から呼ばれて会って話をしてきたんだよ。驚きだよね?」
「「「いきなり度キツイ話をするな!」」」
私の目の前に居る3人が声を揃え腰を浮かせて吠えまくる。(なんで怒るの?)
「そして私は伝説の聖女です」
「「「心臓止まるだろうが!」」」
(さっきからメリーナさん可愛い顔して言葉使い荒くね?)
それから私は荒ぶる3人にダジール女王陛下の指示のもとで召喚された事、私はプラス1だという事、城下町で生活することになった理由を説明した。
そして話を聞いたエルフィーさんが静かに話し出す。私を優しげな目で見ながら。
「そうか、奏は白の聖女様だったのか。やっぱりサーシャの病気を治したのはお前だったんだな。心から感謝する。本当にありがとう。
それで登録を終えてから色々と話をした中で言ったがカルビーンは古くからの友人だ。そしてサーシャもな。あの2人が若い頃ワシの武器を欲しがりよく店に顔を出しに来ていた。そして気心が知れて友人となり歳を重ねて親友となった」
(ん?エルフィーさんって見た目30代だけどひょっとしてドワーフあるある?)
私は気になり話しに割り込んで聞いた。
「エルフィーさん、見た目は若そうだけどもしかしてオッサンじゃなくてジジイ?」
「お前‥‥‥その言い方はどうなんじゃ?そうか知らんのか。ドワーフの寿命は約200年。そしてワシは70歳じゃ。人族で言えば28歳くらいになるかの。まだまだ若造じゃ」
(まさかの若造発言いただきましたー!)
「そ、そうなんだ。でも喋り方がジジイだからもうオッサンかジジイでいいよね?」
「いや普通に名前で呼べよ」
(まさかの正論いただきましたー!)
「では話の続きをどうぞ」
「ん、ああ、それであの2人が騎士団を辞めてからも親友として店に来ては酒を酌み交わしておったんじゃが‥‥‥知っての通りサーシャが病気になってしまったんじゃ。それからはワシがカルビーンの家に行くようになったが、その2人を見るのはとても辛かった」
「えっ!サーシャさんも騎士団に居たの!」
私はその事実に驚き再び話に割って入って聞いてしまった。
「ん?ああ、サーシャは第一騎士団隊長で『漆黒の両剣使い』と2つ名を持つ凄腕の剣士だった。カルビーンが魔獣に足をヤられて騎士団を辞めた時に一緒に辞めたんだ」
(ほぇー、あの可愛い少女のようなサーシャさんが2つ名持ちの凄腕剣士だったんだ。これはまたサーシャさんに色々聞かないとね!)
「何度も話の途中に割り込んでごめんなさい。でもサーシャさんが騎士団に居て凄腕の剣士だったなんて驚きだよ。カルビーンさんが足をビッグボアに体当たりされて痛めたのは聞いてたんだけどね」
それを聞いたエルフィーさんは苦笑いだ。そして何故か隣に座るダルタンさんに目配せをして話はここで終わりだとウイスキーを飲み始めるエルフィーさん。そしてその話の続きは悲しげな顔をしたダルダンさんが受け継いだ。
「そのビッグボアにヤられた話はカルビーンさんが誰かに聞かれた時に言う誤魔化しのウソなんだ。本当は俺を庇って狂暴種にヤられた。バカなことをした俺の為にな」
そう言ったダルタンさんは右手で見えない左目にある傷をそっと触った。
「あれは俺が20歳の時だ。その当時の俺は若くして銀2級まで上り詰めた冒険者で英雄気取りだった。そして俺はさらに上に上がろうと聖女の森の奥へと行き狂暴種の討伐に向かったんだ。それもたった1人でな。
そして出会った狂暴種は軽く10を越えていた。それでもう逃げることも出来なくなった俺は懸命に戦った。そして3頭倒した所でこの左目をヤられたんだ。それからは狂暴種の攻撃を防ぐことしか出来ず、徐々に体力が尽き傷が増えていった。そして俺は死を覚悟した」
(うう、どうしよう‥‥先が読めてしまうの‥‥でもこの雰囲気をぶち壊すのは‥‥‥面白そう?いや駄目、それだけはやっちゃ駄目なの!我慢よ、が・ま・ん!)
私は何度も口をパクパクさせながらも我慢した。(私はやれば出来る子なの!)そして私はなんとか耐えきって話の続きを聞いた。
「その時だ。俺の無謀の行いを知ったカルビーンさんが駆け付けてくれたんだ。そして手に持つ大剣で次々と狂暴種を倒していく姿は圧巻だった。さすが国内最強の男だと力尽きた俺は膝を突き、残る右目でその姿をずっと追っていた。だがカルビーンさんが幾ら倒してもその狂暴種の数はいつの間にか増えていて、カルビーンさんの体の傷も増えていった。
そしてその戦いの途中で足に深い傷を負いながらも戦い続け、全てを倒しきった時には治癒が不可能な状態になっていた。それでも俺に肩を貸してくれ街まで戻ったんだ。その時は俺に肩を貸してくれた事もあってそこまで酷い怪我だとは思わなかったんだ。だが数日後、カルビーンさんが騎士団を辞めたと知らせが来た」
(たぶんダルタンさんはこの事を何度も思い出し後悔の念に包まれているんだろう。でももう幾ら後悔しても元には戻らないんだよ?前に進むしかないんだよ?)
「俺はその知らせを聞いてすぐにカルビーンさんの元へと行って謝った。何度も何度も頭を下げて謝った。そのカルビーンさんはただ笑っていたよ。『これで趣味の庭いじりが毎日出来る』ってな。凄いよなカルビーンさんは。
だが俺は自分を許すことが出来なかった。だから潰れた左目は治らないが、治せる傷もそのままにしたんだ。戒めの為にな」
そう言って再び左目の傷に触るダルタンさん。そうやって20年以上その傷を触り自分を憎んできたんだろう。カルビーンお爺さんは許してくれたというのに‥‥‥‥
私はソファーから立ち上がり向かい側に座るダルタンさんの側に行く。そして傷を触るダルタンさんの手を払いのけ、代わりに私の右手でその傷を優しく触り囁いた。
「カルビーンさんの足は私が完璧に治したよ。だからもう後悔するのは辞めなさい。その戒めに残した傷はもう必要ないの。だから私が取り除く。後悔と一緒にね。ダルタンさん、もう自分を許してあげて。でないとカルビーンさんが悲しむよ?隣の2人もね」
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「ああ、なんて暖かな光なんだろう。これが白の聖女の力‥‥‥なあエルフィー、潰れて見えなくなった左目が見えるんだ。傷も触ってみたが無くなってるみたいなんだ。毎日後悔で苦しくて潰れそだった心が暖かいんだ」
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